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JX日鉱日石金属、チリでバイオマイニング技術の商業化適用を開始
バイオマイニング技術の商業化適用開始について
〜低品位一次硫化銅鉱の経済的な処理技術の開発〜
JX日鉱日石金属株式会社(社長:大井滋)とチリ国営銅公社(以下、「コデルコ」)との共同出資によるバイオシグマ社(社長:ピラール・パラーダ)が開発を行ってきたバイオマイニング技術について、コデルコが稼働中の鉱山への導入を決定し、商業化適用が開始されることとなりましたので、以下のとおりお知らせいたします。
1.バイオマイニング技術の概要
バイオマイニングは、湿式製錬法における酸による鉱石からの銅分の浸出を、微生物の働きにより促進させる技術です。今般バイオシグマ社が商業化適用するバイオマイニング技術(以下、「バイオシグマ技術」)は、鉱石の種類に応じた最適な微生物を選択的に利用することで、銅分の浸出率の向上を実現させます。特に、これまで経済性のある処理方法が確立しておらず資源として十分に利用されていなかった低品位一次硫化鉱(黄銅鉱など)に対する有効性が確認されています。
2.これまでの経緯と成果
当社は、低品位一次硫化鉱に対する経済性のある処理方法の確立を目的として、2002年にコデルコとの共同出資によりバイオシグマ社を設立しました。同社はこれまでの研究開発の過程で82件のバイオマイニングに関わる特許を取得しています。中でも、鉱石の種類に応じて特定した最適な微生物に対する遺伝子レベルでのモニタリング技術の確立と、これらの微生物を選択的に低コストで培養するバイオリアクターの開発は、バイオシグマ技術の大きな柱となっています。
2012年12月よりコデルコのラドミロ・トミッチ鉱山(チリ第II州)で行った、低品位一次硫化鉱5万トンを用いた1年間の実証試験では、バイオシグマ技術の適用により銅浸出率が30〜50%向上するとの結果を得ています。
3.商業化の概要
コデルコは上記の実証試験における良好な結果を踏まえて、今般、ラドミロ・トミッチ鉱山へのバイオシグマ技術の導入を決定しました。その第一歩としてまず低品位一次硫化鉱360万トンへ適用される予定です。同鉱山ではこれまで湿式製錬の対象としていた酸化鉱の枯渇が迫っていましたが、本決定により操業期間の延長が図られることとなります。
4.バイオシグマ技術の意義
世界の銅需要は今後も堅調な拡大が見込まれていますが、供給面では既存鉱山における生産が進み、埋蔵鉱石品位の低下とこれに伴う処理コストの増加が顕著となっています。今後も安定的な供給を継続するためには、埋蔵量の最も多い一次硫化鉱を対象とした効率的な低コストの処理技術の開発が不可欠です。
バイオシグマ技術は、まさにこのようなニーズに合致するもので、特に、これまで資源として十分に利用されていなかった低品位一次硫化鉱に対する経済的な処理方法を提供するという意味で、大きなポテンシャルを有しています。
今後も当社は、このようなバイオシグマ技術をはじめ、独自開発中の日鉱塩化法なども含めた技術に裏付けされた競争力を背景に、積極的な資源開発事業への取り組みを継続し、銅資源の安定的・効率的な供給を実現することで社会の持続的な発展に貢献してまいります。
以上
(参考)バイオシグマ社の概要
名称:BioSigma S.A.
所在地:チリ共和国サンティアゴ市
代表者:Pilar Parada
設立:2002年
資本金:49,299千米ドル(2014年8月現在)
出資者:JX日鉱日石金属33%、チリ国営銅公社67%
従業員数:68名(2014年6月現在)