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サカタのタネ、ミニトマトのF1新品種「キャロルスター」の種子を生産者向けに発売

2014-04-25

「新品種」
高温条件下でも安定して生育し、高品質の果実が収穫できる
ミニトマトのF1新品種『キャロルスター』の種子を生産者向けに発売
「裂果」や「軟化」がしにくく「安定した収量性」と「食味」に優れた待望のミニトマト


 サカタのタネは、ミニトマトの新品種『キャロルスター』の種子を2014年5月下旬(予定)に発売します。『キャロルスター』は、暑さに対し「スタミナ切れがしにくい」丈夫な性質があります。特性は、節間が詰まり適度な花数で着果性がよく、高温条件下で課題となる果実の裂果(※1)や軟化玉、小果、奇形果の発生が少ないこと、また葉に発生する葉かび病(※2)や斑点病(※3)といった病害にも抵抗性(※4)を有します。これらのことから、歩留まりがよく、栽培初期から後期までLサイズ中心の果実を安定して収穫でき、暑く過酷な条件下となる「抑制栽培」(※5)の作型に最も適します。さらに、消費者や流通・小売関係者が求める食味・食感・果色のよさを持ち合わせており、『キャロルスター』は、高温条件下における生産や流通のマーケット上の課題に応えられる待望の品種です。
 希望小売価格(税抜)(※6)は、プライマックス(R)(※7)種子1袋1,000粒入り22,300円で、全国の種苗店・JAルートを通じて販売します。

 *商品画像は添付の関連資料を参照

 ミニトマトは、一般消費者にとって生でも食べられて調理の手間がかからないという手軽さから人気の高い野菜です。また、外食産業においても健康志向の高まりによりサラダメニューなどの業務加工用としても年々需要が高まってきています。農林水産省「野菜生産出荷統計」によるとトマト全体の出荷量が過去5年間で3%減少してしているなか、ミニトマトにおいては、11%の増加をしており(出荷量:平成15年「トマト全体」663,800t、「ミニトマト」95,100t/平成24年「トマト全体」644,500t、「ミニトマト」105,900t)、夏野菜の代表格の作物でありながら、周年を通じて安定した供給が望まれています。しかし、ミニトマトの生育現場は、近年の地球温暖化による夏場の平均気温の上昇が影響して、栽培にとって過酷な環境になっています。特に、ハウス栽培では適温をはるかに超えた40度以上にも達することがあり、高温による裂果や軟化、着果不良、着色不良をはじめ、暑さによるスタミナ切れで生育の後半にかけて果実が小さくなってしまうなどの問題が生じてしまいます。そのため、生産者にとって高品質の青果物を安定的に出荷することが年々難しくなってきています。一方、消費者、小売・流通の現場では、食味・食感のよさだけでなく、果色の美しさなどの見栄えといった品質面でもさらに高いレベルが要求され、高温条件下でも安定した収量と品質の両方をより高めたミニトマトの品種が求められていました。
 今回、発売する『キャロルスター』は、このような課題を解決すべく、「花数の安定を重点に、食味がよく、節間がつまり、耐裂果性、収量性のある品種の開発」を目標に育種したものです。特に環境変化による着果数の変動が少ない点と、高温条件下でも安定して生育し果実の裂果や軟化、小果の発生を大幅に改善しました。スタミナの切れにくさから、生育の後半までLサイズ中心の果実を安定して収穫でき優れた収量性があります。また、節間が短いことから天井の低いハウスでも収穫段数を増やすことができ、花数が一花房あたり約20花ほどと多花になりすぎない性質から、摘花の必要がないため作業性にも優れます。果重は従来のミニトマトと同等の10〜15gです。食味は、甘みと酸味のバランスがとれてコクがあり、食感は果肉が厚く果皮がやわらかいので、皮の残りが感じにくいしっとりとなめらかな舌触りです。
 見栄えは、従来品種がベースグリーン(ヘタまわりの緑色の帯状の果皮)があるため下地が安定せず色ムラが発生することがあるのに対し、『キャロルスター』はベースグリーンがなく、全体が均一にいったん白くなってから色づくため、満遍なく色が回り、色ムラが発生しにくいという珍しい特長があります(参考写真参照)。
 『キャロルスター』は葉かび病、ToMV(※8)(トマトモザイクウイルス、Tm−2型)、斑点病に抵抗性、萎凋(いちょう)病(※9)(F:レース−1)、根腐萎凋病(J3)(※10)に耐病性(※4)、さらにネマトーダ(ネコブセンチュウ類)に耐虫性があります。しかし、黄化葉巻病(※11)や葉かび病新レース、うどんこ病(※12)、すすかび病(※13)に対する抵抗性はないため、これらの病害については防除が必要となります。また、灌水は多めに行い、「ブロック」(当社育成)などの草勢の強い台木を用いた接ぎ木栽培を行うとさらに草勢が衰えず安定生産することができます。
 このように『キャロルスター』は、暑さに強い性質からトマト栽培で過酷な環境となる「抑制栽培」に最適で、生産供給量が落ち込む夏から秋の安定供給に寄与する品種です。歩留まりがよく食味もよいことから、一般消費だけでなく、近年需要が高まり高いレベルが求められている業務加工用にも向いています。
 なお、品種名は当社の丸玉のミニトマトに冠する「キャロル」と、高温条件下において安定した生産ができることから、生産者、流通者だけでなく消費者にも喜ばれ、皆さんに愛される品種になってほしいという思いを込めて「スター」と名付けました。

 今後、環境変化によってもたらされる気象変動により、さまざまな農作物の栽培が難しさを増すなか、当社では長年蓄積してきた膨大な植物遺伝資源、育種研究開発力を最大限に活用し、これからも消費者、小売・流通関係者、そして産地のニーズに対応した品種を開発して、青果物の安定的な供給に寄与していきます。


 *以下、概要などリリース詳細は添付の関連資料を参照


■読者の方からのミニトマトキャロルスター』に関するお問い合わせ先
 株式会社サカタのタネ 野菜統括部
 電話045−945−8802



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