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富士通研究所、低解像度映像から人の流れを認識する技術を開発

2015-03-11

業界初、低解像度映像から人の流れを認識する技術を開発
プライバシーに配慮し、顔が判別できない映像から人の動きを高精度に検出


 株式会社富士通研究所(注1)は、顔が判別できない低解像度映像から人の動きを高精度に検出し、人の流れを認識する技術を業界で初めて開発しました。

 従来、監視カメラの映像を解析して人の流れを認識する際に、解像度が高く人が特定されてしまう場合もあり、活用できてないという問題がありました。今回、顔が判別できないように映像全体を高解像度から低解像度に落としても、人に残る特徴を複数抽出することで、高精度に人の動きが検出できる技術を開発しました。

 これにより、プライバシーに関する不安を低減した映像から人を検出し、人の流れを認識することが可能になります。


 本技術の詳細は、3月6日(金曜日)より東北大学にて開催される「情報処理学会 コンピュータビジョンとイメージメディア研究会」で発表します。


■開発の背景
 近年、施設内や街中での人の移動経路の情報を使って、店舗の配置や店舗内の品ぞろえ、店員の配置などを最適化し、顧客サービスの向上を図る取り組みが始まっています。街中では、イベント時の混雑解消、交通機関の運行計画策定や災害時の避難誘導をおこなうため、人の流れ情報の活用に期待が高まっています。

 ※図1は添付の関連資料を参照


■課題
 街中や商業施設内に設置された監視カメラの映像を活用して人の流れ情報を認識する場合、撮影される個人への配慮が必要です。近年、監視カメラの高解像度化が進み、人の顔がかなり鮮明に認識できるようになってきました。防犯という観点では問題ありませんが、誰がいつどこで何をしていたかといった人の行動情報を、第三者に知られてしまうというプライバシーの問題が顕著になります。

 映像から人の流れの情報を抽出するには、一般に、以下の技術が用いられます。

 1.人の検出:映像から人らしい部分を抽出
 2.人の対応付け:複数のカメラ映像で検出した人が、同じ人かどうかを判断

 これらの技術では、従来、人の顔、体格、性別など個人の特徴となる情報で検出して同じ人かどうかを判断したため、個人が特定されてしまう場合もあり、活用できてないというという課題がありました。


■開発した技術
 人が共通でもつ特徴により、低解像度映像から頭部や胴体部分などの人らしい部分を検出し、服装の色から同一人物を対応付ける判定方法を考案しました。開発した技術の特長は以下のとおりです。

 1.低解像度映像に対して人を検出する技術(図2)
  低解像度映像でも、人の姿勢や撮影方向の影響を受けずに人特有の特徴が残る部位として頭部に着目しました。頭部は、前後左右いずれの方向から見ても、ほぼ楕円型であるという形状特徴があり、さらに人の上部にあるといった位置の特徴を備えています。こうした特徴は、低解像度でも失われにくいという点を利用しています。

  具体的な抽出方法は以下のとおりです。

  1.頭部の形状特徴に着目し、入力画像(図2−左)から頭部候補を抽出します(図2−中央)。
  2.同じような形状が多く検出されるため、頭部下部にある胴体部分を合わせて使うことで、低解像度でも高精度に人を検出します(図2−右)。
  3.2.の検出の際に、人の前後関係を認識して手前の人から順番に検出し、重なって隠れる部分を奥側の人の動体部分の検出に反映させることで、多数の人が重なり合って映っている場合でも人を確実に検出します。

  この方法により、複数の人の頭部と胴体部分をそれぞれ認識することができます。

  ※図2は添付の関連資料を参照

 2.服装の色で低解像度映像間の人を対応付ける技術(図3)
  検出した人の特徴を複数のカメラ間で対応付けすることで、カメラ間における人の動きを認識します。

  色は、解像度にかかわらず同じように抽出できますが、一般に低解像度映像では、細部の色は近い部分の色に吸収、混色され、うまく検出することができません。そこで、検出した人の服装の色から特徴的な色だけを選択し抽出することで、低解像度映像からの安定した人の対応付けを可能にしました。

  ※図3は添付の関連資料を参照


■効果
 従来、人の顔が特定できない低解像度映像では人の検出や対応付けが困難でしたが、開発技術を用いることで、屋内における実験では、約80%の人の追跡(注2)が可能となり、人の流れを検出することができました。

 これにより、例えば、店舗内の品ぞろえや店員の配置では、撮影される側のプライバシーに配慮した監視カメラ映像の利用が可能となり、個人を特定しない映像を使いながら、顧客サービスの向上を図ることが可能になります。


■今後
 富士通研究所は、更なる実証実験により人の検出精度を向上し、本技術の2015年度中の実用化を目指します。


■商標について
 記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。


以上


○注釈
 注1
  株式会社富士通研究所:本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 佐相秀幸。
 注2
  80%の人の追跡:追跡の精度は撮影環境やカメラの配置に依存します。



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