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島津製作所、横浜市立大などとがんの迅速病理診断支援システムの臨床研究開始

2014-05-01

日本赤十字社医療センターおよび横浜市立大学
がんの迅速病理診断支援システムの臨床研究を開始

 ※参考画像は添付の関連資料を参照

 株式会社島津製作所(社長:中本 晃、京都市中京区)は現在開発を進めている、がんの迅速病理診断支援システムの実用化に向け、日本赤十字社医療センター(院長:幕内 雅敏、東京都渋谷区)および公立大学法人横浜市立大学(理事長:田中 克子、横浜市金沢区)と臨床研究を開始します。4月下旬に両施設にプロトタイプ機を設置し、日本赤十字社医療センターとは肝臓がん、横浜市立大学とは腎臓がんについて共同研究を実施します。

 本システムは科学技術振興機構(JST)先端計測分析技術・機器開発プログラムにおいて開発している装置です。島津製作所の持つ質量分析技術に、山梨大学が開発した新しいイオン化技術である探針エレクトロスプレー法(Probe ElectroSpray Ionization,PESI)と、早稲田大学が開発した統計的学習機械(dual Penalized Logistic Regression Machine,dPLRM)を組み合わせてシステム化したものです。

 患者から採取した2ミリ角程度の組織片をプレートにセットし、先端径が数百ナノ(ナノは10億分の1)メートルの針を刺し、付着した数ピコ(ピコは1兆分の1)リットルというごく微量の試料に高電圧をかけてイオン化し、そこに含まれる成分の質量分析を行います。既知のマススペクトルデータからがん特有の潜在的パターンを学習したdPLRMが、得られた未知データに対してがんの存在する確率を自動判定します(*)。従来の術中迅速病理診断では標本の作成から顕微鏡による観察、診断まで30分程度掛かるところを、本システムでは分析開始から約2分という短時間で結果を得ることができます。複雑な前処理が不要で操作も簡単なため、専門の医師やオペレーターでなくても分析が可能です。検査室、手術室、内視鏡室等において、迅速かつ高精度な質量分析という別のアプローチから病理医による病理診断を支援する装置を目指します。

 *竹田扇,吉村健太郎,出水秀明,平岡賢三,谷畑博司,田邉國士,中島宏樹,堀裕和:質量分析法と統計的学習機械を組み合わせた新規がん診断支援装置の開発,島津評論,Vol.69,No.3・4,pp.203−210(2013.3)

【臨床研究の目的と今後の展開】
 プロトタイプ機の開発にあたり、肝臓がんや腎臓がん、大腸がん、胃がんの患者から採取した試料で病理診断との比較を行い性能を検証したところ、約85〜98%と高い一致率を得ました。このたびの臨床研究によってさらなるデータの蓄積と医療現場での評価を加えた改良を行うことによって、システムの安定性と判定精度をより一層高めます。また、現在のがん・非がんを判定するデータベースから、がんの進行度や組織型に応じたものへと細分化させ、化学療法の方針決定への応用も検討します。

 島津製作所は当社のコア技術である質量分析技術をより広く人々の健康増進に生かすため、分析計測機器の臨床現場での応用を目指した取り組みを進めています。本共同研究の成果をもとにがんの迅速病理診断支援システムを確立し、治験、薬事承認を経て3年後の市場投入を目指すと共に、その他のがんへの適用拡大を図ります。

 *JST先端計測分析技術・機器開発プログラム実証・実用化タイプ
 開発課題名:迅速がん診断支援装置の実用化開発(開発期間 平成24年度〜26年度)
 チームリーダー:出水 秀明(株式会社島津製作所 基盤技術研究所 主任研究員)
 サブリーダー:竹田 扇(山梨大学 大学院医学工学総合研究部 教授)



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