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フジタ、リアルタイム温度応力解析システム「マスコンウォッチャー」を開発
リアルタイム温度応力解析システム『マスコンウォッチャー(R)』を開発
−コンクリートの最適養生とひび割れ低減を実現−
株式会社フジタ(本社:東京都渋谷区、社長:上田卓司)は、打ち込まれたコンクリートの発熱状況やひび割れ発生確率をリアルタイムで解析し、最適な養生を行うことでひび割れの発生を抑制、高品質なコンクリート構造物を構築できるシステム「マスコンウォッチャー(R)」を開発しました。
「マスコンウォッチャー(R)」は、現場に設置した無線式温湿度計のデータを逐次リアルタイムでパソコンに取り込み、打ち込まれたコンクリートの現状の温度分布やひび割れ発生確率を数値解析によりリアルタイムで把握し、その解析結果に基づいてコンクリートの養生方法の改善を迅速に行い、ひび割れ発生を低減させることができるシステムです。
マスコンクリート(土木構造物をはじめ部材寸法の大きなコンクリート構造物)では、セメントの水和発熱の影響によりコンクリートにひび割れが生じます。コンクリート構造物に発生するひび割れを低減するには、材料面と施工面の対策が必要ですが、特に施工面の対策としては打ち込まれたコンクリートの現状の温度分布を評価するとともに、最適な養生方法を検討して迅速な対策を講じる事が重要となります。そのため、打ち込まれたコンクリートの温度計測が実施されますが、事後の評価として活用されることが多く、コンクリートの温度分布をリアルタイムで把握、更にひび割れ発生リスクを評価し、養生などの対策に反映できるものではありませんでした。
本システムでは、まず打ち込まれたコンクリートの周辺に無線式の温湿度計を設置し、コンクリートの養生環境を計測します。そして、この計測結果を現場事務所等のパソコンに逐次取り込み、このデータをコンクリートの養生条件として3次元FEM法(※1)による温度応力解析を30分から1時間間隔で行い、現場に打ち込まれたコンクートの温度分布やひび割れ指数をリアルタイムで把握します。そして、この解析結果に基づいて外部養生装置(散水、温湿度制御、パイプクーリング、ヒーター等)を制御することでコンクリートに最適な養生を与えます。これらのシステムにより、従来の施工管理方法よりも迅速な対応と定量的な制御が可能となり、温度ひび割れの発生リスクを大幅に低減し高品質なコンクリート構造物を構築することができます。
※1 FEM法:有限要素法(Finite Element Method:FEM)は、力学をはじめとする工学の諸分野における微分方程式の数値解法として用いられている数値解析手法です。コンクリート分野では、セメントの水和発熱による熱伝導解析が行える汎用の温度応力解析ソフトがコンクリート学会やソフトメーカーから販売されており、一般的な解析手法として利用されています。
*図1〜3は添付の関連資料を参照