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アイロムHD、エイズ予防ワクチンの第I相臨床試験暫定的結果を発表
当社子会社がIAVIと共同で開発したエイズ予防ワクチンの
第I相臨床試験暫定的結果のお知らせ
当社の100%子会社であるディナベック株式会社(本社:つくば市、代表取締役会長:森 豊隆、以下、「ディナベック」)は、国際エイズワクチン推進構想(IAVI)(※1)と共に、共同で開発したエイズウイルス予防ワクチン(以下、「HIV予防ワクチン」という)について、英国、東アフリカ地域のルワンダおよびケニアで、その安全性と副作用の有無および免疫反応の誘導能を調べるための臨床試験を実施しました。その暫定的結果についてディナベックが、第28回日本エイズ学会学術集会・総会(大阪)において発表しますのでお知らせいたします。なお同様の内容は、南アフリカのケープタウンで開催されたHIV Research For Prevention(HIVR4P)会議においてIAVIにより発表されております。
本製剤は、センダイウイルスベクターを用いてHIVのgag蛋白(※2)遺伝子を抗原(※3)とするワクチン候補であり、わが国においてディナベック、国立感染症研究所および東京大学医科学研究所が製剤化に向けた共同研究を行ってきたものです。本臨床試験は、単独投与と他のワクチン(アデノウイルス35型をベクターに用いてHIVgagを抗原とする)との組合せ投与のそれぞれの効果を調べるために行われたもので、センダイウイルスベクターを初めて点鼻投与方式(※4)で評価したものです。
臨床試験の第I相試験は、ルワンダ・ケガリ市にある米国エモリー大学のHIV予防研究所において2013年4月に開始され、続いて、ロンドンのチェルシー・アンド・ウエストミンスター病院、ならびにケニア・ナイロビのケニアエイズワクチン推進構想(KAVI)でも実施されました。臨床試験は順調に推移し、低用量群および高用量群(※5)の計65名への投与が完了し、そこで得られた暫定的データの解析を進めてまいりました。
これまでの解析により、全ての投与群で投与した本製剤に由来する重篤な副作用が観察されなかったことが確認されています。また、本製剤の投与により抗原であるgag蛋白特異的なT細胞応答(※6)と抗体産生(※7)が、他のワクチンとの組み合わせの投与群で観察されたことが報告されました。すなわち他のワクチン候補と本製剤の組み合わせによってHIVのgag蛋白に対する免疫誘導が確認されたこととなります。来年度には詳細な解析結果を終え、その結果を踏まえて当社は本製剤の今後の開発・導出等の計画を検討してまいります。
※1.国際エイズワクチン推進構想(IAVI)
IAVIは、安全で有効なHIV予防ワクチンの開発促進とその普及を目指して活動している国際的な非営利・非政府組織です。1996年に設立されたIAVIは、現在24カ国で、国際的なパートナーのネットワークを通じてワクチン候補の研究開発を行っています。IAVIについての詳細は、URL:http://www.iavi.orgをご覧ください。
※2.gag蛋白
HIVのウイルス内部蛋白の一種で粒子形成に関わるものです。免疫誘導のための抗原としても使用されます。
※3.抗原
病原体などの構成物(蛋白など)であり、体内で異物として認識された場合に、病原体に対する免疫反応を引き起こす物質です。
※4.点鼻投与方式
針を使用せず鼻粘膜に噴射またはドロップすることによりワクチンを投与する方法です。
※5.低用量群および高用量群
臨床試験は、用量漸増試験として安全性を確認しました。低用量群および高用量群では、それぞれ2×10の7乗および2×10の8乗CIU(感染力価)のセンダイウイルスベクターを投与しました。
※6.T細胞応答
リンパ球の一種であるT細胞が、免疫応答を促進あるいは抑制したり、病原体等に感染した細胞を直接殺したりする反応のことです。
※7.抗体産生
異物である抗原に特異的に結合する抗体が産生され、病原体等の異物を体内から排除することです。
2.ディナベックの概要
(1)商号:ディナベック株式会社
(2)主な事業内容:遺伝子医薬品、細胞・再生医療、バイオ製品の研究開発と販売等
(3)設立年月日:平成15年9月5日
(4)本店所在地:茨城県つくば市大久保6番
(5)代表者:代表取締役会長 森 豊隆
3.業績に与える影響
本結果による当期の業績予想に変更はありませんが、変更が生じる場合は、速やかにお知らせいたします。
以上