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カイオム・バイオサイエンス、エボラウイルスに対する抗体作製に成功
エボラウイルスに対する抗体作製成功に関するお知らせ
当社は、ビジョンであるパンデミック感染症対応を目的とした研究開発において、西アフリカの一部の地域において感染者の急激な増大により深刻化しているエボラウイルス病の原因ウイルス抗原に対する抗体作製プロジェクトを実施いたしましたところ、平成26年12月1日に抗体の作製に成功いたしましたので、お知らせいたします。
本抗体作製プロジェクトでは、オリジナルADLib(R)システムを用い、エボラウイルスの特定抗原(感染リスク対応のため抗原を不活化したもの)に対し反応性を示す抗体作製を短期間で実現いたしました。当社では、本成果が、エボラウイルス病に対する治療用抗体医薬品の研究開発を積極的に前進させるものとして有望であると考えており、今後はさらに多様な抗体の作製を含めて物性、機能性や薬効に関する研究開発を進めていく予定です。
ADLib(R)システムの特徴は、「抗体取得の多様性」と「短期間での抗体取得」であり、ウイルスによる感染症の脅威である変異に対しても迅速に抗体作製できる優位性を有していると考えております。インフルエンザウイルスに対する抗体作製の実績を含め、パンデミック感染症対応に向けた抗体作製プロジェクトを継続するとともに、当社のビジョンであるパンデミック感染症への対応能力を証明するための取り組みを強化しております。また、今回のオリジナルADLib(R)システムから得られる抗体作製の知見を完全ヒトADLib(R)システムに取り込み付加価値をさらに向上させてまいりますが、具体的なターゲットやデータ等に関しましては、特許戦略上の観点から開示を控えさせていただいております。今後、海外のバイオカンファレンスや学会等を通じてこれまでと同様に研究成果をご報告して参ります。
当社は、感染症領域での研究開発投資を積極的に行うことが当社の企業価値の向上や社会への貢献に寄与する成果を輩出できると考えており、今後も同領域での研究開発活動を継続して参ります。
なお、本件は開発の初期段階にあるため、通期業績への影響は軽微であります。
【完全ヒトADLib(R)システムについて】
DT40細胞のもつニワトリ抗体の遺伝子の主要部分をヒト抗体の遺伝子に置き換えることで、最初からヒトの抗体を作り出すことが可能なADLib(R)システム(完全ヒトADLib(R)システム)です。
【オリジナルADLib(R)システムについて】
ニワトリ細胞をもとにして作製された細胞株であるDT40細胞のもつ抗体遺伝子の組換えを活性化することによって、抗体タンパクの多様性を増大させ、特定の抗原を固定した磁気ビーズで特異的抗体を産生する細胞をつり上げる仕組みです。理化学研究所で開発された技術で、当社はその独占的な実施権を保有しております。
既存の方法に比べ、迅速性に優れていること及び従来困難であった抗体取得が可能であること等の点に特徴があると考えております。
以上