イマコト

最新の記事から注目のキーワードをピックアップ!

Article Detail

独バイエル ヘルスケア、日本でリオシグアトの肺動脈性肺高血圧症で効能追加承認申請

2014-04-30

バイエル社のリオシグアト
肺動脈性肺高血圧症の治療薬として効能追加承認申請を日本において提出


ベルリン、2014年4月23日 バイエル ヘルスケア社は、日本において、リオシグアトの肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対する効能追加承認申請を行いました。PAHは、進行性の病態であり、肺動脈の血圧が大幅に上昇し、心不全や死亡に至ることがあります。リオシグアトは、2014年1月に生命を脅かす別の型の肺高血圧症である慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の経口治療薬として、「アデムパス(R)錠」の販売名で厚生労働省から承認を取得しています。

バイエル ヘルスケア社の経営委員会メンバーでグローバル開発責任者のヨルグ・メラーは次のように述べています。「第III相臨床試験において、リオシグアトを投与したPAH患者さんの症状および重症度に速やかでかつ顕著な改善が認められました。さらに、この改善は長期的に持続しました。複数の薬剤があるなかで、死亡率が依然として高い進行性疾患に対しては効果的な治療選択肢が求められています。我々は日本のPAH患者さんや担当医師の方々にリオシグアトをいち早くお届けできることを願います」

リオシグアトは、単剤療法、またはPAH治療に使用する他の特定の薬剤[エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)または非経静脈的プロスタサイクリン誘導体(PCA)など]との併用療法のいずれにおいても、第III相臨床試験においてPAHを対象に臨床的に重要な複数の評価項目全体を通じて有意な臨床的有効性が速やかかつ持続的に認められた経口治療薬です。リオシグアトは、歩行可能距離を有意に延長し、心臓や肺の機能を向上させ、日常活動時の呼吸を楽にします。 その結果リオシグアトを投与したPAH患者において疾患の重症度が持続的に改善することが示されました。

日本において、PAH治療薬としてのリオシグアトの効能追加承認申請は、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、国際共同、第III相試験であるPATENT-1試験の結果のほか、長期継続試験であるPATENT-2試験の申請時点までの長期データをもとに行いました。両試験では、PAHに対する本薬の有効性および安全性を評価しました。PATENT-1試験では、主要評価項目であり、生存期間の予測や疾患重症度のマーカーとなる6分間歩行距離試験(6MWT)において、プラセボと比較して、ベースライン時から12週後に統計学的に有意な改善(p<0.0001)が認められました。さらに、WHO機能クラス(FC)、臨床的悪化までの期間(TTCW)、ボルグ呼吸困難スコア、血行動態パラメーター[肺血管抵抗(PVR)]、および関連するバイオマーカー[N 末端プロホルモン脳ナトリウム利尿ペプチド(NT−pro BNP)]といった、広範囲にわたる臨床的に重要な副次的評価項目にも統計学的に有意な改善が認められました。本試験では、未治療の症候性PAH、およびERAまたは非経静脈的PCAによる治療歴を有するPAHを対象としており、その結果は2013年7月にNew England Journal of Medicine(NEJM)に発表されています。

■肺高血圧症(PH)について
PHは、深刻で進行性の、生活を一変させる、生命を脅かす心肺疾患であり、肺動脈の血圧が正常値よりも高くなり、心不全や死に至る場合があります。PHは運動能力を著しく低下させ、生活の質を低下させます。PHの最も一般的な症状は、息切れ、疲労、めまい、失神などであり、いずれも労作により悪化します。PHの症状は非特異的であるため、診断が遅れることは稀ではありません。治療開始が遅れると生命予後に悪影響を及ぼすため、早期の診断と正確なPHタイプの確認が非常に重要です。また、継続的な治療モニタリングを行い、個々の患者さんがPHのタイプと病期に適した治療が受けられるようにすることがきわめて重要になります。

PHには5種類あります。それぞれが患者さんに与える影響は異なっており、患者さんそれぞれでPHの原因と症状が異なっている可能性があります。治療で最もよい成果を上げるためには、患者さんはPH専門医のいる施設で治療を受ける必要があります。

■肺動脈性肺高血圧症(PAH)について
5種類のPHのうちの1つであるPAHは、血管収縮により肺動脈圧が大きく上昇し、心不全や死亡となる可能性がある進行性の致死的な疾患です。PAHは、組織のリモデリング、血管収縮や肺動脈内の血栓を引き起こす肺動脈内皮の形態変化を特徴としています。こうした変化の結果として、肺の血管が狭くなり、心臓が肺に血液を送り込むことが困難となります。PAHは希少な疾患であり、その患者数は100万人あたり15〜52人と言われ、男性よりも女性で発症率が高くなっています。多くの場合、PAHの原因は明らかではありませんが、遺伝的な要因も一部の症例で確認されています。

この10年にわたりすでにいくつかの治療方法が提供されているにもかかわらず、PAH患者さんの予後は依然として不良なままであり、新しい治療の選択肢が待ち望まれています。PAH患者さんの死亡率は現在でも依然として高く、診断から1年で15%、3年で32%となっています。

■慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)について
PHの1つであるCTEPHは進行性かつ生命を脅かす疾患で、PHの1つであり、肺血管の血栓により徐々に肺動脈圧が上昇し、右心不全をきたすと考えられています。急性肺血栓塞栓症からCTEPHへ移行する場合もありますが、発症機序はまだ完全には解明されていません。CTEPHの標準的かつ治癒の可能性がある治療はPEAという外科手術であり、肺の血管から血栓と瘢痕組織を摘徐します。ただし、非常に多くのCTEPH患者さん(20%‐40%)が手術不可能であり、一部の患者さん(最大35%)ではPEA後もPHが持続または再発します。これらの患者さんは、効果的な治療薬を必要としています。

■アデムパス(R)錠について
アデムパス錠は、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤と呼ばれる新しいクラスの薬剤で、PHにおける重要な分子メカニズムをターゲットとした経口治療薬として、バイエルが発見・開発しました。アデムパス錠は様々な種類のPHに対する新規の治療薬として検討されています。sGCは心肺系にみられる酵素であり、一酸化窒素(NO)の受容体です。NOがsGCと結合すると、この酵素がシグナル分子である環状グアノシン一リン酸(cGMP)の合成を促します。cGMPは、血管拡張、増殖、線維化、炎症を調整する重要な役割を担っています。

PHの病態では内皮機能不全、NOの合成障害を伴い、sGCへの刺激が不十分になります。アデムパス錠には、NO-sGC結合を安定化することにより、内因性NOに対するsGCの反応性を高めるという独自の作用機序があります。また、NOによる刺激がない状況でも、異なる結合部位を介してsGCを直接刺激します。アデムパス錠は、 sGCの刺激剤として、NO-sGC-cGMP経路を回復させ、cGMPの産生を増加させることにより、NOの欠乏に対処します。

アデムパス錠はこうした新規の作用機序により、承認された治療薬のないCTEPHに対して臨床的有益性を示す初の治療薬です。また、他のPAH治療薬にみられる、NOの非存在下ではcGMPの産生が低下することを克服する可能性があります。


バイエル ヘルスケア社について
バイエルは、ヘルスケア、農業関連、先端素材の領域を中核事業とするグローバル企業です。バイエル社の一事業グループであるバイエル ヘルスケア社は、ドイツ・レバクーゼンを本拠とし、189億ユーロ(2013年)の売上高を持つヘルスケアと医薬品業界の革新的なリーディングカンパニーです。同社の世界的な事業活動は、動物用薬品、一般用医薬品、メディカルケア(画像診断関連製品、血糖自己測定器等)、医療用医薬品の分野に及びます。バイエル ヘルスケア社の目標は、人々と動物の健康を促進する製品を開発、製造、販売することです。バイエル ヘルスケア社は世界100カ国以上で56,000人(2013年12月31日現在)の従業員が働くグローバル企業です。
www.bayerhealthcare.com


Related Contents

関連書籍

  • 死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    詩歩2013-07-31

    Amazon Kindle版
  • 星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    前田 徳彦2014-09-02

    Amazon Kindle版
  • ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    大久保 明2014-08-12

    Amazon Kindle版
  • BLUE MOMENT

    BLUE MOMENT

    吉村 和敏2007-12-13

    Amazon Kindle版