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東京商工リサーチ、「3期連続財務データ全国22万社都道府県別分析」調査結果を発表

2014-07-12

「特別記事」
「3期連続財務データ全国22万社都道府県別分析」調査
〜赤字企業率全国9地区すべてで改善〜


 アベノミクス効果で上場企業の業績回復が目立つなか、未上場企業も業績を持ち直している。赤字企業率は平均23.9%(前期比2.4ポイント改善)で、全国9地区すべてで前期より改善したことがわかった。
 ※本調査は、東京商工リサーチの財務データベースのうち、最新決算からさかのぼって3期連続の財務データを入手できた22万7,043社(上場企業を除く)を無作為に抽出し、分析した。最新決算データは2014年3月期まで。


<赤字企業率全国9地区すべてで改善>
 赤字企業率(当期損失を計上した企業数の比率)の全国平均は、前々期29.8%→前期26.3%→最新期23.9%と年々比率が低下し、経営改善がみられた。
 地区別では、全国9地区すべてで最新期の赤字企業率が前期より改善した。前期比較では、中部が3.52ポイント改善(前期31.60%→最新期28.08%)で最も改善した。次いで、関東2.87ポイント改善(同23.91%→同21.04%)、北陸2.63ポイント改善(同27.60%→同24.97%)の順で、四国が1.24ポイント改善(同30.04%→同28.80%)と最も改善度合いが低かった。

<震災被災県の赤字企業率が低率>
 赤字企業率を都道府県別でみると、最も比率が高かったのは徳島の35.4%。次いで、静岡31.7%、山口31.0%、長野30.6%、広島30.2%の順だった。自動車関連産業が基幹産業の一つになっている静岡と広島が上位に並んだが、震災が影響した前々期と比べて、静岡が9.77ポイント改善、広島が6.05ポイント改善して回復ぶりが目立った。
 一方、最新期の赤字企業率が最も低かったのは、福島15.6%だった。以下、宮城15.9%、岩手17.1%、茨城17.4%、青森18.9%と続き、震災で被災した東北地方が並んだ。
 前期比較では、新潟が6.50ポイント改善(前期30.83%→最新期24.33%)、群馬4.73ポイント改善(同30.48%→同25.75%)、滋賀4.69ポイント改善(同30.57%→同25.88%)の順で改善度合いが高かった。

<有利子負債構成率航空関連会社などの影響から千葉が高率>
 有利子負債構成率(総資産に占める有利子負債の割合)では、都道府県別で比率が最も高かったのは千葉の35.0.%だった。千葉は日産グループの金融会社のほか、成田国際空港(株)や日本貨物航空(株)など航空関連、石油精製会社、火力発電所などの有利子負債額が影響した。
 次いで、三重34.8%、兵庫34.1%、奈良33.5%、大阪32.6%の順。一方、比率が低かったのは、滋賀12.5%、島根12.8%、和歌山15.4%、石川17.1%の順。

 *表資料は添付の関連資料「表資料1」を参照

<有利子負債構成率9地区すべてで前期より比率が低下>
 有利子負債構成率の全国平均は、前々期29.9%→前期28.6%→最新期27.7%と低下している。都道府県別で最新期において前期より比率が低下したのは、宮城と和歌山を除く45都道府県にのぼった。地区別では、9地区すべてで前期を下回った。

自己資本比率都道府県別トップは徳島の47.9%>
 自己資本比率(総資産に占める自己資本の割合)の都道府県別では、最も比率が高かったのは徳島の47.9%だった。県内に青色LED開発の日亜化学工業(株)、大塚製薬グループで輸液大手の(株)大塚製薬工場などの有力企業の財務内容が押し上げた。次いで、香川42.9%、福井42.4%、佐賀39.7%、長野39.3%の順だった。自己資本比率は、企業の基礎体力や安全性を示し、一般的に低いほど借入依存度が高くなる。一方、比率が最も低かったのは、滋賀の19.7%。次いで、千葉20.2%、島根21.2%、和歌山22.4%、鳥取22.9%、沖縄24.0%など。

<経常利益率東北を除く8地区で上昇>
 経常利益率(売上高に占める経常利益の割合)の全国平均は、前々期3.0%→前期3.1%→最新期3.4%と比率が年々上昇している。経常利益率は、金融収支などを含む総合的な収益力を反映し、比率が高いほど財務状態が良好といえる。
 地区別では、全国9地区のうち東北を除く8地区で最新期の経常利益率が前期より上昇した。上昇度合いでは、関東の0.42ポイント上昇(前期3.36%→最新期3.78%)を筆頭にして、四国0.41ポイント上昇(同3.29%→同3.69%)、中部0.34ポイント上昇(同2.91%→同3.25%)と続く。一方、東北は0.13ポイント低下(同3.29%→同3.16%)と唯一、比率を下げた。

<経常利益率都道府県別では北海道、島根、大分で低率>
 経常利益率の都道府県別では、最も比率が高かったのは徳島の6.69%だった。次いで、山口5.66%、埼玉4.77%、長崎4.36%、東京3.90%、京都3.79%、富山3.77%、岡山3.70%の順。
 一方、比率が低かったのは、北海道の2.18%を筆頭に、島根2.23%、大分2.26%、鳥取2.33%、高知2.44%、長野2.45%の順だった。
 都道府県別の前期比較では、徳島が1.71ポイント上昇(前期4.98%→最新期6.69%)で最も上昇した。以下、岡山0.67ポイント上昇(同3.03%→同3.70%)、群馬0.51ポイント上昇(同2.43%→同2.94%)、石川が0.51ポイント上昇(同2.93%→同3.44%)と続く。


 アベノミクス効果で景気が上向きになるなかで、未上場企業の財務比率は、全国的に改善傾向がみられた。ただし、業況の回復テンポは、建設業への依存度や輸出産業の比重の高低など、各地域ごとの産業構造の違いなどで「まだら模様」になっている。業績拡大に向かう企業が多くなる一方で、いまだ業績低迷から抜け出せない企業も多く残されている。
 2014年4月に消費税率が引き上げられ、今後も企業業績が堅調に改善ペースをたどるかどうかは予断を許さない。政府の「成長戦略」の実効に期待がかかる。

 *表資料は添付の関連資料「表資料2」を参照



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