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日本TIとMIT、モバイル・アプリケーション・プロセッサの設計手法で共同論文を発表

2011-02-25

TI、MITと共同して、次世代のマルチメディアおよび
コンピューティング機能にウルトラ・ローパワー動作を提供する、
28nmプロセス、0.6V動作の新型DSPを開発

ISSCCにおいて、設計および分析手法についての論文を発表



 テキサス・インスツルメンツとマサチューセッツ工科大学(MIT)は、米国で開催されたIEEE International Solid−State Circuits Conference(ISSCC)において、28nmプロセスで製造するモバイル・アプリケーション・プロセッサの設計手法の詳細に関する共同研究論文を発表しました。この"A 28nm 0.6V Low Power Digital Signal Processor(DSP) for Mobile Applications"(「28nmプロセスで製造されたモバイル・アプリケーション向けローパワーDSP」)と題された論文では、0.6V動作のウルトラ・ローパワー(ULP)モードから、1.0V動作のハイ・パフォーマンス・モードまで、幅広いスケーリング能力を備えたDSPについて解説します。このDSPはモバイル・デバイス市場において、低電圧動作および28nmプロセスで設計されたはじめてのシステム・レベルの製品であり、モバイル機器において、各種の先進的なアプリケーションを実行しながら、より低消費電力で電池による動作時間の延長を実現していくTIの継続的な取組みを現すものです。

 TIの主幹技師(Distinguished Member of Technical Staff)でISSCCの論文発表を担当するゴードン・ギャミー(Gordon Gammie)は次のように述べています。「TIのOMAP(TM)プラットフォームはたくさんのスマートフォン、タブレットそのほかのモバイル機器に搭載されていますが、マルチメディアおよびコンピューティングの機能が増加するに伴い、性能への要求と電池容量のギャップがさらに大きくなっています。28nmプロセス・テクノロジーの利点と、TIとMITの共同研究によって開発したローパワー回路および設計手法によって、モバイル機器の電池容量の制約の中で、次世代のプロセッサに要求される性能を実現するための、正しい知見が得られたと確信しています」


<発表の主な項目>
 高性能と超低電圧(ULV)動作のチップ設計には、いくつかの困難が伴います。その代表的なものには、プロセスのばらつきに影響されずに、定格電源電圧で動作が期待される高電圧性能を犠牲にせずに、低電圧機能およびタイミング・クロージャを達成することがあります。TIとMITは以下の2種類の手法を開発することで、これらの困難に対応しました。

 ・ULV回路
  低い電源電圧で駆動するディープ・サブミクロン・プロセスでは、低電圧においてチップ内のトランジスタのしきい値電圧のランダムな変動によって、チップ上の各回路が動作不良を起こすことがあります。新規のULV設計手法を用いて、スタンダード・セル・ライブラリとカスタム低電圧動作メモリを開発し、0.6Vでの安定した動作を実現しました。

 ・低電圧における統計的静的遅延解析(SSTA)
  スタンダード・セルの遅延時間の分布は、低電圧では正規分布とはなりません。正規分布に基づいた従来のSSTA解析ツール群は、0.6V動作では遅延時間を10〜70%も少なく見積ることがあります。新しく開発したSSTA手法によって、ULVにおける設計タイミングのばらつきを8%以下にまで向上させることができました。この、低電圧におけるタイミングを正確に分析する能力によって、過剰な設計マージンの設定が不要になるとともに、使用エリアおよび高電圧性能への影響を最少にすることができました。

 ローパワー設計分野の先駆者で、MITの教授であるアナンザ・チャンドラカザン氏(Ananza Chandrakasan)は次のように述べています。「28nmプロセスで低電圧動作のプロセッサを設計するためには、回路形式およびメモリの最適化から、カスタム低電圧タイミング・フローの開発まで、システム・レベルでの解決策が必要です。このチップは、スマートフォン向けのアプリケーション・プロセッサにおいて、高度に安定した低電圧および超低電圧動作を確実に実現する、高い競争力の低電圧設計手法を示す実例です」

 この論文で発表されるTIの0.6V ULP DSPは、低電圧および超低電圧設計の研究に関する長期に渡る協力関係の中で、MITの学生とTIの技術者のチームが設計したものです。

 TIのプリンシパル・フェローのジーン・フランツ(Gene Frantz)は次のように述べています。「今回の論文は、MITとTIのような、大学と企業の長期かつ有益な共同研究の最高の実例です。学生たちは、最新のCMOSプロセスで製造される、複雑な数百万個ものトランジスタを集積したDSPに関する革新的な考えを発表することで、その恩恵を得ることができます。一方、TIとその顧客各社は、学生たちの業績を早期に活用できるという利点を得ることができます」

 TIのワイヤレス・ソリューションについてはhttp://www.ti.com/issccpr-lpをご参照ください。TIの最先端のCMOSプロセスについてはhttp://www.ti.com/issccpr-cmosをご参照ください。



※OMAPはTexas Instrumentsの商標です。すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。



<テキサス・インスツルメンツおよび日本テキサス・インスツルメンツについて>
 テキサス・インスツルメンツ(本社:米国テキサス州ダラス、会長、社長兼CEO:リッチ・テンプルトン、略称:TI)は、世界を「もっと便利に、健やかに、安全に、環境にやさしく、かつ楽しく」するような新しいエレクトロニクス機器を開発できるよう、お客様を支援し、共に課題解決に取り組んでいます。TIは世界30ヶ国以上に設計、販売ならびに製造拠点を展開し、イノベーションを追求し続けています。詳しくはホームページ(http://www.ti.com/)をご参照ください。

 日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:和田健治、略称:日本TI)は、テキサス・インスツルメンツの子会社で日本市場における外資系半導体サプライヤです。当社に関する詳細はホームページ(http://www.tij.co.jp)をご参照ください。



<読者向けお問い合わせ先>
 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
 プロダクト・インフォメーション・センター(PIC)
 URL:http://www.tij.co.jp/pic



以上


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