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JFEスチール、石炭運搬船用の高耐食性厚鋼板を開発

2014-05-21

世界初の画期的な石炭運搬船用の高耐食性厚鋼板を開発・初採用


 当社は、このたび石炭運搬船カーゴホールド(貨物倉)の腐食を抑制する画期的な高耐食性厚鋼板「JFE−SIP(R)−CC(*1)」を世界で初めて開発し、JFE物流株式会社(社長:小俣 一夫、本社:東京都千代田区)が発注した石炭運搬船(*2)に初採用されました。

 石炭運搬船のカーゴホールドでは、石炭の硫黄分が結露水と反応して希硫酸水溶液が生成され、鋼板を激しく腐食することが知られています(*3)。この腐食がカーゴホールド内への浸水などの一因と考えられており、国際船級協会連合により、塗装や腐食に対する予備厚の付与が義務付けられています。しかしながら、塗装による塗膜は積荷や荷役装置との接触により剥離するため長期の防食効果は期待できず、再塗装が必要となります。また、局所的には腐食減耗量が予備厚を上回って鋼板の交換が必要となるケースもあり、メンテナンスコストを増大させ、更に腐食が広範囲に渡る場合は、船の寿命自体に影響を与えることになります。

 そこで当社は、最適な合金元素を添加することにより、希硫酸による腐食減耗を抑制する画期的な耐食性厚鋼板を開発しました。この鋼板が腐食した際に溶出する合金元素が、保護性の高い緻密な錆層を形成し、この錆層が石炭由来の硫酸イオンの鋼材表面への侵入をブロックし腐食の進行を遅らせます(*4)。実験室での石炭積載腐食試験では、鋼板の寿命が大幅に延びることが確認されており、石炭運搬船のメンテナンスコストの削減が期待されています(*5)。また、本鋼板は、従来鋼と同等の溶接性や加工性を有しており、船舶建造に際しての特別な施工管理も必要としません。

 また、今回の開発にあたっては、株式会社商船三井(代表取締役社長:武藤 光一、本社:東京都港区)の協力の下、同社が所有しているケープサイズの石炭運搬船において実際のカーゴホールド内での暴露試験も実施しましたが、実験室での腐食試験と同様に本鋼板の優位性が確認出来ました。

 当社は、今後とも高機能・高品質な鋼材の供給を通じ、船舶の更なる経済性、安全性、信頼性向上に努めるとともに、地球環境保全に貢献し、お客様や社会の多様なニーズに対し積極的に応えてまいります。


 ※以下、注釈の詳細は添付の関連資料を参照


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ケープサイズ 地球環境 商船三井 運搬船 保全 硫酸 施工 腐食

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