神戸製鋼、インドのエンジニアリング会社と鉄鉱石の事前処理技術でライセンス契約締結

インドFLS社とペレットプラントに関するライセンス契約締結について


　株式会社神戸製鋼所（所在地：神戸市中央区、以下、神戸製鋼）とインドのエンジニアリング会社であるFLSmidth　Private　Limited（所在地：インド・チェンナイ市、以下、FLS）は、神戸製鋼が保有する鉄鉱石の事前処理技術である「KOBELCO　ペレタイジングシステム」に関するライセンス契約をこのほど締結致しました。FLSは本契約の下、インド国内での同プロセスを活用したプラントのマーケティング、設計及び建設を実施する事が可能となります。また、インド国外の案件に対しても両社協業の下で具体的に業務を進めており、協業の範囲を更に広げていく予定です。

　「KOBELCO　ペレタイジングシステム」とは、鉄鉱石を粉砕し丸めたペレットを傾斜した回転型焼成炉（ロータリーキルン）で球状に焼き固める鉄鉱石の事前処理技術です。神戸製鋼が独自に改良したグレートキルン方式（※１）を採用しており、他のプロセスと比較し高品質なペレットの量産が可能です。製造されたペレットは、高炉やMIDREX法（※２）といわれる直接還元製鉄プラントの原料として使用されます。これまで、神戸製鋼は４０年以上に亘ってペレットプラントの建設に携わっており、自社加古川製鉄所でのプラント操業をはじめ、海外ではバーレーン・オマーン・チリなど世界各国への納入プロジェクトは３０件近くに上ります。

　FLSは、セメントや鉱業分野でのプラント設計、機器供給、建設における世界的なリーディングカンパニーであるFLSmidth　＆　Co．A／S（所在地：デンマーク・コペンハーゲン市）のインド現地法人であり、FLSグループでも特に工場建設を含めたプロジェクト全体への高い遂行能力を有しています。

　セメントプラントと「KOBELCOペレタイジングシステム」は共にロータリーキルン方式を採用しているなど焼成部分で技術的に共通点が多く、また鉱石の選鉱過程でも共有可能な技術がある事から円滑な設計・調達の協調と飛躍的な競争力の向上が期待されます。更にFLSは鉄鉱石の選鉱プラントの納入実績が多く、選鉱とペレットは一体的に検討される事から、販売面での高いシナジー効果が発揮される事も期待されます。従って、今回の協業により神戸製鋼は「KOBELCOペレタイジングシステム」の競争力を向上させると共に、一貫性のあるより強固な販売体制が構築できると考えています。

　現在、インド国内の粗鋼生産量は２０１３年の８，１２０万トン／年（※３）から２０２５年には３億トン／年まで大きく伸びると予測されており、それに伴い原料となるペレットの需要も大きく拡大するものと想定されます。神戸製鋼は、今回の契約締結を通じてFLSが保有する技術や販売網を活用し、同社と共に今後の伸張が期待されるインドのペレットプラント市場へ積極的に参入を図っていくと共に、新興国を中心とした鉄鋼需要の拡大に対応すべく更なる活動を展開して参ります。

　※１　グレートキルン方式
　　　ペレットを焼き固める際の熱処理工程が二つに分かれており、最初の工程である加熱炉では生ペレットを乾燥及び予熱し、次にロータリーキルンと言われる円柱状の回転炉の中でペレットを高温で焼き固める方式。他のシステムと比較し、焼きむらが少なく高品質のペレットの量産が可能。また、エネルギー消費の面からも高効率なプロセス。

　※２　MIDREX法
　　　神戸製鋼の１００％子会社であるミドレックス社（アメリカ・ノースカロライナ州）が保有する、天然ガスもしくは石炭由来の還元ガスを使用して還元鉄を製造する直接還元製鉄法。鉄源は鉄鉱石を加工したペレットを使用し、シャフト炉によって直接還元鉄を製造する。天然ガスを使用する事によって、高炉法に比べ製鉄工程でのCO２排出量を抑制する事が出来る。これまで中近東を中心に世界で約７０機を納入した実績があり、世界の還元鉄生産量の６０％を占める。また近年、米国でのシェールガス革命による天然ガス価格の下落や還元鉄需要の高まりを受け、現在多くの引き合いを受けている。

　※３　出展…世界鉄鋼協会（World　Steel　Association）


＜FLSmidth　＆　Co．A／Sの概要＞
　設立：１８８２年
　所在地：デンマーク・コペンハーゲン市
　代表者：Mr．Thomas　Schulz
　従業員：１５，３１７名（２０１３年１２月末時点）
　売上高：３，６１０百万ユーロ（２０１３年１２月末時点）

（ご参考）

　＊添付の関連資料「参考資料」を参照