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JFEエンジニアリング、米社と日本での放射性バイオ診断薬の製造販売で協業検討
放射性バイオ診断薬の製造販売について協業検討
米国ImaginAb,Inc.(CFO:Jeffrey D.Quan、COO:Jennifer S.Keppler、本社:米国カリフォルニア州、以下イマジナブ社)とJFEエンジニアリング株式会社(社長:狩野久宣、本社:東京都千代田区)は、このたび、日本におけるPET診断(※1)用放射性医薬品の製造および販売に関する協業の検討に関する覚書を締結しましたので、お知らせします。
イマジナブ社は、微細な病巣にまで選択して結合する低分子化抗体を用いて、がんや免疫疾患を発見するPET診断薬の研究開発を進めています。特に、米国で臨床開発(※2)が進められている「89Zr−Df−IAB2M」(※3)(以下本診断薬)は、従来診断が困難であった、前立腺がんのリンパ節や骨への転移を造影することができる画期的なPET診断薬として注目されています。イマジナブ社は、日本においても本診断薬をはじめとしたバイオ医薬品の事業を展開するため、2014年5月に日本法人「イマジナブジャパン株式会社」を設立しております。
JFEエンジニアリングは、メディカル分野をエンジニアリングの新しい事業領域として注目しており、これまで全国35箇所の病院等の医療機関にPET診断用のサイクロトロン、合成装置(※4)を納入してきました。本診断薬は国内で初めて、放射性同位元素89Zr(ジルコニウム89)と低分子化抗体を組み合わせて開発が進められており、JFEエンジの製造技術やノウハウが最大限に活かせるものです。
両社は、日本における本診断薬を用いたPET診断の実用段階に備え、本診断薬の製造から医療機関への供給に関する一貫技術を確立すべく検討してまいります。
両社は今後も、最先端医療の普及に貢献してまいります。
※1 PET診断:陽電子放射断層撮影法診断
放射性物質を含む薬剤を体内に注入し、その薬剤から発せられるガンマ線を測定して画像診断を行うシステム。
*参考画像は添付の関連資料を参照
※2 米国での臨床開発
「89Zr−Df−IAB2M」は、現在米国FDAでの医薬品承認に向けて臨床第2相(PhaseII)の開発段階にある。日本国内でも今後開発を進め、医薬品承認取得を目指す予定。
※3 前立腺がんPET診断薬「89Zr−Df−IAB2M」
低分子化抗体に半減期約3日の89Zr(ジルコニウムの放射性同位元素)を組み合わせたPET用診断薬で、前立腺がんの特異的膜抗原であるPSMA(Prostate Specific Membrane Antigen)に選択して結合することで前立腺がんを造影することが可能。
イマジナブ社で開発された抗体低分子化技術により製造される本診断薬は体内クリアランスが従来の抗体診断薬よりも早いため、薬剤投与後短時間でPET診断が可能。また造影に不要な化学構造が取り除かれているため安全性面も向上する。
※4 サイクロトロン、合成装置
PET診断薬を製造するために必要となる設備。
サイクロトロンはガンマ線を発する放射性物質を製造し、合成装置はこの放射性物質と診断部位に集まる薬剤を原料としてPET診断薬を合成する装置。
現在実用化されているPET診断薬は、診断部位に集まる薬剤としてブドウ糖を使用したもの。
抗体を用いたPET診断薬は、まだ実用化されていない。