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森トラスト、東京23区の大規模オフィスビル供給量調査結果を発表
東京23区の大規模オフィスビル供給量調査"14
森トラスト株式会社(本社:東京都港区)では、各種公表資料、現地確認およびヒアリングに基づいて、"86年より東京23区の大規模オフィスビル(オフィス延床面積(※)10,000m2以上)、昨年より中規模オフィスビル(オフィス延床面積5,000m2以上10,000m2未満)の供給動向を調査しており、以下に最新の調査結果を取りまとめました。
※オフィス延床面積:対象が店舗や住宅、ホテル等と一体の複合用途ビルである場合には、オフィス以外の用途を除いた延床面積。
〔調査時点:2013年12月〕
<"14年以降、大規模オフィス供給は過去平均並みの水準で安定推移>
>調査結果のポイント
1.供給量の推移
"13年の供給量は66万m2となり、過去20年の平均(110万m2)を大幅に下回った。一方、"14年の供給量は93万m2まで回復する見通しで、以降"17年まで年間110万m2前後の安定した供給が続く。
2.供給エリアの傾向
"14−"17年は「都心3区」での供給が7割に達する見通しで、都心集中の流れが続く。「千代田区」での供給が全体の約3割と安定したトップシェアを保つほか、「港区」のシェアが大幅に上昇し2割を超える。地区別でも、「虎ノ門・新橋」・「港南」・「芝公園・浜松町」といった港区内の地区が供給量上位10地区に新たに加わっている。
3.開発用地別の供給動向
都心3区では、"14−"17年も「建替え」による供給が約7割と高水準である。大手町・丸の内・有楽町に加えて八重洲・日本橋・京橋でもストックの更新が本格化しており、今後も建替え中心の供給が続く。一方、都心3区以外では、「低・未利用地」での供給が約8割を占め、「建替え」は約2割に留まる。
4.中規模ビルの供給動向
"13年の供給量は15.5万m2と過去10年の平均を大幅に上回った。"14年の供給量は11.5万m2に減少し、"15年も過去平均を下回る見通し。"14−"15年は「都心3区」での供給が約8割となり、うち「港区」が3割強を占め最も多く、「中央区」・「千代田区」が約2割でこれに続く。近年、大手総合デベロッパーによる開発が増加している。
>総括
"14年以降の供給量も過去平均並みの水準に落ち着く見通しで、なおかつ都心3区での建替えが中心となることから、ストック量の増加は引き続き緩やかに推移するとみられる。また、需要サイドを見ても、有効求人倍率が直近のピークであった"06年に並ぶ水準まで上昇するなど、需要拡大を示唆する動きが表れており、需給は今後一段とタイトになっていくことが予想される。
昨今、幅広い業種で企業業績の回復が鮮明化し、オフィス需要の更なる増大が予想されるなか、今後一層の受け皿整備が求められる一方で、この1、2年歯止めが掛からない建設コストの高騰が懸念材料となっている。これが供給抑制に作用し、これまで着実に進展してきた建替え等による都市機能更新が停滞すれば、国際競争力強化に向け官民一体となって取り組む国家戦略特区、グローバルビジネス都市の具現化にも影を落としかねない。
建設コストの高騰は、円安に伴う資材価格の上昇も一因となっているが、何にも増して技能労働者不足があり、震災復興事業やオリンピック関連のインフラ整備に伴う建設需要の高まりによって、より深刻化することは自明である。"20年に魅力ある東京を世界にアピールするためにも、都市開発のスピードを緩めないことが肝要であり、技能労働者不足の解消に向け、行政主導の抜本的かつ即効性のある施策が切に期待される。
*以下、リリース詳細は添付の関連資料を参照