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帝国データバンク、第2回インドネシア進出企業の実態調査結果を発表
特別企画:第2回 インドネシア進出企業の実態調査
インドネシア進出企業は2年で1.4倍に
〜サービス業や小売業など消費関連企業が増加〜
<はじめに>
近年の急激な経済成長および人口増加により、日本企業にとってインドネシアは重要な市場として大きな存在感を示し始めた。そうしたなか、同国では10年にわたった任期を終えるユドヨノ大統領の後任を選ぶ大統領選挙が今年7月に行われる。選挙戦において、自国産業保護のための輸入制限が活発に議論されるなど、選挙結果が今後の日本企業の展開に大きな影響を及ぼすことは必至であり、その動向に注目が集まっている。
帝国データバンクでは、信用調査報告書ファイル「CCR」(160万社収録)および公開情報などをもとに、2014年5月末時点で現地企業への出資、現地法人の設立、駐在所の設置などを通じて、インドネシアに進出していることが判明した日本企業を抽出し、業種別、年商規模別、本社所在地の都道府県別に集計・分析を行った。なお、本調査は2012年3月に続いて2回目。
<調査結果(要旨)>
1.インドネシアに進出している日本企業は、1763社判明し、2012年3月調査時の1266社に比べ39.3%増加した。業種別に見ると、トップは「製造業」の932社(構成比52.9%)で、前回調査比34.7%増加
2.年商規模別に見ると、「100億円以上1000億円未満」は、597社(構成比33.9%)と前回調査時の345社(同28.2%)から73.0%増加
3.本社所在地を都道府県別に見ると、「東京都」が668社(構成比37.9%)でトップ。このほか、「愛知県」(214社)をはじめとした、自動車関連産業の拠点地域が上位に目立つ
※グラフ資料は添付の関連資料を参照
1.業種別 ―消費関連業種で大幅に増加
インドネシアに進出している日本企業は、1763社判明し、2012年3月調査時の1266社に比べ39.3%増加した。業種別に見ると、トップは「製造業」の932社(構成比52.9%)で、前回調査比で34.7%増加した。また、「サービス業」(144社、前回調査比65.5%増)や「卸売業」(396社、同44.0%増)、「小売業」(27社、同35.0%増)など消費関連の業種で顕著な増加がみられた。
インドネシアは、生産拠点としての進出先という側面も依然として強く持っている。しかし、その一方で、経済発展による所得の上昇や、いわゆる中間層の増加により消費市場が成長を続けており、その旺盛な購買意欲の取り込みを目指し、多くの日本企業が進出している様子も見てとれる。
※表資料は添付の関連資料「表資料1」を参照
2.業種細分類別 ―進出企業増加にともない「ソフト受託開発」が急増
業種を細分類で見ると、「投資業」が63社(構成比3.57%)でトップ。次いで「自動車部品製造」(62社、同3.52%)、「自動車操縦装置製造」(50社、同2.84%)となり、上位の顔ぶれに大きな変動はなかった。
「ソフト受託開発」の急増は、日本企業の進出が増加したことにあわせて、システム構築や保守サービスのニーズが増加したことや、オフショア開発の拠点としての進出増加などが要因とみられる。
※表資料は添付の関連資料「表資料2」を参照
3.年商規模別 ―中堅規模企業が大幅に増加
年商規模別に見ると、「100億円以上1000億円未満」が597社(構成比33.9%)と前回調査時の345社(同28.2%)から73.0%増加し、構成比は5.7ポイント増と大幅に上昇した。
「100億円以上1000億円未満」を業種別に見ると、従来から多い自動車関連などの機械部品メーカー・卸に加え、飲食店チェーンなど消費関連企業も多く見られた。全体のボリュームゾーンに大きな変化はなく、ある程度体力のある中堅規模以上の企業が進出企業の中心となっている。
※表資料は添付の関連資料「表資料3」を参照
4.都道府県別 ―自動車関連の進出が目立つ「愛知県」「静岡県」が上位
インドネシア進出の日本企業の本社所在地を都道府県別に見ると、「東京都」が668社(構成比37.9%)でトップとなった。2位は「大阪府」(245社、同13.9%)、3位は「愛知県」(214社、同12.1%)。以下、「静岡県」の106社(同6.0%)、「神奈川県」の79社(同4.5%)の順となり、前回調査から大きな変動はなかった。
インドネシアではモータリゼーションが進むなか、二輪も含めた自動車関連の需要が堅調であるため進出企業も多く、自動車関連を地場産業とする地域が上位に目立つ。
※表資料は添付の関連資料「表資料4」を参照
5.まとめ
調査の結果、生産拠点としてのみならず、市場としての魅力も増すインドネシアへの進出企業数は、製造業や消費関連を中心に前回調査比39.3%増と、大幅に増加していることがわかった。5%以上を誇る高いGDP成長率と、2030年代には3億人を超えるともいわれる人口増加に支えられ、今後もインドネシアは海外に活路を求める日本企業にとって魅力的な進出先として位置づけられるだろう。
インドネシアにとって日本は第1位の輸出相手国であると同時に第3位の輸入相手国でもあり、現地では日本企業が多くの雇用を創出している。一方、日本にとってもインドネシアは重要な貿易相手国であり、EPAを締結するなど、両国の経済的関係は近年その緊密さを増してきた。大統領選挙の結果によっては、インドネシア国内において自国産業保護の傾向が強まる可能性はあるものの、アジアにおける重要な経済パートナーとして、日本企業に期待される役割が大きいことに変わりはない。そのため、今後も日本企業の同国への進出は続き、大手企業に付随するかたちで中小規模企業の進出もいっそう増加していくものとみられる。
※参考資料は添付の関連資料を参照