Article Detail
NTT東日本、「Bizひかりクラウド 被災者生活再建支援システム」を提供開始
「Bizひかりクラウド 被災者生活再建支援システム」の提供開始について
〜災害発生時の被災者への迅速かつ公正な生活再建支援を実現するクラウド型サービス〜
・東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」)は2014年6月20日より、被災者生活再建支援サービス「Bizひかりクラウド 被災者生活再建支援システム」(以下「本サービス」)の提供を開始いたします。
・本サービスは、自治体が行う「り災証明書(※1)発行」等の被災者生活再建支援業務を総合的に支援するクラウド型サービスとして提供します。本サービスの導入により、災害発生時の被災者への迅速かつ公正な生活再建支援を可能にし、被災者にとっては速やかに支援金、義援金、保険金、仮設住宅等の支援を受けることができるようになります。
・本サービスは、京都大学防災研究所 巨大災害研究センター 林春男教授、新潟大学 危機管理室/災害・復興科学研究所 田村圭子教授を中心とした研究者及び事業者の過去10年に渡る被災地での実証・研究(※2)に基づいて開発しています。
<1.背景・目的>
東日本大震災において、り災証明書発行に長期間を要し、被災者生活再建支援に遅れが生じた事例もあり、2013年6月に災害対策基本法が一部改正され、り災証明書の遅滞なき発行が義務付けられるとともに、被災者台帳の作成についても法的に位置づけられ、自治体の関心が高まりつつあります。
NTT東日本では、これまで「被災者生活再建支援システム」をクライアント・サーバー型(以下C/S型)として、全国10自治体(※3)に提供してきましたが、より多くの自治体に導入いただけるように、この度クラウド型として「Bizひかりクラウド 被災者生活再建支援システム」の提供を開始いたします。
<2.サービス概要>
(1)サービス名
「Bizひかりクラウド 被災者生活再建支援システム」
(2)提供料金
月額20,000円(税別)〜
上記は自治体の人口が1万人以下の場合の提供料金です。提供料金は人口に応じて変わります。また、上記の金額の他、初期費用等が必要となります。詳しくは弊社営業担当者までお問合せください。
(3)提供開始日
2014年6月20日
(4)提供エリア
全国
<3.主な機能>
本サービスはNTT東日本データセンターのサーバー上に、被災者生活再建支援アプリケーションを搭載したサービスです。被災者生活再建支援業務の円滑な遂行にあたってのボトルネックを総合的にフォローすることにより、被災者への公平かつ迅速な支援を、最小の業務負担で実施することができます。
(1)防災設備管理・被害状況管理機能
平時には、物資情報や避難所情報を地図上に登録し、可視化・集計をすることで、発災前の物資や避難所の準備に利用できます。
また、災害発生後には、住家被害、人的被害、ライフライン被害等の被害状況を登録し、避難所管理、不足物資等を登録することで、自治体での被災情報についての集計、情報共有が可能となります。
(2)建物被害認定機能
建物被害調査にあたって必要な建物被害調査票を出力します。フローチャート化した建物被害調査票により、建物の全壊や半壊等の被害状況を公正に判定でき、専門知識の無い自治体職員でも建物被害認定を実施できます。震災と水害の2つの建物被害調査票を出力できます。
(3)り災証明書発行機能
建物の被害状況と、住民基本台帳に基づく住民情報、課税台帳に基づく家屋情報を地図上で結合することにより、迅速にり災証明書が発行できます。自治体職員が窓口で、被災者の方と、1つのシステムを参照しながら、合意形成をすることができ、「隣の建物の被害状況に基づき、誤ったり災証明書を発行してしまう」ことや「建物の所有者ではない方にり災証明書を発行してしまう」等のミスを防ぐことができます。
(4)被災者台帳管理機能
仮設住宅の手配状況や、支援金の給付、税や公共料金の減免等、り災証明書の内容に応じて庁内横断的に実施する被災者生活再建支援の状況をデータベース化し、管理することができます。支援が行き届いていない被災者やり災証明書の申請を行っていない被災者を把握し、自治体からアプローチを行うことが可能となります。
<4.特長>
(1)被災者生活再建支援業務の標準化が可能
本サービスをご利用いただくことで、災害対策基本法に定められた各種被災者生活再建支援業務の標準化が実現できます。
(2)セキュリティを担保し、安価なサービス提供が可能
NTT東日本のクラウド環境上で業務アプリケーションを提供し、LGWAN(※4)を利用することで、セキュリティを担保できます。また、初期導入費用の低廉化、システム納期の短縮を実現します。
(3)サーバー等の選定・設置・設定が不要なクラウド型でのサービス提供
クラウドならではのメリットとして、サーバー等ハードウェアの選定・設置・設定に要する時間と作業負荷が大幅に軽減できます。データセンターにクラウドとしてアプリケーションは集約されるため、自治体のシステム運用や資産管理等におけるICTマネジメントの負荷を軽減できます。
<5.自治体への実態に合わせた導入提案の展開>
大・中規模自治体に対しては、これまで提供してきたC/S型を、小規模自治体に対してはクラウド型を中心にご提案していきます。また、都道府県単位での一括導入時のC/S型とクラウド型のハイブリッド提供や、複数自治体による共同利用など、被災者生活再建支援システムの事前導入を加速化させるための「自治体のご要望や実態に合わせたご提案」を積極的に行っていきます。
<6.今後の展望>
(1)様々な災害への対応
本サービスは将来的に、風害等、様々な災害への対応を行う予定です。
(2)マイナンバーへの対応
本サービスは将来的にマイナンバー(社会保障・税番号制度)への対応を検討しています。
※1 り災証明書は火災・風水害・地震などで被災した家屋などの被害の程度を証明する書類であり自治体から発行されます。全壊・大規模半壊・半壊・一部損壊などの区分で被害の程度を認定され、被災者生活再建支援金や災害復興住宅融資などの申請や、損害保険の請求などを行う際に必要となります。
※2 JST(科学技術振興機構)のRISTEX(社会技術研究開発センター)実装支援プログラム「首都直下地震に対応できる被災者台帳を用いた生活再建支援システムの実装」及び、文部科学省「都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減化プロジェクト」の研究成果に基づく。被災地での実証・研究実績は、以下の通り
2004年:新潟県中越地震(新潟県小千谷市)
2007年:能登半島地震(石川県輪島市)、新潟県中越沖地震(新潟県柏崎市)
2011年:東日本大震災(岩手県)
2012年:京都南部豪雨水害(京都府宇治市)
2013年:台風18号(京都府京都市)、台風26号(東京都大島町)
※3 導入実績および構築中・導入予定の自治体は以下の通り
・導入実績
2013年:東京都豊島区、墨田区、京都府京都市、神奈川県茅ヶ崎市、座間市、他1自治体
2014年:東京都新宿区、港区、大島町、他1自治体
・構築中・導入予定
2014年:東京都江東区(構築中)、千代田区(12月導入予定)
※4 LGWAN(正式名称「総合行政ネットワーク」)は地方自治体のコンピュータネットワークを相互接続した広域の行政専用ネットワークです。都道府県、市区町村の庁内ネットワークが接続されており、中央省庁の相互接続ネットワークである霞ヶ関WANにも接続されています。
【別紙】「Bizひかりクラウド 被災者生活再建支援システム」のサービスイメージ
*別紙は添付の関連資料を参照