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NEDOとダイキン、年間運転効率を大幅に向上するビル用マルチエアコンを開発

2014-10-24

年間運転効率を大幅に向上するビル用マルチエアコンを開発
−新制御技術で年間41%の消費電力量削減を達成−


 NEDOとダイキン工業(株)(※)は、負荷に合わせて冷媒温度をコントロールする新しい冷媒制御技術と、停止時の待機電力を削減する制御技術を開発し、従来機に比べ年間で41%の消費電力量削減を達成しました。これら新制御技術をベースにダイキン工業(株)は、新型圧縮機に関する独自開発の技術を組み合わせることで、年間運転効率を大幅に向上したビル用マルチエアコンを開発しました。
 低負荷運転の割合が比較的多い事務所用途や既存設備のリニューアルなどに広く展開することで、空調における大幅な省エネルギー化を実現し、建物のネット・ゼロ・エネルギー化(ZEB)を加速させます。

 ※NEDO委託事業「次世代型ヒートポンプシステム研究開発/次世代型ビル用マルチヒートポンプシステムの革新的省エネ制御の研究開発」(平成22年度〜24年度) 委託先:中部電力株式会社(再委託先:ダイキン工業株式会社)、国立大学法人三重大学、株式会社日本設計

 *図1・2は添付の関連資料を参照


1.概要
 一般のビル用マルチエアコンは、負荷率50%未満の低負荷領域において、断続運転などによるエネルギー消費効率(COP)の低下が見られます。一方、実際の建物に設置されるビル用マルチエアコンは、ピーク負荷をベースに選定されますが、その発生頻度は極めて低く、負荷率50%以下の低負荷領域での運転が90%程度を占めています(※1)。ビル設備においては、空調機の消費エネルギーは約5割(※2)を占めており、空調機の年間運転効率の大幅な向上、特に低負荷運転での高効率化が重要な課題となっています。
 これらを解決するため、NEDOとダイキン工業(株)は、負荷に合わせて冷媒温度をコントロールする新しい冷媒制御技術と、停止時の待機電力を削減する制御技術を開発し、プロジェクト(※3)における実証結果では、従来機に比べ年間で41%(※1)の消費電力量削減を達成しました。開発した新制御技術をベースにダイキン工業(株)は、低負荷運転時の運転効率を大幅に向上する新型圧縮機に関する独自開発の技術を組み合わせることで、年間運転効率を大幅に向上したビル用マルチエアコンを開発しました。
 また、関連するプロジェクト(※4)における実証試験では、デシカント空調機(※5)と組み合せて潜熱・顕熱分離空調を最適に行うことで、快適性を維持しながら冷房時47%、暖房時27%(※6)の消費電力量削減を達成しました。同時開発したエネルギーシミュレーションを用いて、本システムを高性能建築物(高気密、高断熱)に設置した場合の効果を検証したところ、年間で71%の消費電力量削減となる結果(※6)を得ました。
 今後、開発したビル用マルチエアコンを、低負荷運転の割合が比較的多い事務所用途や既存設備のリニューアルなどに広く展開することで、空調における大幅な省エネルギー化を実現し、建物のネット・ゼロ・エネルギー化(ZEB)を加速させます。

 *図3・4は添付の関連資料を参照


2.今回の成果
 開発したビル用マルチエアコンの性能・特長は以下のとおり。

(1)圧縮漏れ・ロスを極小化した新型スクロール圧縮機を搭載
 ビル用マルチエアコン等の大容量機で採用されるスクロール圧縮機では、回転時に圧縮する容量が固定であることから、低負荷・低回転時の過圧縮や、圧縮漏れのロスが発生していました。今回搭載する新型圧縮機では、低回転時の圧縮漏れロスを極小化する「背圧コントロール機構」を採用し、スクロールの弱みを払拭するとともに、定格能力時においても効率を向上する「中間インジェクション回路」も新たに採用し、年間を通じた運転効率の向上を実現しました。

(2)必要負荷をリアルタイムに把握し、圧縮機回転数を抑える新制御を搭載
 室外機に多数の室内機が接続されるビル用マルチにおいては、室内負荷に対し、能力不足を防ぐために、冷媒温度を固定して室内機で冷媒流量を調整し、室内温度を調整していました。課題として、低負荷時に能力過多が起こり、圧縮機の断続運転が発生して、ロスとなっていました。新たに開発した制御では、負荷推定により各室内機で必要な能力をリアルタイムに把握し、システムに最適な冷媒温度へ変更することで圧縮機回転数を抑え、効率向上が可能となります、さらに、最適な冷媒温度にすることで吹出温度の冷やしすぎ・暖めすぎを防ぐことができ、室温変化の少ない空調を実現し、快適性を損ねることなく省エネ性を向上できます。

(3)待機電力を約15%削減し、運転していないときも省エネ
 空調機の待機電力のうち、消費電力量の多いクランクケースヒータのON/OFFを最適化する新制御を採用し、空調機を使っていない時の電力も約15%削減します。

(4)デシカント空調機(※5)との組合せにより、快適性の維持と大幅な省エネを実現
 デシカント空調機(※5)(DESICA)との組合せにより、ビル用マルチエアコンを温度制御に特化し、湿度制御をデシカント空調機に特化することによって、新型スクロール圧縮機の「背圧コントロール機構」およびビル用マルチエアコンの新制御による低負荷効率の向上を最大限発揮することが可能となりました。これにより、除湿量を確保することによって快適性を維持しながら、高いエネルギー消費量削減効果を得ることが可能となります。

 なお、上記(1)はダイキン工業(株)が新開発した独自技術、(2)〜(4)に関しては、上記NEDOプロジェクト(※3)、(※4)の技術開発成果を活用したものです。


3.今後の予定・計画
 ダイキン工業(株)は、このたび開発したビル用マルチエアコンを、2015年3月2日より販売する予定です。


【用語解説】
 ※1 冷暖同時ビル用マルチエアコンと冷暖切替ビル用マルチ外調機の組み合わせによる結果、(社)空気調和・衛生工学会平成25年度大会にて発表
 ※2 出典:資源エネルギー庁推計 事務所ビルにおいて
 ※3 NEDO委託事業「次世代型ヒートポンプシステム研究開発/次世代型ビル用マルチヒートポンプシステムの革新的省エネ制御の研究開発」(平成22年度〜24年度) 委託先:中部電力株式会社(再委託先:ダイキン工業株式会社)、国立大学法人三重大学、株式会社日本設計
 ※4 NEDO助成事業「省エネルギー革新技術開発事業/直膨個別分散空調機を用いた潜熱・顕熱分離空調システムによる空調消費エネルギー削減立証およびエネルギー性計算手法の研究開発」(平成23年度〜24年度) 助成先:ダイキン工業株式会社、国立大学法人名古屋大学、株式会社日建設計総合研究所
 ※5 ダイキン工業(株)製 DESICAをZEB向けに改良したもの
 ※6 (社)空気調和・衛生工学会平成25年度大会にて発表



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