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サカタのタネ、厳寒期どりに最適なレタスの新品種「オーディブル」の種子を発売

2014-06-24

「新品種」
ビッグベイン病耐病性、肥大力があり厳寒期どりに最適
レタスの新品種『オーディブル』の種子を生産者向けに発売
1月中旬から3月上旬の品薄時期に高品質なレタスの安定供給を実現


 サカタのタネは、ビッグベイン病(※1)耐病性(※2)で冬場での安定供給を実現できるレタスの中早生新品種『オーディブル』の種子を2014年7月下旬に発売します。近年、夏場の高温化とともに厳冬化が問題になっていますが、『オーディブル』は、低温環境下でも外葉の生育が旺盛で結球性に優れ、そろいの良さと玉の肥大力があります。また、低温期に発生しやすく、各地で被害が拡大している土壌伝染性病害のビッグベイン病に対して耐病性があります。またべと病への耐病性も持ち合わせています。大玉になるため一般での利用はもちろん、サンドイッチやハンバーガーなどの加工・業務用にも向く万能型の品種です。この特性により『オーディブル』は、結球の度合いや大きさなどの点で品質が低下し、品薄になりがちな1月中旬から3月上旬の厳寒期にかけて、高品質なレタスを市場へ安定供給することを可能にしています。定番野菜として、1年を通じて市場や外食産業に欠かせないレタスの生産と流通マーケットの希望に応えられる待望の品種です。当社では『オーディブル』を第1弾として、今後、従来品種に比べ耐病性や形状、出荷安定性に優れる結球レタスの品種群を「セレブレーションレタス」と冠して展開していきます。希望小売価格(税抜)(※3)はペレットシード(※4)1缶5,000粒入り6,700円で、全国の種苗店・JAルートを通じて販売します。

 *参考画像は添付の関連資料を参照

 レタスは冷涼で降水量の少ない環境を好み、生育適温は18〜23度とされ、冬場は温暖地・暖地でのトンネル栽培が主流となっています。しかし、近年、日本国内では温暖化が問題となる一方で冬の寒さが厳しい年が続いており、トンネル栽培でも十分な温度が確保できず、生産現場では冬場のレタス栽培が難しくなってきています。特に1月中旬から3月上旬にかけての厳寒期どり栽培では、降水量の少なさと低温の影響もあって結球が不十分かつ玉が肥大しにくくなり、市場における品薄、欠品が頻発しています。また、各地で土壌伝染性病害であるビッグベイン病の被害が拡大してきています。この病害は特に低温期で発生しやすいため、冬場のレタス栽培をさらに困難なものにしています。
 一方、消費側から見ると、生野菜として不可欠な品目であるレタスに求められる特性は多様化、高度化しています。具体的には「葉の適度な柔らかさ」や「ふわっとした結球具合」が重要視されると同時に、サンドイッチやハンバーガー、サラダなどの加工・業務用のニーズから「大玉で量がとれる歩留まりの良さ」も求められています。このように厳寒期における生産者側のレタスの安定供給の難しさと、常に高品質を求める流通・小売側の消費ニーズとの間のギャップ解消が大きな課題の1つになっています。
 こうした現状に対し、ビッグベイン病耐病性と厳寒期での肥大力、そろいの良さを兼ねそろえ、市場への安定供給を実現できるレタスの大玉品種の創出を目標として育成されたのが『オーディブル』です。『オーディブル』は、レタスの中で主流となっている「サリナス」タイプ(※5)の品種で、低温環境下でも外葉の生育が旺盛で、玉も肥大力があります。生育旺盛でありながら結球性にすぐれ、大玉になるので加工用としても好適です。栽培方法としては、トンネル栽培だけでなく、ベタがけ栽培にも適します。従来、ビッグベイン病の耐病性品種は、生育が旺盛である反面、結球しにくい、そろいが悪いといった課題もありましたが、『オーディブル』はそういった課題も解決しているため、ビッグベイン病の発生圃場だけでなく、未発生圃場での栽培にも適した万能品種となっています。なお、国内の産地で問題になりつつあるべと病への耐病性も持ち合わせています。
 開発にあたっては、いかにビッグベイン病の耐病性を安定させるか、またその耐病性と結球性や大きさのそろいといった品質面とをいかに両立させるかという点で困難を極め、育種には10年以上もの期間を要しています。同品種を試作した生産者からは「寒さが厳しい時期でも肥大力がある」「ビッグベイン病に強くそろいもよい」などの評価を受けており、厳寒期のレタスの安定供給を可能にする品種として本格導入に向けた検討もいただいています。
 品種名の『オーディブル』は、レタスはハンバーガーなどのアメリカンフードで馴染みが深いこと、特性として低温や病害などに対しての適応能力が高いことから、アメリカンフットボール用語で「状況に応じて臨機応変にプレーを変える」ことを意味する“オーディブル”を冠したものです。また、アメリカンフットボールの試合でタッチダウンした選手がその喜びを表現するパフォーマンスの名称である“セレブレーション”から、当社では従来の品種に比べ、耐病性や形状、出荷安定性にすぐれる結球レタスの品種群を「セレブレーションレタス」と冠して展開していく予定です。
 今後、環境変化によってもたらされる気象変動により、さまざまな農作物の栽培が難しさを増すなか、当社では長年蓄積してきた膨大な植物遺伝資源、育種研究開発力を最大限に活用し、これからも消費者、小売・流通関係者、そして産地のニーズに対応した品種を開発して、青果物の安定的な供給に寄与していきます。


■レタスの新品種『オーディブル』の概要

<特長>
 (1)厳寒期どりでレタスが品薄になる冬場に安定的な供給を可能にする。
 (2)中早生、「サリナス」タイプのビッグベイン病耐病性品種。
 (3)外葉の生育が旺盛、玉の肥大力と結球性に優れ、大玉になるため加工用にも好適。
 (4)ビッグベイン病の発生圃場だけでなく、未発生圃場での栽培にも適する。

<希望小売価格(税抜)>
 ペレットシード5,000粒入り1缶6,700円 ※趣味園芸向け種子の販売は未定

<発売時期・販売ルート>
 2014年7月下旬(予定)から全国の種苗店・JAを通じて生産者に販売

<作型図>

 *添付の関連資料を参照


 ※1 ビッグベイン病:
 土壌伝染性のウイルス病。葉脈とその周囲が退色し、葉脈が太く見えるような症状がでるため「ビッグベイン」(big vein 大きな葉脈)と呼ばれ、外観品質が著しく損なわれる。病勢が進行すると生育不良から結球不良を生じ、秀品率を大きく低下させる。ウイルスは土壌菌によって媒介され、一度、発生すると根絶が難しい。現在、完全な抵抗性品種は存在しない。

 ※2 抵抗性・耐病性:
 当社では、発病条件(温度、湿度、病原体の密度など)の影響を受けにくい安定したものを「抵抗性」と呼び、影響を受けるがその程度が軽く、収穫するうえではほとんど問題にならない性質を「耐病性」と呼んでいる。「耐病性」としているものでも、汚染程度の高い圃場や排水の悪い圃場では発病する恐れがある。このような圃場では、土壌消毒や薬剤処理、排水改善など、総合的な対策をとる必要がある。

 ※3 価格はすべて希望小売価格(税抜)です。価格の自主的な決定を拘束するものではありません。

 ※4 ペレットシード:(pelleted seed):
 コーティング種子ともいう。細かな種子や形が不ぞろいな種子を、粘土など自然に溶ける被覆資材で包んだもの。粒子を大きく均一にしてあるので、播種機でまきやすくなる。

 ※5 「サリナス」タイプ:
 結球レタスの主流のタイプ。葉の表面の起伏や縁の刻みが少ない。葉肉が厚く、一般用のほか業務・加工用にも向く。


<読者の方からのレタス『オーディブル』に関するお問い合わせ先>
 株式会社サカタのタネ
 野菜統括部
 電話045−945−8802



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