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日立、英国市場向けに開発したセミ・オーダーメイドタイプの標準型近郊車両を公開
英国市場向けに開発したセミ・オーダーメイドタイプの
標準型近郊車両「AT−200」を公開
株式会社日立製作所(執行役社長兼COO:東原 敏昭/以下、日立)の英国における鉄道システム事業会社である日立レールヨーロッパ社(取締役会長兼CEO:Alistair Dormer)は、グローバル市場向けに開発を進めている、セミ・オーダータイプとなる標準型車両のラインアップ「グローバルA−train」のうち、英国市場向け近郊車両「AT−200」の実物大モックアップを完成させ、2014年7月21日、ロンドンで約200名の鉄道関係者に公開しました。
日本市場における鉄道車両の設計・製造は、鉄道事業者によって車両に対するニーズが異なることから、鉄道事業者が仕様を決定し、鉄道車両メーカーに発注するオーダーメイドタイプが主流となっています。一方、海外市場の多くにおいては、大量生産による部品の共通化や生産効率の向上を目的として、鉄道車両メーカーが基本的な仕様をあらかじめ策定した標準型車両に、鉄道事業者が出力や電源、最高速度、車内のインテリア、外装などを決めて完成させるセミ・オーダーメイドタイプの車両の導入が主流となっています。
日立のグローバルA−trainは、車両構成のフレキシビリティと最大限の標準化をめざし開発を進めているもので、2,000両以上の納入実績のある「A−train」で採用しているアルミニウム構体技術をベースとし、欧州規格への適合や設計の最適化を進め、部品点数の削減や更なる軽量化を実現した車両です。
デザインについては用意されたパターンの中からニーズに合ったものを、鉄道事業者が自由に選択することができます。乗客にとっての快適な車内環境をめざして、室内空間やテーブル、座席、トイレ、照明や空調などの基本設備から、無線LANやUSB、電源ソケットなど、パソコンやスマートフォンの使用を想定した設備にいたるまで、乗客のニーズを徹底的に調査し、その結果を設計段階で反映しています。このようなコンセプトを適用することで、鉄道事業者毎に設計を変更する必要性を減少させ、競争力の高いリードタイムを維持しながら、鉄道事業者のニーズに合った車両を提供することを可能にしています。
車両のメンテナンスについては、既に英国での運行実績がある高速鉄道車両「Class395」で培ったノウハウの活用に加え、車両の主要機器をモニターし、リアルタイムに稼働状況などのデータ収集を行います。これらのデータを分析することにより、メンテナンス時期の最適化や効率の向上を実現します。
今回公開したAT−200は、近郊車両であり、営業速度は時速約200km/hまで対応できます。車内には、クロスシート、荷物置場、テーブルなどを設置し、また、出入り口は片側2箇所としており、通勤ラッシュのピーク時における主要駅での停車時間を60秒から90秒の範囲に収めることができます。さらにAT−200は、走行する路線に応じて、1編成あたり3〜12両とすることが可能です。
今後、日立では、セミ・オーダーメイドタイプの標準型車両であるグローバルA−trainのラインアップを拡充させ、英国市場だけでなく、欧州市場や新興国市場にも展開していく予定です。日立はグローバル市場に通用する製品を提供することで、2015年度の鉄道システム関係の売上高2,000億円をめざします。なお、AT−200の製造は、現在、英国ダーラム州ニュートン・エイクリフに建設中の工場で行う予定です。
※イメージ画像は添付の関連資料を参照
<AT−200のスペック>
編成 :3〜12両
最高速度:160〜200Km/h
加速度 :1m/s/s
車両長 :23m
電源方式 :AC25kV、DC650−750V
運転台 :非貫通型
内装設備 :・片支えシート
・貫通扉
・各座席にUSBと電源ソケットを設置
・テーブル、荷物置場とトイレを設置
・全体にLED照明を使用
・乗客への無線LAN提供
以上