ＩＲジャパン、ＤＣ−ＤＣコンバータ用マルチチップ・モジュール「ＩＲ３５５０」を発売

インターナショナル・レクティファイアー
出力電流６０ＡのＤＣ−ＤＣコンバータ用マルチチップ・モジュール「ＩＲ３５５０」を製品化
〜新シリーズＰｏｗＩＲｓｔａｇｅ（Ｒ）の第１弾、小型パッケージで高効率〜



　パワー・マネジメント（電源管理）技術で世界をリードするインターナショナル・レクティファイアー・ジャパン（ＩＲジャパン）株式会社（本社：東京都豊島区）は９日、ＤＣ−ＤＣコンバータ（＊１）用マルチチップ・モジュールの新しいシリーズＰｏｗＩＲｓｔａｇｅ（Ｒ）（パワー・ステージ）の最初の製品「ＩＲ３５５０」を発売しました。
　次世代の高性能サーバー、記憶装置、通信システムなどで使うＤＣ−ＤＣコンバータの設計を簡素化し、小型化できるだけでなく、効率や熱特性の改善にも貢献します。

　ＩＲ３５５０は最大出力電流が６０Ａと大きいのが特徴です。大電流・高性能のマルチフェーズ方式（＊２）ＤＣ−ＤＣコンバータの設計や実装を簡素化できます。大電流を扱えるため、フェーズ（相）の数を少なくでき、コストの削減を図れます。


※製品画像は添付の関連資料を参照


　新しいＰｏｗＩＲｓｔａｇｅシリーズは、高性能ゲート駆動回路に加え、オン抵抗（内部抵抗）とゲート電荷が非常に小さいＩＲ社の最新の制御用ＭＯＳＦＥＴと同期整流用ＭＯＳＦＥＴや、ショットキ・ダイオードを小型（６ｍｍ×６ｍｍ×０．９ｍｍ）のＰＱＦＮパッケージに搭載しています。ＩＲ３５５０を使うと、従来の回路構成に比べてシステム全体の電力損失や熱の発生を抑えられ、効率を最大３％改善できます。このため、複雑な熱の管理や関連コストの負担が軽減され、信頼性を改善できます。
　従来のほとんどの設計では、実際に使うときの安全な動作条件を維持するためにディレーティング（＊３）を行います。このとき、負荷の要求を満たすために、フェーズの数を増やす必要がありました。ＩＲ３５５０では、より大電流を扱えるため、フェーズの数を減らせるので、このような問題を解決できます。

　ＩＲ３５５０は、市販されているほとんどのアナログやデジタルのコントローラと互換性があります。所望のＰＷＭ（パルス幅変調）コントローラを選べるので、設計の柔軟性があります。ＰｏｗＩＲｓｔａｇｅシリーズは、電流検出アンプを内蔵しているので、コイルのＤＣＲ（直流抵抗）を使って検出する方法に比べて、優れた精度とＳ／Ｎ（信号対雑音比）が得られます。効率は９５％（ピーク値）と高く、熱設計電流（Ｔｈｅｒｍａｌ　Ｄｅｓｉｇｎ　Ｃｕｒｒｅｎｔ）の高効率化を実現しています。ＩＲ３５５０は高いスイッチング周波数（最高１ＭＨｚ）で動作するので、出力のコイルや入出力のコンデンサを小さくでき、システム全体を小型化できます。
　データシートは、型番をクリックするとご覧いただけます。評価基板とアプリケーション・ノートは、弊社営業部にお問い合わせください。
　１万個購入時のＩＲ３５５０の単価は２．６５米ドルからの予定です（米国での参考価格）。


＜表　ＤＣ−ＤＣコンバータ用マルチチップ・モジュール「ＩＲ３５５０」の概要＞

　※添付の関連資料を参照


＜用語説明＞
　＊１）ＤＣ−ＤＣコンバータ：直流電圧を直流電圧に変換する回路です。パソコンやインターネット機器などの内部で基準とする電圧の１２Ｖを、論理ＩＣやマイクロプロセッサ（ＭＰＵ）などのＩＣを動作させるためのさまざまな電源電圧、例えば３．３Ｖ、１．７Ｖ、１．２Ｖなどの電圧に変換する回路です。ＤＣ−ＤＣコンバータの出力回路は一般的に、制御（コントロール）用のＭＯＳＦＥＴと同期整流（シンクロナス）用のＭＯＳＦＥＴを組み合わせて構成します。
　＊２）マルチフェーズ（ｍｕｌｔｉｐｈａｓｅ）方式：複数の電源（ＤＣ−ＤＣコンバータ）を並列に動作させ、その出力位相をずらして加算してからマイクロプロセッサ（ＭＰＵ）に電力を供給する方法です。並列にしたＤＣ−ＤＣコンバータの数が相（フェーズ）です。抵抗などによる損失を低減でき、各電源回路の負荷も軽減できます。
　＊３）ディレーティング（ｄｅ−ｒａｔｉｎｇ）：定格低減のことです。データシートで示された最大定格に対して、それよりも低い値を設定して余裕を持って設計し、故障の可能性を減らすことです。


＜インターナショナル・レクティファイアー（ＩＲ（Ｒ））社について＞
　ＩＲ社はパワー・マネジメント（電源管理）技術のリーダーです。ＩＲ社のアナログＩＣ、デジタルＩＣ、アナログ／デジタル混在ＩＣ、最先端デバイス、電源のシステムや部品は、コンピュータの性能向上や、世界で最も電力消費の大きいモーターの省エネに貢献しています。コンピュータ、省エネ家電、照明器具、自動車、衛星・航空・防衛システムなどの主な製造企業は、次期製品の性能向上のためにＩＲ社のパワー・マネジメント・ソリューションに頼っています。本社は米国のカリフォルニア州エルセグンド。ホームページはhttp://www.irf.comです。


注：ＩＲ（Ｒ）、ＰｏｗＩＲｓｔａｇｅ（Ｒ）は、Ｉｎｔｅｒｎａｔｉｏｎａｌ　Ｒｅｃｔｉｆｉｅｒ　Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎの登録商標です。
　　当資料に記載されるその他の製品名の商標はそれぞれの所有者に帰属します。