アジレント、ゲノムなど解析用にターゲットＲＮＡ濃縮システム「ＳｕｒｅＳｅｌｅｃｔ　ＲＮＡ　Ｃａｐｔｕｒｅ　キット」を販売

アジレントが　ターゲット　ＲＮＡ濃縮キットを発表

癌・幹細胞研究を進歩させるトランスクリプトームプロファイリングを効率化


　アジレント・テクノロジー株式会社（社長：梅島　正明、本社：東京都八王子市高倉町９番１号）は、研究対象となる特定のゲノム領域や転写産物を集中的に解析することを可能にする初の商用ターゲットＲＮＡ濃縮システム「ＳｕｒｅＳｅｌｅｃｔ　ＲＮＡ　Ｃａｐｔｕｒｅ　キット」を発表、本日より販売を開始します。このＲＮＡ　Ｃａｐｔｕｒｅキットを使えば、研究対象の遺伝子の発現レベルを精度よく測定し、アレル特異的な発現やスプライシング、融合遺伝子を検出することが可能です。

　この画期的なキットは米国Ｂｒｏａｄ　ＩｎｓｔｉｔｕｔｅのＪｏｓｈｕａ　Ｌｅｖｉｎ氏らの研究をもとに開発したもので、Ｂｒｏａｄ　Ｉｎｓｔｉｔｕｔｅ　とアジレントとの継続的な協力から生まれた最新の製品です。

　自治医科大学および東京大学で教授を務める間野博行医学博士は次のように語っています。
　「Ａｇｉｌｅｎｔ　ＳｕｒｅＳｅｌｅｃｔ　ＲＮＡ　Ｃａｐｔｕｒｅは、癌研究における　ＲＮＡ　シーケンシングの効率を高めるもので、腫瘍組織から調製したｃＤＮＡライブラリから新たな融合遺伝子を発見するためには欠かせないツールです。肺癌における　ＥＭＬ４−ＡＬＫ　変異の発見は、有力な抗がん剤候補であるＡＬＫ阻害剤の開発につながりました。発癌に関連する融合遺伝子などの新たな治療ターゲットを研究すれば、他の癌についても、それぞれに適した医療の発展を促進できると確信しています。」


マルチオミクス機能

　この新しいＲＮＡ　Ｃａｐｔｕｒｅキットを使うと、ひとつの研究のなかでターゲットゲノムおよびトランスクリプトームのデータを融合させ、「Ｉｎｔｅｇｒａｔｅｄ　Ｂｉｏｌｏｇｙ」的観点からサンプルを解析することが可能になります。こうした機能を可能にするのが、同一の遺伝子セットについて最大６．８　Ｍｂ（メガベース）のＤＮＡと　ＲＮＡを濃縮できるカスタムＳｕｒｅＳｅｌｅｃｔデザインの作成です。アジレントの　ｅＡｒｒａｙデザインツールを使えば、個々の研究のニーズにぴったり合ったキットを作成することが可能です。


アジレントで　ＳｕｒｅＳｅｌｅｃｔ　プラットフォーム担当マーケティングディレクタで博士号を持つＦｒｅｄ　Ｐ．　Ｅｒｎａｎｉは次のように語っています。
　「ＲＮＡシーケンシングは、トランスクリプトームのプロファイリングにおける有力なツールとして、急速に広がりつつあります。アジレントのＲＮＡ　Ｃａｐｔｕｒｅ　キットは、まれな割合の事象の検出を可能にし、ターゲットＲＮＡ　のシーケンシングにおいて、堅牢でコスト効率の良い手段を提供します。アジレントのゲノム　ＤＮＡターゲット濃縮システムは、遺伝学的な発見においてきわめて大きな効果を発揮し、大きな成功を収めています。既に影響力の大きな学術雑誌に　３０　報以上の関連論文が掲載されたことがそれを証明しています。今回発売されたＳｕｒｅＳｅｌｅｃｔ　ＲＮＡ　Ｃａｐｔｕｒｅキットも、遺伝子の発見に同様の影響を与えるものと期待しています。」


ＳｕｒｅＳｅｌｅｃｔ　Ｈｕｍａｎ　Ｋｉｎｏｍｅ　キット
　カスタム　ＳｕｒｅＳｅｌｅｃｔ　ＲＮＡ　Ｃａｐｔｕｒｅキットに加えて、アジレントは　ターゲットＲＮＡ濃縮用のＳｕｒｅＳｅｌｅｃｔ　Ｈｕｍａｎ　Ｋｉｎｏｍｅキットも発表します。このキットは、キナーゼおよびキナーゼ調節遺伝子の最も包括的なセットの解析を促進するものです。ＤＮＡ濃縮とＲＮＡ濃縮のそれぞれに対応する製品を持つこの製品群を使えば、転写調節におけるゲノム変異の影響を効率良く調べることができます。

　このキットは、Ｉｌｌｕｍｉｎａ　Ｇｅｎｏｍｅ　ＡｎａｌｙｚｅｒやＨｉＳｅｑ、Ｌｉｆｅ　Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｉｅｓの　ＳＯＬｉＤといった最先端の次世代シーケンシングプラットフォームに適合するように最適化されています。マルチプレックスシーケンシング用にサンプルをインデックス化できるので、ワークフローを簡単にスケールアップすることが可能です。また、試薬はすべて、自動分析に対応しています。ＲＮＡ　Ｃａｐｔｕｒｅ用のワンボタン自動化プロトコルも、まもなくアジレントの　Ｂｒａｖｏ自動分注システムのプロトコルに追加される予定です。
　ＲＮＡ　Ｃａｐｔｕｒｅ　用の　ＳｕｒｅＳｅｌｅｃｔ　カスタムおよびカタログキットは、２００　Ｋｂ　未満から６．８　Ｍｂまでの領域の濃縮に対応しています。１　キットあたりの反応数は５〜１００００　です。

　ＳｕｒｅＳｅｌｅｃｔ　ターゲット濃縮システムは、Ｓｃｉｅｎｃｅ　Ｍａｇａｚｉｎｅの　１２　月　１７　日号で紹介された２０１０年の画期的研究トップ１０のうち、２つ（「Ｒｅａｄｉｎｇ　ｔｈｅ　Ｎｅａｎｄｅｒｔａｌ　Ｇｅｎｏｍｅ（ネアンデルタール人ゲノムの解析）」と「Ｈｏｍｉｎｇ　Ｉｎ　ｏｎ　Ｅｒｒａｎｔ　Ｇｅｎｅｓ（逸脱した遺伝子に狙いを定めよ）」）で言及されています。


アジレント・テクノロジーについて
　アジレント・テクノロジー（ＮＹＳＥ：Ａ）は、化学分析、ライフサイエンス、エレクトロニクス、コミュニケーション市場における世界のプレミア・メジャメント・カンパニーであり、またテクノロジー・リーダーでもあります。１８，５００名の従業員を擁し、１００カ国以上でビジネスを展開しています。アジレントは、２０１０年度、５４億ドルの売上高を達成しました。アジレント・テクノロジーの情報は、以下のウェブサイトでご覧ください。
　http://www.agilent.co.jp

　※このプレスリリース中の「アジレント・テクノロジー」、「アジレント」、「当社」は、文脈により、「アジレント・テクノロジーズ・インク」、その日本法人や各国の法人、グループ全体を指すことがあります。

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