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富士キメラ総研、デジタルサイネージ市場の動向調査結果を発表

2011-02-10

国内電子看板(デジタルサイネージ)市場を調査 ―2015年予測―

 ●デジタルサイネージ市場 1,493億円 09年比226.2% コンテンツ制作/配信サービスが高い伸び
 ●ネットワーク対応デジタルサイネージ市場 1,041億円 09年比356.5%
 ●サイネージ広告市場 770億円  09年比 5.1倍 スーパー、コンビニの採用増大


 マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 田中 一志03−3664−5839)は、今や新生メディアへと変貌し発展するデジタルサイネージ市場の動向を調査し今後の方向性を分析した。その結果を報告書「デジタルサイネージ市場総調査 2011」にまとめた。

 ディスプレイを活用した電子データによる情報告知や広告、更に販売促進システムをデジタルサイネージという。この調査では、この用途に利用されるディスプレイ市場とディスプレイ/メディアプレーヤーを使った配信システム市場を「システム販売/構築市場」とし、同配信システム向けの「コンテンツ制作/配信サービス市場」、そしてディスプレイとデジタルサイネージシステムを活用した「広告市場(広告ビジネス)」の3つの分野をデジタルサイネージ市場として捉えた。

 このシステムは、ディスプレイにデジタルデータを配信して、列車の運行や株価などの情報を電飾表示することから始まり、ディスプレイシステム、情報通信技術の進化とともに、インフォメーション、広告、販売促進のツールへと発展した。新しいメディアとして多くの分野で広く活用され市場を拡大している。

<調査結果の概要>
 ※ 関連資料参照

 これまでは、システム販売/構築市場がデジタルサイネージ市場を牽引してきたが、JR東日本企画「トレインチャンネル」「J・ADビジョン」や「HANEDAエアポートアドビジョン」などに加え、09年のイオン、10年のローソンの本格運営開始などデジタルサイネージ広告の展開は流通チェーンにまで広がり、市場は大きく拡大している。国内景気が09年の下期以降から回復し始めたことで、この市場は年初の見込みを上回り660億円となった。10年も好調に拡大して前年比112.3%の741億円と見込まれる。ディスプレイや配信システムのコストが下がり、ユーザー層が拡大し需要が増加する中で、コンテンツ制作/配信サービスと広告市場が高い伸びを続けている。今後も配信委託ユーザー数、広告媒体数/事業者の増加により市場は一層拡大し、15年には1,500億円に近づくと予測する。

 「デジタルサイネージ最大のメリット」は「複数拠点へのリアルタイムな一括配信/管理」、「時間帯/設置場所に応じた表示の切り替え/スケジュール管理」によるポスターなどの貼り替え作業の手間削減、タイムリーかつ効果的な情報表示を可能とすることである。交通/金融機関や、量販店やコンビニなどチェーン店舗を中心にシステムの導入が増加しており、更には新たな収益源として広告ビジネスも急増している。

 当初、この市場はディスプレイ/システムメーカーが主導してハードを中心に形成されたが、導入後のコンテンツ制作/配信/運営サービスを担う業者が増加し、デジタルサイネージ広告などで様々なビジネスが展開され、現在も新規参入企業が増え続けている。従来のLED看板から代替した安価なサイネージシステムや電子POPの小型ディスプレイなどにより、中小規模の小売店舗への導入も増加するなど、ユーザーのすそ野もまた着実に広がっている。


デジタルサイネージ広告市場>

 2010年見込み 190億円(前年比125.0%)  2015年予測 770億円(09年比506.6%)

 ディスプレイの規模や設置場所により「交通広告」、「ビルボード(屋外ビジョン)」、「インストアメディア他」の3つに大きく分類した。10年の国内におけるデジタルサイネージの広告市場は、190億円となる。今後は先ずはビジネスモデルが成立している交通広告が市場を牽引する形で、次いでインストアメディア他の更なる拡大、それにビルボードの回復も加わり大きく拡大していくと予測される。

●交通広告

 2010年見込み 83億円(前年比127.7%)  2015年予測 320億円(09年比492.3%)

 デジタルサイネージ市場で、広告媒体として最も大きく期待される分野である。ナショナルスポンサーを中心とする交通機関広告は、景気の影響も多少は見られたものの、依然として設置数の増加が進んで、10年市場は前年に比べ増加している。

●インストアメディア他

 2010年見込み 29億円(前年比193.3%)  2015年予測 350億円(09年比23.3倍)

 個々の媒体/事業者で見ると、景気の影響を受けたケースも含め伸び悩みも見られるが、スーパー/コンビニエンスストアを中心に、既存店舗での設置面数/媒体数の拡大、新規設置/参入企業の増加もあり、市場は拡大傾向が続いている。 
 スーパー/コンビニエンスストア/家電量販店/ショッピングセンターなどは、交通分野同様、映像広告ビジネスとして期待される。店内に設置したディスプレイによるインストアメディア、施設構内や店内から外に向けて広告を放映するアウトドアメディアなど、今後の市場拡大が予測される。


<ネットワーク対応デジタルサイネージ(狭義のデジタルサイネージ)市場>

 2010年見込み 359億円(前年比123.0%)  2015年予測1,041億円(09年比356.5%)

 ネットワーク配信に対応するデジタルサイネージ市場は10年に359億円(前年比123.0%)、デジタルサイネージ市場の48.4%を占めている。さらに15年予測では市場の70%を占める1,041億円(09年比356.5%)に拡大すると予測する。その利便性が注目され、配信ユーザー数の増加とネットワーク対応デジタルサイネージを活用した広告媒体数/事業者の増加もあり、サイネージ市場全体を上回る伸びが予測される。


<主な分野の制作/配信サービス市場の動向>

●交通機関 (鉄道車両、駅構内、道路サービス施設、空港、バスターミナル、バス、タクシ−、船舶) 

 2010年見込み 18億円(09年比120.0%)  2015年予測 33億円(09年比220.0%)

 10年は鉄道駅構内のディスプレイ多面設置が増加し、また空港施設内なども広告用途の多面設置が進んでいる。私鉄各社の車両にも5,500面導入されるなど、広告媒体としての利用が増加している。

 交通情報は鉄道会社/航空会社が自社で配信/運営することに変化はない。10〜15%前後と見られる配信業務の委託は、今後施設の多面設置拡大に伴い増加すると予測される。配信切り替えが容易で、利用者に公平に情報伝達を行う必要から今後もディスプレイの設置が増加すると期待される。

 広告配信も動線に沿った多面配置による認知度向上の手法が確立されて来ており、イニシャルコストの低価格化が進んでいることから今後は地方都市への設置が予測される。

●小売店舗/商業施設  

 2010年見込み 6億円(09年比120.0%)  2015年予測 15億円(09年比300.0%)

 大手スーパーや百貨店、ショッピングセンターを中心に配信システムを構築し、複数個所への配信を行うケースや多面設置の増加により市場が拡大している。百貨店や家電量販店では、自店舗で運営/配信業務を行うことが多いが、コンビニエンスストアなどではシステムの運営/配信業務を委託しており、ローソンの400台など大規模展開が多い。コンテンツ制作から配信まで対応した低価格ASPサービスやクラウド型サービスなど、新たなサービスも登場して市場は拡大している。 

 今後も大型施設を中心にインフォメーション用途で液晶/PDPディスプレイが増えることで需要拡大が見込まれる。既存店ではネットワーク配信による40インチ以上の大型ディスプレイの増加が予想される。また大型店舗では、テナントの販促用途を中心に配信システムを伴ったサイネージシステムの導入が拡大していくと予想される。

●金融機関(銀行、証券、保険店舗)

 2010年見込み 31億円(09年比124.0%)  2015年予測 51億円(09年比204.0%)

 金利情報や株価などを表示するニーズが高いこの市場では、リアルタイムで表示情報を切り替えることが出来るデジタルサイネージシステムに対するニーズが高く、導入が進んでいる。大手の金融機関の導入率が高まっていると見られ、配信対応ディスプレイの需要が増加している。金利や株価などのマーケット情報や、経済ニュースなどの配信を目的に導入するケースが多く、コンテンツの専門配信業者に業務委託する比率が高い。また、コンテンツの情報更新が頻繁に行われることから、コンテンツ制作の比率は他の分野と比べて高いと見られる。今までポスターなどで掲示するだけで説明が不足していた個人向け商品の説明にデジタルサイネージシステムを用いた事で問い合わせが増え売り上げ拡大にもつながっている。

●レジャー/アミューズメント(映画館/シネマコンプレックスフィットネスクラブ、ゲームセンターなど)

 2010年見込み 5億円(09年比166.7%)  2015年予測 16億円(09年比533.3%)

 映画館の空席状況、遊園地の施設稼働状況、フィットネスクラブの混雑状況などは迅速/正確な情報提供が必要とされる。映画館では、待合フロアで予告上映配信、カウンター上の空席情報配信用でも設置されている。導入先の各店舗が配信業務を運営するケースが多く、映画館/シネマコンプレックスフィットネスクラブのインフォメーション用途を中心に配信運営/管理が行われている。従ってコンテンツ制作は他の需要先よりも低いと見られる。ディスプレイシステムは普及が進んでいる映画館/シネコンではリプレイス中心の需要になるものの、その他の需要先では、効率的な表示切替が可能なことからもインフォメーション用途を中心に今後も採用が進むと予想される。

●医療機関(病院、診療所、歯科診療所)  

 2010年見込み 8億円(09年比133.3%)  2015年予測 16億円(09年比266.7%)

 09年のディスプレイ出荷は4,200台と前年に比べて増加した。今後も微増を続けてゆくと予測する。比較的大規模の病院や、外部に配信委託をしている病院/診療所では配信対応ディスプレイを導入している。医療機関向けに配信業務を行う専門事業者がいることから、他業界と比較して配信業務委託の割合が高い。小規模診療所では映像コンテンツの制作や配信などの管理を行う人がいない場合が多いため、配信業務を委託するケースも多い。また、医師/看護師などのスタッフ紹介、病気に関する情報などのオリジナルコンテンツを制作して、患者の満足度向上につなげようという流れがあるため、コンテンツ制作費の割合が高い。待ち時間の長さを感じさせないため顧客満足度が上がり、患者の獲得につながるなどのメリットが理解されてサイネージシステムの導入が増加しており、今後も導入は続くと予測される。


以上


<調査対象>

1.デジタルサイネージ市場
 (1)システム販売/構築市場 (2)コンテンツ制作/配信サービス市場 (3)デジタルサイネージ広告市場

2.需要対象分野 
 (1)店舗/商業施設  (2)その他店舗 (3)外食店舗 (4)交通機関 (5)金融機関 (6)レジャー/アミューズメント施設
 (7)ホテル/結婚式場 (8)公共施設 (9)オフィスビル (10)教育機関 (11)医療機関 (12)官公庁/自治体、他

3.事例研究企業:30社

4.関連製品/システム:15品目 

<調査期間>
 2010年9月〜11月

<調査方法>
 富士キメラ総研専門調査員による調査対象・関連企業に対しての直接面接及び電話取材と富士キメラ総研社内データベースの活用による調査・分析

資料タイトル:「デジタルサイネージ市場総調査 2011」
 体裁:A4判 297頁
 価格:97,000円(税込み101,850円)
     CD−ROM付 :107,000円(税込み112,350円)
 調査・編集:株式会社 富士キメラ総研 研究開発本部 第二研究開発部門
        TEL:03−3664−5818  FAX:03−3661−5275
 発行所:株式会社 富士キメラ総研
       〒103−0001東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 F・Kビル
       TEL03−3664−5839(代) FAX 03−3661−1414

 この情報はホームページでもご覧いただけます。
   URL:http://www.group.fuji-keizai.co.jp/
   URL:http://www.fcr.co.jp/


 ※ 参考資料は、関連資料参照



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