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鹿島、振動・騒音をコントロールし周辺環境に優しい制御発破方法を確立

2014-12-06

高度な制御発破により周辺環境に優しい発破掘削を実現
住宅地に近接した2現場で振動・騒音をコントロール


 鹿島(社長:中村満義)は、秒時現場設定型高精度電子雷管「eDev(TM)II」(※)を住宅地に近接するトンネル2現場での発破作業に適用し、様々なデータを蓄積しながら、高度な制御発破方法を確立しました。
 この制御発破方法で振動や騒音の波形を確実に分離することにより、発破の振動値を低減することはもとより、体感振動・体感騒音までも究極的に抑え、周辺環境に優しい発破掘削を実現します。

 *参考画像は添付の関連資料を参照

 ※「eDev」はOrica Explosives Technology Pty Ltdの登録商標です。


■開発の背景
 近年の山岳トンネル工事は、市街地や民家に近接するものが増えています。掘削に伴って発生する周辺環境への負荷(振動や騒音等)軽減の観点から、坑口部や市街地通過部においては発破による掘削ではなく、機械での掘削が基本となります。しかしながら、当該部分に硬岩が出現すると機械掘削では掘進不能に陥ったり、掘進に極端な時間を要し工程をロスする場合があるため、振動や騒音を抑えた「周辺環境に優しい発破」が、合理的な施工のための重要な課題の一つとなっています。
 発破による振動・騒音を低減するためには、装薬孔数を増やし1孔あたりの火薬量を少なくする制御発破が効果的です。ただしその効果を上げるためには、発破の振動・騒音波形が重なり合うことなく確実に分離されることが求められます。また、発破振動や騒音の体感的な不快感を低減させるためには、起爆秒時間隔をできるだけ短く設定し、発破の継続時間を短くすることが有効です。
 しかし、従来のトンネル発破用電子雷管は、標準的な秒時間隔が30ms(30ミリ秒:1000分の30秒)に固定されており、発破孔全孔を分割して爆破させると、トータルの発破継続時間が長くなります。また、発破を分割できる数(段数)にも制限があり、一段あたりの火薬量が多くなるなど、課題がありました。


■「eDevII」を用いた高精度な制御発破の効果検証
 鹿島は、「eDevII」が持つ秒時精度(設定秒時±0.01%)と、秒時間隔を現場で1ms単位に設定できるという優位性に着目、住宅地に近接するトンネル2現場の制御発破に本格的に適用しました。
 愛知県豊田市で施工中の一級河川安永川トンネル新設工事(平和・秋葉工区)では、地上の住宅地からわずか十数m下を掘削するという、非常に近接した施工条件となるため、周辺住宅地への振動低減が大きな課題でした。「eDevII」を適用し、一連の発破試験を通じて振動値や周波数特性などのデータ、ノウハウを蓄積した結果、先行起爆孔と後続起爆孔の振動波形が重なり合うことによる振動の増幅を回避しつつ、それぞれの起爆秒時間隔を可能な限り小さくすることで発破継続時間を短縮し、振動値と振動体感をともに抑える発破方法を確立しました。
 また、起爆秒時間隔を高精度に制御することによって、振動の卓越周波数(最も振幅が大きくなる周波数)をコントロールできることも確認しました。卓越周波数を高周波帯に移行させることによって距離減衰の効果を高めるほか、地上構造物の共振周波数を回避することも可能です。(特許出願中)

 *参考資料は添付の関連資料を参照

 新名神高速道路箕面トンネル西工事(大阪府箕面市)では、坑口部付近に民家が点在しているため、周辺住民に対する騒音・低周波音対策が大きな課題となりました。そこで、「eDevII」による制御発破を行い、起爆秒時間隔を短くかつ切れ目なく連続的に設定し、発破の継続時間を1秒程度に抑えるとともに、発生する発破騒音を高周波数帯にシフトさせました。この結果、工事ヤード外の住宅地における低周波音圧レベルが、従来の雷管と比較し4〜5dB低減されました。(特許出願中)また同時に、高周波数帯に対して効果が高いとされる、防音扉や防音壁による発破騒音の減衰効果を高めることにもなるため、周辺環境への負荷軽減に極めて効果的であることも確認できました。


■今後の展開
 秒時現場設定型高精度電子雷管「eDevII」は、発破の順序や秒時間隔を現場で正確に制御、修正できる特性を有するため、計測した振動等のデータを次回の発破にフィードバックすることができます。そのため、これまでに適用したトンネルにおいても、それぞれの周辺環境の条件に合った発破順序や秒時間隔を設定し、振動や騒音を低減するノウハウを蓄積しています。
 今後もデータやノウハウの蓄積を継続し、市街地の山岳トンネル工事での周辺環境に配慮した合理的な施工を進めるとともに、振動・騒音の低減だけにとどまらず、掘削時の余掘り低減や長孔発破への応用も視野に入れ、トンネル発破掘削技術の最適化を図っていきます。


■工事概要

(安永川トンネル)
 発注者:豊田市
 工事名:一級河川安永川トンネル新設工事(平和・秋葉工区)
 工事場所:愛知県豊田市秋葉町ほか地内
 工期:2010年9月〜2015年2月
 施工者:鹿島・藤本建設共同企業体
 工事諸元:トンネル延長1,860m、掘削工法TBM導坑及びNATM拡幅

(箕面トンネル西)
 発注者:西日本高速道路株式会社 関西支社
 工事名:新名神高速道路 箕面トンネル西工事
 工事場所:大阪府箕面市
 工期:2012年6月〜2016年6月
 施工者:鹿島建設株式会社
 工事諸元:トンネル施工延長 上り線2,916m下り線2,895m、掘削工法 NATM掘削



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