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MM総研、2014年3月末時点の全戸一括型マンションISPシェア調査結果を発表
全戸一括型マンションISPシェア調査(2014年3月末)
■シェア首位はアルテリア・ネットワークスの「UCOM光レジデンス」
■全戸一括型マンションISPの提供戸数は127.9万戸で拡大傾向
■HEMSやMEMSなど電力関連サービスの付加価値提供に注目
MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は6月3日、2014年3月末時点の全戸一括型マンションISPシェア調査結果を発表した。近年、マンションのストック数は増加を続けており、それに合わせて集合住宅向けの全戸一括型ブロードバンドサービスも拡大している。特にHEMS(家庭用エネルギーマネジメントシステム)や、MEMS(マンションエネルギーマネジメントシステム)、電力の一括受電サービスなど、インターネットサービスだけでなく付加価値を高めたサービスを提供する事業者が増え、マーケットは盛り上がりを見せている。
2013年度末(2014年3月末)時点の、全戸一括型マンションISP全体の提供戸数は127.9万戸だった。サービス別シェアでは、全体の19.5%を占めるアルテリア・ネットワークスの「UCOM光レジデンス」がトップとなった。続いて、つなぐネットコミュニケーションズの「e−mansion」が16.3%で第2位。13.7%のシェアを獲得したファミリーネット・ジャパンの「CYBERHOME」が第3位という結果となった。これら上位3社で市場のおよそ半分(49.5%)のシェア
を握り、残りの半分を中小の事業者が分け合う状況となった。
※全戸一括型マンションISP・・・集合住宅の全戸分にインターネット接続サービス(光回線ベース)を一括で導入・提供する事業者。全戸一括加入方式を対象とし、任意加入のものは含まない。
<全戸一括型マンションISPシェア(2014年3月末)>
*グラフは添付の関連資料を参照
〜上位3社の動向〜
シェア1位のアルテリア・ネットワークスが展開する「UCOM光レジデンス」は、2014年3月末の提供戸数が25.0万戸だった。回線事業者であるア同社は、独自の光ファイバーネットワークを持つことによる品質を強みに、電力の見える化に対応した一括受電サービス「とくエネ」や、居住者に必要な情報を集約して提供するマンションポータルサイト「UCOM光マンションコンシェルジュ」等、インターネットを活用した付帯サービスを提供。マンションの高付加価値サービスで他社との差別化を狙う。
「e−mansion」を展開するつなぐネットコミュニケーションズは、2014年3月末の提供戸数が20.8万戸でシェア2位となった。インターネットサービスのほか、防災訓練や防災セミナーの実施、マンション棟内に緊急地震速報サービス「SCOOP」等を導入する防災支援サービスを積極的に展開。マンション管理組合や管理会社、デベロッパーなどには情報管理が可能なWebツール「Mcloud(エムクラウド)」も提供し、利便性向上を図る。
シェア3位となった東京電力グループのファミリーネット・ジャパンは、インターネット接続サービス「CYBERHOME」の提供戸数が2014年3月末で17.5万戸だった。マンション専業のISPとしていち早くHEMSサービスや電力一括受電サービスなど、エネルギー関連サービスに取り組んでいる。HEMSサービス「me−eco(ミエコ)」では、電気・ガスなどの利用量や金額の見える化や、携帯電話やスマホによる家電の遠隔コントロールでの節電機能を提供。HEMSと連携したインターホンや見守りサービスなどへも対応し、サービスの充実化を図る。
上位3社は、1棟あたり平均50戸以上の比較的規模の大きいマンションに強く、いずれもマンションのエネルギー管理を支援するMEMSアグリゲータに採択されている。
〜市場動向〜
モバイルインターネットの普及を受け、固定ISP市場は成長鈍化が鮮明になっている。一方、全戸一括型のマンションISP市場は新築マンションの建設増加や、資産価値向上を目的とした既築マンションでの導入を背景に堅調に拡大を続けており、今後も成長市場として期待される。また、マンション居住者も低価格でインターネットを利用できるほか、HEMSや一括受電サービスなどさまざまなメリットを受けられるようになりつつあるため、ますます注目が集まる市場となる可能性が高い。