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富士経済、第2回「医療用医薬品 市場調査」結果を発表
医療用医薬品 市場調査(2)
中枢神経領域剤、認知症治療剤などの国内市場を調査
―2022年市場予測(2013年比)―
●抗うつ剤 1,510億円(28.4%増)―新たな作用機序の製品が市場拡大をけん引―
●慢性疼痛治療剤 1,490億円(72.1%増)―患者数の増加により市場が大幅に拡大―
総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 阿部 界 03−3664−5811)は、医師の診断に基づいて処方される医療用医薬品について、国内市場の動向を2年間にわたって調査する。
2014年に診療報酬は在宅医療や地域包括ケアシステムの拡充に加えて、2018年に向けたジェネリック医薬品のロードマップを受けた改定が行われており、医療の効率化が一段と進むとみられる。
以上の状況を踏まえて、このたび第2回(全6回)として、中枢神経領域(11品目)、認知症治療剤(1品目)、多発性硬化症治療剤(1品目)、疼痛領域(7品目)、婦人科・産婦人科領域(5品目)、小児科領域(2品目)の市場調査結果を報告書「2014医療用医薬品データブック No.2」にまとめた。
<注目市場>
●抗うつ剤
2013年 前年比 2022年予測 2013年比
1,176億円 99.2% 1,510億円 128.4%
抗うつ剤の2013年の市場は、前年比0.8%減の1,176億円となった。従来はSSRI(選択的セロトニン再取込み阻害剤)がけん引して拡大してきたが、近年は、ジェネリック医薬品の登場や、薬価改定の影響で縮小している。SSRIが縮小する一方、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害剤)の「サインバルタ」(塩野義製薬、日本イーライリリー)、NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)の「リフレックス」(Meiji Seika ファルマ)や「レメロン」(MSD)が順調に拡大している。
今後は新たな作用機序の製品の実績拡大や新薬の登場、プロモーションによる治療患者数の増加により、市場は拡大すると予測される。また、新たな作用機序の製品の発売は選択肢の広がりだけでなく、併用療法も広がるとみられ、2022年の市場は2013年比28.4%増の1,510億円が予測される。SSRIは今後も縮小するとみられるが、代わってSNRIやNaSSAが新たな患者開拓も含めて、市場の柱になると予測される。
●慢性疼痛治療剤
2013年 前年比 2022年予測 2013年比
866億円 124.8% 1,490億円 172.1%
慢性疼痛治療剤の2013年の市場は、前年比24.8%増の866億円となった。1999年に「ノイロトロピン」(日本臓器製薬)が帯状疱疹後疼痛の適応拡大を果たし、新たな市場が形成された。2011年6月に「リリカ」(ファイザー)が帯状疱疹後疼痛の適応で投入され、対象疾患を広げることで市場が急成長している。さらに2011年7月に非麻薬性疼痛治療剤「トラムセット」(ヤンセンファーマ、持田製薬)、2011年8月には「ノルスパン」(久光製薬)が投入され市場は活性化している。
パソコンやスマートフォンの普及により慢性の腰痛や肩こりなどが増加しているものの、一般用医薬品や鍼灸、あん摩など東洋医学に基づく施術により対処している患者も多い。そのため、慢性疼痛治療剤による治療患者は一部にとどまっているとみられ、今後は処方の拡大が期待される。また、非麻薬性疼痛治療剤は今後も既存の治療剤ではコントロールが難しい慢性疼痛に対する処方が増加すると想定される。2011年に発売された製品を中心に今後も市場は拡大するとみられ、2022年は2013年比72.1%増の1,490億円が予測される。
●認知症治療剤
2013年 前年比 2022年予測 2013年比
1,380億円 114.8% 2,420億円 175.4%
認知症治療剤の2013年の市場は、前年比14.8%増の1,380億円となった。1999年に発売されたコリンエステラーゼ阻害薬「アリセプト」(エーザイ)により市場は形成され、認知症患者数の増加と共に拡大した。2011年にはコリンエステラーゼ阻害薬の「レミニール」(武田薬品工業、ヤンセンファーマ)、パッチ剤「イクセロン/リバスタッチ」(ノバルティス ファーマ/小野薬品工業)といった新薬が発売された。また、新規機序のNMDA型受容体拮抗剤「メマリー」(第一三共)が2011年に発売され実績を拡大している。「アリセプト」のジェネリック医薬品が2011年11月に発売され、2013年6月に高度の適応を追加したことで、2013年にジェネリック医薬品への切り替えが進み、市場の構造は大きく変化している。
高齢者人口の増加に伴い、今後も患者数が増加するとみられる。ジェネリック医薬品への切り替えが影響するものの、新薬も多く市場は活性化すると考えられ、2022年は2013年比75.4%増の2,420億円が予測される。
<調査結果の概要>
■薬効領域・治療剤別の市場
※表資料は添付の関連資料を参照
<中枢神経領域剤>
2013年に構成比の大きい抗うつ剤、統合失調症治療剤が既存品の薬価引き下げの影響により縮小させたが、抗てんかん剤や抗パーキンソン病剤がけん引して、全体では前年比1.4%の拡大となった。今後、抗不安薬は縮小するものの、抗うつ剤、統合失調治療剤、抗てんかん剤、抗パーキンソン病剤が治療患者数の増加や新薬の発売により市場は活性化し、2022年は6,617億円が予測される。
<認知症治療剤>
高齢化の進展による患者数の増加を受け、市場は大幅に拡大するとみられる(詳細は<注目市場>参照)。
<多発性硬化症治療剤>
インターフェロンβ製剤が市場を開拓してきたが、2011年に投入されたスフィンゴシン 1−リン酸受容体調節薬が実績を拡大させており、2017年には構成比が逆転するとみられる。患者の顕在化に伴い治療患者数が増加するのに加え、治療剤の選択肢も広がることで2022年は136億円が予測される。
<疼痛領域剤>
構成比の高い外用消炎鎮痛剤が、ジェネリック医薬品への置き換えが進み、今後は市場の縮小が予測される。一方、慢性疼痛治療剤は、腰痛や肩こりなどの治療患者数の増加により需要は拡大するとみられる。領域内での構成比の入れ替わりはあるものの全体市場は拡大し、2022年は4,895億円が予測される。
<婦人科・産婦人科疾患領域剤>
不妊症の治療患者数の増加により排卵障害治療剤が拡大するとみられ、また、参入各社の疾患啓発や治療法の普及により更年期障害治療剤・月経障害治療剤の拡大も期待される。一部の製剤が縮小するものの、2022年は714億円が予測される。
<小児科領域剤>
少子化の進行により処方対象患者数が減少するため、ヒト成長ホルモン剤、夜尿症治療剤ともに縮小するとみられ、2022年の市場は499億円が予測される。ただし、夜尿症治療剤は、治療を受けていない患者も多いとみられ、開拓の余地を残している。
<調査対象>
※添付の関連資料を参照
<調査方法>
富士経済専門調査員による調査対象企業及び関連企業・団体等へのヒアリング調査
<調査期間>
2014年3月〜5月
以上
資料タイトル:「2014医療用医薬品データブック No.2」
体裁:A4判 331頁
価格:書籍版 170,000円+税
PDF/データ版 180,000円+税
書籍版・PDF/データ版セット 190,000円+税
調査・編集:株式会社富士経済 東京マーケティング本部 第二統括部 第三部
TEL:03−3664−5821 FAX:03−3661−9514
発行所:株式会社富士経済
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