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富士フイルム、従来と比べて約100倍の抗菌性能を実現する抗菌コート技術「HYDRO AG」を開発

2014-07-17

従来の抗菌コート(※1)と比べて、約100倍の抗菌性能を実現(※2)
抗菌コート技術「HYDRO AG(ハイドロ エージー)
塗布膜の内部からも銀イオンが供給され、抗菌効果が持続
●新開発●


 富士フイルム株式会社(社長:中嶋 成博)は、従来の銀系抗菌剤を使った抗菌コートと比べて、約100倍の抗菌性能を実現する抗菌コート技術「HYDRO AG(ハイドロ エージー)」を開発しました。本技術を用いた製品として、医療機関、公共施設、教育機関などで用いられる、タッチパネルを搭載した機器向けの抗菌液晶保護フィルムの発売を予定しています。今後、本技術を様々な製品に応用展開することを検討していきます。なお、当社は、7月16日から18日まで東京ビッグサイトにて開催される「国際モダンホスピタルショウ2014」の当社ブースに、本技術を用いたタッチパネル搭載機器向け抗菌液晶保護フィルムを展示いたします。

 近年、高齢者やがん患者など免疫力が低下し、感染リスクが高くなっている患者の増加や、新たな多剤耐性菌の出現などで、院内感染のリスクは年々高まっており、政府が2010年、2012年の診療報酬改訂で「感染防止対策加算」(※4)を増額するなど、その対策が急務になっています。医療現場では、タッチパネルを搭載した医療機器やタブレット端末などのスマートデバイスが多く活用され、年率4割増(※3)で普及が進んでいます。しかし、これらのデバイスに関しては、タッチパネルに付着した細菌が繁殖し、院内感染の原因となるリスクが指摘されています。

 今回、富士フイルムが開発した抗菌コート技術「HYDRO AG」は、銀系抗菌剤(銀イオンを徐々に放出する機能を持ったセラミック微粒子)を分散した、水となじみやすい超親水性の樹脂(以下、バインダー)を塗布する技術です。本技術は、当社が写真フィルムで培った銀に関する知見および精密塗布の技術と、グループ企業である富山化学工業の抗菌性能の評価技術を生かして開発したものです。
 一般的に、銀系抗菌剤を使った抗菌コートでは、抗菌剤に空気中の水分などが作用して銀イオンが溶出されます。この銀イオンは、細菌の細胞表面にある酵素と結合し、細菌を不活化します(※5)。よって、塗布膜表面の銀イオン濃度を高めることで、細菌の増殖を抑制する性能を向上させることができます。
 従来の銀系抗菌コートには、水となじみにくい非親水バインダーが用いられており、塗布膜表面に露出した銀系抗菌剤に水分が作用した場合にのみ銀イオンが溶出され、細菌の増殖を抑制していました。しかし、塗布膜表面にある抗菌剤の銀イオンは、抗菌作用を発揮するのに伴い消費されます。また、塗布膜表面に何かが接触することで抗菌剤自体が物理的に脱落し、その抗菌効果は次第に失われてしまいます。これに対し、「HYDRO AG」は、水と非常になじみやすい超親水性バインダーの中に銀系抗菌剤を分散しているため、塗布膜表面だけでなく、塗布膜内部の抗菌剤にも水分が作用して、塗布膜内部からも銀イオンを供給します。これにより、塗布膜表面の銀イオン濃度が高くなり、従来にない高い抗菌性能を発揮します。また、その効果が長期間持続することが期待できます。【図1】

 *図1は添付の関連資料を参照


<「HYDRO AG」の抗菌性能>
 当社が、JIS Z2801(※6)に準拠して実施した抗菌性能試験において、菌接触後1時間で、従来の非親水性バインダーを用いた銀系抗菌コートでは細菌が約99%減少するのに対し、「HYDRO AG」は99.99%以上減少することを確認しました。【図2】

 北里環境科学センターにおいて実施した、実際の室内に近い環境(気温25℃、湿度50%)で菌を付着させた抗菌性能試験(※7)においても、従来の非親水性バインダーを用いた銀系抗菌コートに対し、「HYDRO AG」は高い抗菌性能を発揮することを確認しました。【図3】

 *図2、図3は添付の関連資料を参照


 富士フイルムはこれからも先進独自の技術によって、人々の生活の質の向上に貢献する製品を開発していきます。


 ※1 液晶保護フィルムなどに用いられる、親水性の低いバインダーを用いた一般的な抗菌コートを指しています。
 ※2 JISZ2801試験において、大腸菌接触後1時間で、従来の銀系抗菌剤を使った抗菌コートと比べて100倍の抗菌性能を発揮することを確認しました。
 ※3 富士キメラ総研「2012法人向けスマートデバイス関連ビジネスの全貌」より。
 ※4 院内感染防止対策に対する診療報酬(入院初日)

 2012年改訂前 診療報酬:・感染防止対策加算:100点
 2012年改訂後 診療報酬:・感染防止対策加算1:400点(大病院向け)
                  ・感染防止対策加算2:100点(300床未満中小病院向け)
                  ・感染防止対策地域連携加算:100点(加算1の施設同士で連携した場合)

 ※5 大谷朝男:多様化する無機系抗菌剤と高度利用技術,アイピーシー,pp.31−32(1997)
 ※6 日本工業規格(JIS)による、抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果の指標のこと。
 ※7 常温常湿(25℃50%)に調整した、体積25m3の試験チャンバー内床面に試験品を設置し、試験菌を噴霧(黄色ブドウ球菌3.3×10の10乗CFU/mL)、浮遊させて、試験菌を「HYDRO AG」に付着。(報告書No.北生発26_0021号)




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