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資生堂、皮膚感作性試験代替法「h−CLAT(エイチクラット)」の特許使用を無償化

2014-11-27

資生堂、実験動物を用いずに化学物質のアレルギー性を調べる
皮膚感作性試験代替法“h−CLAT(エイチクラット)”の特許使用を無償化


 資生堂は、花王株式会社(以下、花王)と2003年から共同開発してきた、実験動物を用いずにヒト由来の培養細胞(細胞株)で化学物質のアレルギー性を正確、迅速かつ低コストで調べることができる皮膚感作性試験代替法「h−CLAT(エイチクラット)(※1)」の基本技術について、国内特許(※2)を有しています。h−CLATについては、世界共通の公的試験法である「OECD(※3)テストガイドライン」化に向けた取組みを積極的に進め、2015年の決定・収載を目指した最終審議がなされる段階に進展しています。これを機に、動物実験削減の一助となるh−CLATの普及拡大をはかるべく、本年12月1日よりh−CLATに関する特許使用を無償化します。

 資生堂は、動物実験代替法を中心とした新たな安全性保証体系を確立し、2013年2月に社内外での動物実験の廃止(全廃)を決定しました。自社での動物実験廃止にとどまることなく、全世界レベルでの動物実験削減に向けて、動物実験代替法の研究開発と、開発した代替法の公的試験法化に向けた取り組みを国内外で積極的に行っています。

 ※1human Cell Line Activation Test
 ※2「特許第4270702号」、発明の名称「感作性物質のインビトロ評価法」
 ※3OECD:経済協力開発機構

■動物実験を全廃した資生堂の取り組み
 資生堂は、動物実験を廃止するためには、安全性を保証する代替法の確立が必要条件と考え、社内での研究推進はもちろん、業界団体や代替法評価機関との協力関係の構築、産官学との連携など国内外での代替法の開発と、公的試験法化に努めています。
 2010年3月には、世界的に自然志向や動物愛護の考え方が広がるなか、動物実験廃止の取り組みに最も先進的な欧州委員会(EU)の法規(EU化粧品指令)も踏まえ、「お客さまに安心して化粧品をお使いいただけるよう安全性を厳格に守りながら、動物愛護の観点から化粧品における動物実験の廃止を目指す」宣言をしました。この宣言の後、有識者・学術関係者・動物愛護団体のステークホルダーの方々とともに、「化粧品の成分の動物実験廃止を目指す円卓会議」(※4)を開催し、さまざまな議論を重ねました。円卓会議での議論を反映して、動物実験代替法を中心とした新たな安全性保証体系を確立し、2013年4月より開発に着手する化粧品・医薬部外品における社内外での動物実験の廃止を決定しました。
 ただし、市場にある製品の成分に関して、改めてその安全性を証明する必要が生じ、そのための選択肢が動物実験しかない場合や、一部の国において化粧品の安全性保証に動物実験が不可欠となっている場合は除きます。
 動物実験を削減する代替法の公的試験法化に向けては、皮膚感作性試験代替法“h−CLAT”のOECDテストガイドライン化に向けて積極的に取り組み、2015年の決定・収載を目指した最終審議がなされる段階まで進展しています。また、眼刺激試験代替法についても日本における公的試験法化に向けた進展が見られるなど、EUに続き日本でも代替法の公的試験法化への流れが加速していると認識しています。

 ※4 2010年6月から2014年3月まで6回開催。詳細は本円卓会議のホームページをご参照ください。
  http://www.shiseidogroup.jp/csr/communication/canference/

■皮膚感作性試験代替法「h−CLAT」について
 皮膚に化学物質が接触して体が異物として認識し、次に接触した時に皮膚アレルギーが起こるかどうかを調べるのが皮膚感作性(皮膚アレルギー性)試験です。これまでは、世界共通の公的試験法として、実験動物を用いた以下の2つの試験が主に行われていました。
  ・モルモットを用いるGPMT(Guinea pig Maximization Test)
  ・マウスを用いるLocalLymph Node Assay(LLNA)
 昨今、動物愛護などの考え方が広まり、化粧品開発における動物実験に対する厳しい見方も世界的に広まっています。一方、化学物質の安全性評価は必然・必須であるうえに、企業としてもコストや時間を効率化できる、実験動物を用いない代替試験法は、時代の要請ともいえます。
 資生堂と花王は、それぞれ独自に皮膚感作性試験代替法の研究を進め、ほぼ同時期にヒト単球細胞株のひとつである“THP−1細胞”が皮膚感作性試験代替法に用いることができることを見出し、2003年1月より共同開発を進めてきました。
 その結果、これまでの実験動物を用いた世界共通の公的試験法“LLNA”と、同等の精度で感作性を予測できる皮膚感作性試験代替法“h−CLAT”の開発に成功しました。h−CLATについては、OECDテストガイドライン化に向けて積極的に取り組み、日本において厚生労働省や他企業などの支援も受けて試験法の有効性と有用性が検証されました。その後、EUが主導するバリデーション(妥当性検証)を経て、現在、世界共通の公的試験法であるOECDテストガイドライン収載に向けた最終の審議がなされています。
 h−CLATは、実験動物を用いる方法に比べて、サンプル量が20〜30分の1、コストが50分の1、時間が14分の1と、少量のサンプルで低コスト、短時間で高精度な感作性の予測ができる試験法です。化粧品にとどまらず、すでに医薬品や医療材料などの安全性評価、アレルギーの基礎研究など幅広く応用されています。


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