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田中貴金属、紫外線で電子回路形成できる銀ペーストのスクリーン印刷対応製品を開発

2014-07-14

紫外線で電子回路形成できる銀ペーストのスクリーン印刷対応製品を開発
70マイクロメートルの微細配線で、従来通りの安定した導電性を確保
熱硬化のスクリーン印刷に比べ、製造時間の大幅短縮により生産性向上を実現


 TANAKAホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:田苗 明)は、田中貴金属グループの製造事業を展開する田中貴金属工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:田苗 明)が、紫外線(UV)による硬化のみで、加熱硬化せずに電子回路配線を形成することができる導電性銀ペーストで、スクリーン印刷に対応可能な製品「UV700−SR1J」を開発し、2014年7月8日(火)から7月10日(木)まで、アメリカ・サンフランシスコで開催される展示会「SEMICON West 2014」で展示、およびデモンストレーションを実施する予定です。

 「UV700−SR1J」は、スクリーン印刷技術を用い、銀ペーストで基材に回路を印刷した後、UVを約10秒程度間照射することで、室温状態でも瞬時に印刷膜を硬化して回路を形成でき、導通させることができます。従来、スクリーン印刷で適用されている線幅より微細な線幅である70マイクロ(1マイクロは100万分の1)メートルを実現し(膜厚10マイクロメートル以上)、表面処理されたPETフィルム上で、電気抵抗率は10−4Ωcm(1センチメートルあたり10のマイナス4乗オーム)と、従来フレキソ印刷用に用いられてきたUV硬化銀インクや熱硬化銀ペーストと変わらない導電性を実現しました。


−「UV700−SR1J」の特長−
 ・微細な線幅70マイクロメートル、電気抵抗率10−4Ωcmの従来のフレキソ印刷用UV硬化銀インクや熱硬化銀ペーストと変わらない導電性を実現
 ・膜厚10マイクロメートルでも硬化可能な高いUV透過性
 ・UV硬化で熱処理を行わないので、PETフィルムなど、熱に弱いフレキシブルな基板にも印刷可能
 ・多品種/少・中量生産の製品に対応可能
 ・熱処理を行うスクリーン印刷ペーストに比べ、処理時間を短縮

 *参考画像は添付の関連資料「参考画像1」を参照

■スクリーン印刷用UV硬化銀ペースト開発への期待と開発
 田中貴金属工業は、2012年1月に、世界で初めて、UV硬化できる銀インクを開発し、フレキソ印刷対応可能な製品の提供を開始しました。それまでの配線技術は、インクやペーストを加熱することで電子回路を形成していましたが、UV硬化が可能になったことで、熱に弱いポリ塩化ビニルフィルム(PVCフィルム)やPETフィルムなど、フレキシブルな基材への配線が可能となり、色素増感型太陽電池やタッチパネルディスプレイ、有機EL照明電子ブック、RFID(無線自動識別)タグなど、幅広い製品の電子回路への適用が期待されました。一方で、開発要素の多いプリンテッドエレクトロニクスにおいては、大量生産向きのフレキソ印刷に比べ、多品種対応の少・中量印刷であるスクリーン印刷の需要が高く、UV硬化銀インクのラインナップ拡充が期待されていました。

 スクリーン印刷は、版自体に穴をあけたメッシュ版からペーストを擦りつける孔版方式のため、ペーストは版を離しても滲まないチキソ性(※)と、基板密着に適した粘度を備えたペースト状であると同時に、ペーストに含まれる銀粉は、メッシュ版を通過できる微細なものである必要があります。また、凸版印刷の一種であるフレキソ印刷では膜厚が5マイクロメートルで配線可能なのに対し、スクリーン印刷はメッシュ版の厚みの分、インクよりもペーストの膜厚が倍以上増すので、従来のフレキソ印刷プロセスではUV光が届かずペーストが硬化できない、という課題がありました。田中貴金属工業では、銀ペーストの主成分である樹脂と銀粉の配合を見直すことで、UV硬化可能で微細な回路形成を可能にすると同時に、プリンテッドエレクトロニクスに必須な安定した導電性を確保した本製品の開発に成功しました。加熱硬化印刷では数時間必要だった硬化速度も、「UV700−SR1J」では約10秒と大幅に短縮できたことで、お客様の生産性向上も実現します。

■広がる対応製品と注目分野
 スクリーン印刷可能な微細な銀粒子を含む「UV700−SR1J」は、線幅70マイクロメートルという細さでの導電性を実現したことで、タッチパネル製造などにおいて、製品の透過度を向上させることができます。また、熱硬化処理を使わないことにより、熱に弱いあらゆるフィルム基材に配線を形成することができるため、フレキシブル性の高いウェアラブルデバイスのアンテナや服薬管理用の電子パッケージ、色素増感型太陽電池製品など最先端技術の実用化への応用が期待されます。

※チキソ性
 揺変性。ここではゲル状のペーストがメッシュ版の上からの押圧により粘度を下げるものの、版が離れて負荷がなくなると元の粘度に戻る性質の事。


 *参考画像・参考資料は添付の関連資料「参考画像2」「参考資料」を参照



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