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花王、藻類研究で中鎖脂肪酸を多く生成させる酵素を見出すことに成功

2014-08-16

〜非可食原料の高度有効利用に向けて〜
藻類研究において、中鎖脂肪酸を生産する複数の株を見出し、
その生合成経路で重要な役割を果たす酵素を同定


 花王株式会社(社長・澤田道隆)は、“社会のサステナビリティへの貢献”を目的に、和歌山事業場内の「エコテクノロジーリサーチセンター」にて、バイオマスの高度利用を中心とした先進的な環境技術研究を進めています。その中の大きなテーマの一つである藻類研究において、洗剤やシャンプー等に使用されている界面活性剤の原料である天然油脂(パーム核油、やし油等)の主成分―中鎖脂肪酸―を多く生成させる酵素を見出すことに成功しました。これにより、天然系でかつ食料と競合しない非可食系での油脂原料ソースを獲得できるという、世界の先駆けとなる大きな可能性が出てきました。今後、藻類からの油脂生産技術開発を進め、工業的生産化をめざしていく予定です。


<藻類研究の詳細(補足資料1、2)>
 藻類の油脂生産能力は、パームなどの天然資源に比較して、10倍以上のポテンシャルがあると言われています。そして近年、化石燃料に代わる新たな燃料用原料(バイオ燃料)獲得のため、炭素数16〜18個の脂肪酸が主成分の油脂を生産する研究例が多く報告されています。しかし、洗剤やシャンプー等に用いられる界面活性剤の原料である天然油脂主成分は炭素数12〜14個の中鎖脂肪酸であり、これについては従来の藻類研究の範囲ではほとんど得られませんでした。

 花王は、洗剤用酵素から進化させたバイオ技術研究を用い、炭素数12〜14個の中鎖脂肪酸のうち、炭素数12個の中鎖脂肪酸を多く蓄える株を、複数見出しました。さらに脂肪酸生合成系の酵素のうち中鎖脂肪酸の生成に寄与する“アシル−ACP チオエステラーゼ”を、藻類で初めて同定(*)しました。これにより、今後、中鎖脂肪酸を大量に生産する育種開発が大きく加速すると考えています。

 *同定:機能的にどの酵素に属するかを明らかにすること。


 本成果は、初めてのアジア地域全体の油脂科学学会である、第1回アジアオレオサイエンス会議(1st Asian Conference on Oleo Science、2014年9月8〜10日、札幌、主催:公益社団法人 日本油化学会)で発表予定です。


 補足資料1:藻類の探索と培養
 補足資料2:植物の一般的な脂質生合成経路

 ※補足資料は添付の関連資料を参照




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