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東北大など、新しい日本津波モデル(ハザード・リスク評価)を開発

2014-12-09

東北大学災害科学国際研究所はウイリス・リサーチ・ネットワーク、ロンドン大学UCL校との
共同研究により、新しい日本津波モデル(ハザード・リスク評価)を開発


 東北大学災害科学国際研究所(※1)はウイリス・リー(※2)の産学共同研究組織ウイリス・リサーチ・ネットワーク(※3)、及びロンドン大学UCL校EPIセンター(※4)と協力し、国内外における津波ハザードやリスクの評価についてのモデル化に関する研究を行ってきました。この度、本共同研究による成果として、新しい津波モデルが完成しました。本津波モデルは、津波の確率およびシナリオ(起こり方)の双方を分析に取り入れたものです。今後、地震と併せて津波による損害予測も行うことにより、津波を伴う巨大地震リスクの定量化および対策が可能となることが期待されます。
 災害科学国際研究所(旧附属災害制御研究センター)は、2010年以降ウイリス・リサーチ・ネットワークのメンバーとして、津波ハザードとリスク評価に関する共同研究を行って参りました。21世紀に入り、インド洋津波に例示される被害が、世界的に大きな課題になっているという社会背景があります。その後、日本でも2011年に東北地方太平洋沖地震による甚大な津波損害が発生し、また今後、東南海・南海大地震等による巨大津波損害が想定されております。今回の研究では、津波関連データの整理、被害関数の提案、日本やアジア地区での津波ハザード及びリスク評価を行い、今後のリスクアセスメントや被害軽減に必要な情報を提供できるようになりました(今村文彦・東北大学災害科学国際研究所所長、津波工学研究室教授)。

 ウイリス・リサーチ・ネットワーク及びロンドン大学UCL校関係者コメントは以下のとおりです。

 (1)ローワン・ダグラス、ウイリス・リサーチ・ネットワーク会長:
  この津波モデルは、先進的な学術研究を、顧客ニーズに直接結びつけることに成功した好例といえます。先進的な学問を、ウイリス社独自の分析および市場に関する専門知識と結びつけることにより、独自のモデルを開発することができました。

 (2)ウイリアム・トンプソン、ウイリス・リー日本地域責任者
  2004年スマトラ島沖地震、2011年東北地方太平洋沖地震で発生した巨大津波は、津波被害がどれほど甚大となりうるか例証しました。今後のリスク管理のためには、津波リスクを定量的に捉えることが必要です。これまで、日本の地震モデリングに関しては多くの研究蓄積がありましたが、津波に関しては、その複雑さによりモデリングが難しく、巨大地震およびそれによって引き起こされる津波のリスクを、総合的かつ定量的に捉えるには限界がありました。今回の津波モデルはその限界に挑戦したものです。このモデルを利用すれば、ウイリス・リーの顧客の皆様に、総合的なリスク情報を提供することが可能となります。

 (3)ティズィアナ・ロゼット、ロンドン大学UCL校EPIセンター所長:
  今回のウイリス・リーの津波モデル開発プロジェクトに携われたことを光栄に思っております。当センターは主に被害関数の開発を担当しましたが、津波のように発生頻度が低いものの被害程度が甚大な事象はデータ量が少ないため、その開発は非常に大きな困難を伴いました。今回開発しました被害関数は2011年東北地方太平洋沖地震による津波の詳細なデータを使用しており、現時点で考えうる最先端のものと自負しております。今後も世界で最も長い距離の津波を再現できる世界最大規模の施設を使用し津波による建物の被害の研究を続けていく予定です。こうした研究を通して津波被害関数の分野で最先端であり続けたいと考えています。

 ※1 東北大学災害科学国際研究所
  東日本大震災の経験を踏まえ、従来の防災・減災システムでは対応できない低頻度巨大災害に対応するための学際的研究所として、2012年に設立されました。災害科学に関する世界最先端の学際研究を、国内外の有力研究機関および被災自治体等と連携しながら展開しています。
  http://irides.tohoku.ac.jp

 ※2 ウイリス・リー
  1828年ロンドンで設立された保険ブローカー"ウイリス社"の再保険部門。世界有数の再保険ブローカーであり、再保険と自然災害モデリング、フィナンシャルモデリングの分析を統合した総合的ソリューションサービスを展開しています。またリスクマネジメント、リスク移転等のソリューションを提供、日本社とのビジネス関係は1899年に始まり、115年を超える歴史を有しています。
  http://www.willisre.com

 ※3 ウイリス・リサーチ・ネットワーク
  2006年に設立。ロンドンをベースとして、約50の世界有数の大学、研究機関と提携、金融業界としては世界最大の産学協同研究組織を誇っています。科学と保険、自然災害からの復元力(resilience)を融合したテーマを中心に、リスク関連業界、保険・再保険業界が今後、環境システム、金融市場、公共政策の中でチャレンジするための研究に取り組んでいます。
  http://www.willisresearchnetwork.com

 ※4 ロンドン大学UCL校(EPI Centre)
  EPIセンターはUCL校の社会基盤、環境、地球数学工学部門として2007年に設立。地震およびその他自然災害が社会とインフラに与えるリスクを研究し、自然科学、工学、リモート・センシング、社会学の手法を多岐にわたって取り入れています。災害管理(ディザスター・マネジメント)を伴った地震工学の分野では国際的な連関を持ち、ウイリス・リサーチ・ネットワークのメンバーとしても活動しています。
  http://www.epicentreonline.com/



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