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ノバルティス、抗悪性腫瘍剤「ジャカビ 錠5mg」の製造販売承認を取得

2014-07-10

抗悪性腫瘍剤「ジャカビ(R)錠5mg」の製造販売承認を取得
稀な血液がんの骨髄線維症に対する初のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤



 ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:ダーク・コッシャ)は、本日、骨髄線維症の治療薬として「ジャカビ(R)錠5mg」(一般名:ルキソリチニブ、開発コード:INC424、以下「ジャカビ」)の製造販売承認を取得しました。

 骨髄線維症は、造血組織である骨髄が線維化することで、正常な血液の産生が妨げられる進行性の血液がんです。国内での発症率は10万人あたり約0.2人で、現在の有病者数は約1,500人と推測されており(1−4)、厚生労働省の難治性疾患克服研究事業の対象にも指定されている希少疾患です。

 骨髄線維症に罹患した患者さんでは、脾腫(脾臓の肥大)や脾腫に伴う腹部の不快感や痛み、倦怠感・寝汗・体重減少・痒みなどの消耗性の全身症状、貧血に伴う倦怠感・疲労感などさまざまな症状が見られます。疾患の進行に伴い患者さんのQOLは大きく損なわれ、一般的に予後は不良で、国内の5年生存率は38%、生存期間の中央値は3.4年と推定されています(1)。これら骨髄線維症の主要な合併症に対する対処療法として、薬物治療が行われますが、効果は限定的です。唯一、造血幹細胞移植によって治癒する可能性があるものの、高齢の患者さんが多いことから移植の対象となる患者さんはごく一部であり、また対象となった場合でも移植関連の合併症・死亡率が高いため、実際の実施率は低いと言われています。したがって、骨髄線維症の治療選択肢は非常に限られており、新たな治療選択肢が求められていました。

 このたび承認された「ジャカビ」は、ヤヌスキナーゼ(JAK)と呼ばれる酵素を阻害する働きを持つJAK阻害剤で、JAK1およびJAK2に高い選択性を有しています。骨髄線維症の病因は十分には解明されていないものの、JAK経路の恒常的な活性化が大きく関わっていると考えられています。「ジャカビ」は、遺伝子変異の有無に関わらずこのJAK経路を阻害することで、脾腫の縮小やサイトカインの産生抑制、骨髄線維症患者さんのQOL低下の主な原因である諸症状の改善が期待できます。

 ノバルティス ファーマ株式会社 常務取締役 オンコロジー事業本部長のフランシス・ブシャールは次のように述べています。「ジャカビの承認により、治療ニーズが満たされていない骨髄線維症の患者さんに新しい治療選択肢を提供することができることを大変うれしく思います。ノバルティスは希少疾患に対する薬剤の開発にも積極的に取り組んでおり、当社の幅広いパイプラインを生かして、これからも日本の医療者や患者の皆様に革新的な治療薬を提供してまいります」

 骨髄線維症に対する「ジャカビ」の有効性と安全性は、COMFORT−IおよびCOMFORT−II国際共同第III相臨床試験と、日本からも参加して実施されたアジア国際共同第II相臨床試験の結果で確認されています。

 2本の第III相臨床試験では、「ジャカビ」の投与により、それぞれ、プラセボ群、既存治療群に対して有意に骨髄線維症患者さんの主要兆候である脾腫を速やかかつ持続的に縮小すること、またプラセボ群と比較して、骨髄線維症に伴う臨床症状を改善することが確認されました(5,6)。また、アジア国際共同第II相臨床試験においても、既存治療群と比較して、脾腫の縮小が見られた患者さんの割合が「ジャカビ」投与群で有意に高いことが示されました。

 「ジャカビ」の投与による主な副作用としては、血小板減少症、貧血などが報告されています(7)。

 国内承認にあたっては、「国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。」が承認条件として付与されています。

 ノバルティス ファーマでは、患者さんの安全性確保と「ジャカビ」の適正使用の推進を最優先していきます。適切な投与量で使用いただくこと、および副作用マネジメントの普及に努めながら、本疾患の患者さんに新たな治療選択肢を提供してまいります。


<「ジャカビ(R)」について>

 「ジャカビ」は米国インサイト社が創製した薬剤で、ノバルティスは米国外での「ジャカビ」の開発と商業化のライセンスを取得しています。現在、欧州連合(EU)、北米、アジアや中南米、南米の数カ国を含む50カ国以上で承認されており、ノバルティスが販売する国々ではJakavi(R)、米国ではインサイト社からJakafi(R)の製品名で発売されています。日本では、2011年9月8日に厚生労働省より、予定される効能・効果を「骨髄線維症」として希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を取得しています。また、今回承認を取得した骨髄線維症の効能に加えて、現在、真性多血症を対象に国際共同第III相臨床試験を実施しています。


<骨髄増殖性腫瘍.netについて>

 患者さんやご家族の皆さま、医療関係者の皆さまを対象に、骨髄線維症という疾患や診断、治療について理解を深めていただくためのウェブサイト「骨髄増殖性腫瘍.net」を開設しましたのでご参照ください。http://www.mpn-info.net/

【参考資料】

 1.[赤司浩一(2011)]骨髄線維症 診療の参照ガイド(平成22年度改訂版).特発性造血障害疾患の診療の参照ガイド 平成22年度改訂版;177−202.
 2.[小松則夫(2007)]真性赤血球増加症.日内会誌;96:1382−9.
 3.[臼杵憲祐(2007)]本態性血小板血症.日内会誌;96:1390−7.
 4.[Dan K,Yamada T,Kimura Y,et al.(2006)]Clinical features of polycythemia vera and essential thrombocythemia in Japan:retrospective analysis of a nationwide survey by the Japanese Elderly Leukemia and Lymphoma Study Group.Int J Hematol;83:443−9.
 5.Verstovsek S.et al.,N Engl J Med.2012;366:799−807(A Double−Blind,Placebo−Controlled Trial of Ruxolitinib for Myelofibrosis)
 6.Blood.2013;122:4047−4053(Three−year efficacy,safety,and survival findings from COMFORT−II,a phase 3 study comparing ruxolitinib with best available therapy for myelofibrosis)
 7.ノバルティス ファーマ「ジャカビ錠5mg」添付文書

【ノバルティス ファーマ株式会社について】

 ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置くヘルスケアにおける世界的リーダー、ノバルティスの医薬品部門の日本法人です。ノバルティス グループ全体の2013年の売上高は579億米ドル、研究開発費は99億米ドル(減損・償却費用を除くと96億米ドル)でした。ノバルティスは、約135,000人の社員を擁しており、世界150カ国以上で製品が販売されています。詳細はインターネットをご覧下さい。http://www.novartis.co.jp/

以上

<参考資料>

〔ジャカビ(R)錠5mg の製品概要〕

 製品名:
 「ジャカビ(R)錠5mg」(JAKAVI(R)Tablets 5mg)

 一般名:
 ルキソリチニブ(ruxolitinib)

 効能又は効果(*):
 骨髄線維症

 用法及び用量(*):
 通常、成人には本剤を1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。用量は、ルキソリチニブとして1回5mg〜25mgの範囲とし、患者の状態により適宜増減する。

 承認取得日:
 2014年7月4日

 製造販売:
 ノバルティス ファーマ株式会社

 * 効能又は効果に関連する使用上の注意並びに用法及び用量に関連する使用上の注意は、添付文書をご覧下さい。


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