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JSTなど、小学生の脳が英単語を処理する脳活動の基本パターンを解明

2011-02-28

小学生の脳の英語処理は音声から「言語」へ
―小学生の大規模研究で英単語を処理する脳活動の基本パターンを解明―



 首都大学東京 大学院人文科学研究科の萩原裕子教授らの研究グループは、光による脳機能イメージング法、光トポグラフィを用いて、小学生約500人の母語・英語復唱時の脳活動を調べる過去最大規模の言語脳機能研究を実施しました。その結果、母語と英語を処理する時の脳活動に顕著な差があること、音声分析の進行とともに語彙(ごい)習得が進み、それに伴って脳活動が右半球(右脳)から左半球(左脳)へと移行する可能性を見いだしました。
 まず、実験で言語音として聞き慣れない英語を処理する際は、母語を処理する場合に比べて脳活動が著しく低く、非語と同様の処理が行われていました。これは、小学生の段階で脳はすでに母語にチューニングされていることを示唆しています。次に、一般に、言語を司る領域は左半球にあると言われており、実験でもよく知っている単語の処理では左半球の角回が活発に活動していましたが、逆にあまり知らない単語の処理では、右半球の縁上回が活発に活動することが分かりました。さらに、言語領域としてよく知られているブローカ野においても、右半球のブローカ野に相当する場所が活発に活動していました。これらの結果は、音声言語処理には左右両半球が関与し、特に語彙獲得の初期には右半球が重要な役割を担っている可能性を示しています。子どもたちの脳は、未知の言葉を習得する際には、言語を問わず、音のリズム、アクセント(音の強弱)、イントネーション(抑揚)などを頼りに処理していると考えられます。
 本研究結果から、子ども達が新しい言葉を耳から学ぶ時には、脳ではまず音声の分析が優先的に行われ、それが意味を持つ「言語」へと徐々に移行する可能性が示唆されました。本研究は、学齢期初期における外国語習得の基礎資料となるもので、小学校における効果的な英語活動や、脳科学的な根拠に基づく英語学習法の開発へ道を開くものと期待されます。
 本研究は、科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発事業「脳科学と社会」研究開発領域(領域総括:小泉英明 株式会社日立製作所 フェロー) 研究開発プログラム「脳科学と教育」(タイプII)の研究開発プロジェクト「言語の発達・脳の成長・言語教育に関する統合的研究」(平成16年12月〜平成21年11月)(研究代表者:萩原裕子)の一環として行われたもので、株式会社日立製作所基礎研究所および自治医科大学の檀一平太准教授らの研究グループの協力を得ました。本研究成果は、2011年2月24日(米国 現地時間)に、米国科学誌「Cerebral Cortex (大脳皮質)」のオンライン版で公開されます。

 なお、研究の概要については、別紙をご覧ください。


【別紙】

 *添付の関連資料を参照


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