清水建設など、手術室向け床免震システムをとちぎメディカルセンターで採用

「シミズ安震フロア」で日本初の免震手術室を実現へ
〜とちぎメディカルセンター第１病院（仮称）〜


　清水建設（株）＜社長　宮本洋一＞が新日鐵住金（株）と共同開発した手術室向け床免震システム「シミズ安震フロア」が、当社が施工中のとちぎメディカルセンター第１病院（仮称、栃木県栃木市）の手術室に初採用されることが決まりました。

　とちぎメディカルセンター第１病院（仮称）は、３０７床、２８診療科からなる急性期・亜急性期・二次救急医療センターとなる大規模医療施設で、一般財団法人とちぎメディカルセンターの発注、（株）山下設計の設計・工事監理のもと、２０１６年４月開院をめざして当社が施工を進めています。規模は７階建て、延床面積２４，２６２m2、構造は鉄骨造です。

　震災時にも病院としての機能を維持できるように、建築基準法で定められている必要保有水平耐力（耐震性能）に対して１．２５倍の余裕度を持たせることで、仮に震度７クラスの地震が発生しても、人命の安全確保はもちろん、建物の倒壊を防止する構造計画がなされています。ただし、免震構造のように、医療機器や什器、備品の転倒・損傷被害までは防止できないことから、手術室で行う重要な医療行為が地震により中断され、再開不能になることが懸念されました。

　そこで当社は「シミズ安震フロア」による手術室の免震化を提案したところ、その免震効果が評価され初採用されることになりました。シミズ安震フロアは、２枚重ねの薄手（各１．６mm）の鋼板を用いて手術室を免震化する非常にシンプルな装置です。地震時には、床上に固定する亜鉛メッキエンボス鋼板製のフロアプレートの上を亜鉛メッキ製の免震プレートが滑ることにより、高い免震効果を発揮します。

　今回、シミズ安震フロアを適用した手術室の大きさは７２m2で、適用した亜鉛メッキエンボス鋼板は７２m2、免震プレートは５６m2です。免震プレートは手術室の壁とバネで連結されており、地震の揺れが収まると定位置に戻ります。大地震時でも免震プレートに作用する加速度が１００〜２００ガル（０．１〜０．２G）程度に低減されるので、医療設備・機器の移動・転倒防止を図ることができます。今回の採用を契機に、シミズ安震フロアの普及に弾みがつくことが期待されます。


以上


≪参考≫
　１．とちぎメディカルセンター第１病院（仮称）
　　建設地：栃木県栃木市大平町川連字牛久堺４２０番１、外
　　発注者：一般財団法人　とちぎメディカルセンター
　　設計・監理：（株）山下設計
　　施工：清水建設（株）
　　規模・構造：建築面積７，０３１m2、延床面積２４，２６２m2、７階建て、鉄骨造（柱CFT造、梁S造）
　　工期：２０１４年３月〜２０１６年１月

　２．シミズ安震フロアの仕組み
　　地震時に免震プレートがフロアプレートの上を滑ることで免震効果を発揮し、ばねの働きにより地震収束時に免震プレートが元の位置に戻る。両プレートの接触面には特殊な表面処理を施していることに加え、フロアプレートの表層に直径５mm、高さ０．４mmの円盤状の突起群（エンボス加工）を設けてプレート同士が接触する面積を小さくするなどの工夫により、プレート間の摩擦係数を０．１〜０．２に留めた。これは、免震プレートには重力加速度（１G）の１０〜２０％の加速度しか作用しないということを意味する。このため、大地震に遭遇しても、免震プレートに作用する加速度が１００〜２００ガル（０．１〜０．２G）程度に低減される。通常規模の手術室の場合、コストは１，８００万円程度で、従来の床免震の１／２〜１／３で済む。

　※図は添付の関連資料を参照

３．性能検証実験の様子

　※参考資料は添付の関連資料を参照

　　大型振動台により、震度６強の揺れを再現した性能検証実験の様子。シミズ安震フロアにより免震化した手術室では免震プレートがゆっくり移動するだけで手術台の移動・転倒は確認されなかったが、非免震の手術室では手術台が激しく動き、転倒寸前の状態になった。