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日立、2.45GHz帯域の微弱な電磁波の到来方向を可視化する技術を開発
2.45GHz帯域の微弱な電磁波の到来方向を可視化する技術を開発
株式会社日立製作所(執行役社長兼COO:東原 敏昭/以下、日立)は、このたび、国内の無線通信機器などで使用されている2.45GHz帯域(*1)における電磁波源の位置を特定し、到来方向を可視化する技術を開発しました。本技術は、無線通信を利用した機器やデータ収集を行うM2M(*2)、スマートグリッド、産業システム分野において高信頼の無線通信網の実現に貢献します。
近年、スマートコミュニティなどの普及に伴い、無線通信技術を用いた各種データ収集および収集データを用いたマネジメントサービスが増加しています。あらゆる場所で途切れることのない無線通信サービスを実現するためには高信頼の無線通信網の構築が必要であり、他の無線機器との干渉抑制や、設置現場におけるノイズ源の位置を特定する技術が求められてきました。無線機器が設置されている広範囲な空間で、無線機およびノイズ源の位置を効率的に特定するためには、より多くの電磁波を短時間かつ高感度に検出する必要があります。そこで、日立は、光の到来方向を認識できる人間の目に着目し、水晶体と類似した機能を持つ電波レンズと網膜の役割をする電界センサで構成した電磁波源の位置特定・可視化技術を開発しました。今回開発した技術の詳細は以下の通りです。
<高感度かつ高角度分解能(*3)で電磁波を検出>
電磁波の到来角に応じて異なる位置に焦点を結ぶルネベルグレンズ(*4)を用いることで、微弱な電磁波のエネルギーを焦点に集め−65.6dBm/m2の高い感度を実現しました。さらに、ルネベルグレンズの各焦点に微小な金属セルで構成された低反射電界センサ(*5)を設けることで高い角度分解能を確保しました。
また、低反射電界センサからの出力信号を、付属のカメラで撮影した画像と重ね合わせることにより、目視で電磁波の到来方向を確認することができます。
本開発により、微弱な電磁波を高い角度分解能で可視化できるので、無線機器の設置現場で、より効率的にノイズ源を特定することができ、無線を活用する社会インフラの信頼性や安全性の向上に寄与できます。日立は、今後、無線設置現場での実証実験を進めていきます。
本成果の一部は、2014年5月13日〜16日まで、東京都一橋講堂で開催される「2014 International Symposium on Electromagnetic Compatibility(EMC"14/Tokyo)」で発表予定です。
(*1)2.45GHz帯域:国内で、10mW以下の出力であれば免許不要で利用できるよう開放されている周波数帯。日本国内で多くの無線通信機器に使用されている。
(*2)M2M:(Machine to Machine)のこと。機械と機械が通信ネットワークを介して互いに情報をやり取りすることにより、自律的に高度な制御や動作を行うこと。
(*3)角度分解能:見分けられる最小の視角のこと。
(*4)ルネベルグレンズ:電磁波の到来方向によって異なる位置に焦点を結ぶ電波レンズ。
(*5)低反射電界センサは、金沢大学、電波情報工学研究室(八木谷教授)の技術を応用。
以上