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田中貴金属、3Dプリンター向け白金基金属ガラスの粉末開発と造形に成功

2014-11-22

世界初、3Dプリンター向け白金基金属ガラスの粉末開発と造形に成功
白金、イリジウム添加ニッケル基合金を含む粉末3種の開発により、粉末焼結式積層法で造形可能
2014年12月1日より、白金族金属粉末材料のサンプル提供開始


 TANAKAホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:田苗明)は、田中貴金属グループの製造事業を展開する田中貴金属工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:田苗明)が、粉末焼結式積層法による3Dプリンターに対応する白金基金属ガラスの粉末を世界で初めて開発し、造形に成功したことを発表いたします。また、白金及びイリジウム添加ニッケル基合金の白金族金属粉末材料も開発し、造形物の作製に成功しました。田中貴金属工業は、2014年11月26日(水)から11月28日(金)まで、東京ビッグサイトで開催される展示会「国際粉体工業展東京2014 POWTEX TOKYO 2014」に出展し、これらの白金族金属粉末材料を初展示した後、2014年12月1日からサンプル提供を開始します。

 田中貴金属工業は、2004年に白金基金属ガラスの組成で特許を取得しておりますが、この度、独自の加工設備を用いて粒径や流動性などを調整することで、既存の粉末焼結式積層法に用いられる3Dプリンター装置で使用可能(※)な白金基金属ガラスの粉体化に、世界で初めて成功しました。加えてこの度、白金とイリジウム添加ニッケル基合金の2種の粉末材料も併せて開発しました。また、大阪府立産業技術総合研究所と共同研究を行い、粉末の材質と、形状に適したレーザーエネルギーの照射条件を解明することにより、白金、白金基金属ガラス、イリジウム添加ニッケル基合金の造形物の作製に成功しました。3Dプリンターを用いた白金基金属ガラスの造形は、世界初となります。田中貴金属工業では、白金族金属粉末材料の提供に加え、顧客のご要望に合わせた白金族金属粉末の粒径サイズ加工、白金族合金製造における組成のご提案、および造形物の製造を実施します。

 白金族金属は、高融点で耐久性がありますが、特に合金は切削加工や塑性加工などの加工性が低いものも多く、既存の造形法では形状に限りがありました。これらの材料を3Dプリンターで造形を可能にすることで、複雑形状の造形や、溶融温度が異なる異種材料を複合した製品の作製が可能になります。この度の開発により、耐食性が要求される医療材料の多品種少量製造や、耐熱性が要求される自動車産業及び航空宇宙産業分野における、特殊部品の工業用製品の展開が期待されます。田中貴金属工業は、3Dプリンター用白金族金属粉末材料の提供で、2020年度までに年間売上4億円を目指します。

 *参考画像は添付の関連資料「参考画像1・2」を参照

■白金基金属ガラスの可能性
 金属ガラスは、従来の金属と違い結晶構造を持たない非晶質金属の一種で、高強度、高硬度、低弾性率、超高耐食性、高透磁率、高成型加工性、表面平滑性、耐摩耗性、耐傷性、精密鋳造性、低振動減衰性などの特性を持つ事が広く知られており、次世代を担う新しい材料として着目されております。田中貴金属工業は、貴金属である白金を使用した白金基金属ガラスの素材開発や、パラジウム基金属ガラスに業界でもいち早く着手。2004年には、白金、銅、リンの組成で特許を取得しております。この他にも公知の組成を含め広く貴金属を含む金属ガラスの開発及び材料供試を実施しており、この度、3Dプリンターに対応する材料として、粉体化を実現しました。
 現在主流の金属ガラスの製造方法は、溶融金属を鋳型に注入し、これを急冷して凝固させる鋳造法です。鋳造法では、作製したい物の形状が変わるたびに鋳型を作り直す必要がありますが、特に速い冷却速度が要求される金属ガラスの製造には、熱伝導率の高い高価な金属製の鋳型が必要とされます。しかし、この金属製の鋳型を複雑な形状に加工することは困難であることから、作製したい物の形状が制限される点が実用化の課題の一つです。
 この度白金族系粉末材料を開発した3Dプリンターでの製造法は、粉末材料の上から一層ごと(約60マイクロメートル)にレーザービームを照射して造形するため、各層の表面を造形しながら急冷することができます。また、複雑な造形にも対応できることから、白金基金属ガラスの今後の更なる活用と実用化が期待されます。

 田中貴金属工業は、今後も3Dプリンターに対応した、各種白金族合金粉末材料の開発により、貴金属の有効利用の拡大を目指します。

 ※田中貴金属工業は、既存の3Dプリンター用他素材の金属粉末(ステンレス、ニッケルなど)と新開発した白金、および白金基金属ガラスの粉末の物性値を比較測定し、流動性や粒径の均一性が同程度であることを確認した。

≪参考資料≫
 粉末焼結式積層法(レーザー焼結法の場合)
 素材粉末を層状に敷き詰め、高出力のレーザービームなどで直接焼結して造形を行う方法。

 *図・会社概要は添付の関連資料を参照


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