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帝国データバンク、新規株式上場意向に関するアンケート調査結果を発表

2014-04-25

特別企画:新規株式上場意向に関するアンケート調査
IPOの目的、「知名度や信用度の向上」が7割超
〜IPO予定時期、今後5年以内の予定が35.7%〜


<はじめに>
 アベノミクスによる経済成長への期待感から、2013年の株価は回復基調で推移した。新興市場にも明るさが見えはじめ、新規株式上場(IPO)を取り巻く環境は好転した。これを受け、中堅・ベンチャー企業で新たにIPOを検討する機運が高まると同時に、上場準備を中断していた企業が準備を再開する動きもある。
 そのため、2014年のIPO件数は増加傾向で推移すると見込まれる。すでに3月にはジャパンディスプレイ、日立マクセルが上場。さらに西武ホールディングスの上場が承認されるなど、中堅・ベンチャー企業のみならず大手企業の上場も相次いでいる。
 株式市場の安定が続けば、2013年以降に上場準備を開始した企業のIPOが2016年頃に相次ぐと予想される。そこで帝国データバンクでは、保有する企業情報の中からIPOの意向を持つと考えられる企業を抽出しアンケート調査を実施、その動向を探った。
 なお、同アンケート調査は今回で17回目。

【調査対象】下記(1)〜(3)のうち、いずれかに該当した未上場の4,064社
 (1)前回調査(2013年)において、IPOの意向を確認済み
 (2)帝国データバンク「企業信用調査」において、IPOの意向を確認済み
 (3)ベンチャーキャピタルからの出資を確認済み
【調査期間】2014年3月5日〜3月19日
【調査方法】調査票の郵送
【回答数】1,260社(回答率31.0%)
【分析対象】IPO意向が「ある」と回答した403社


<調査結果(要旨)>
 1.IPOの意向がある企業を業種別にみると、「サービス業」が全体の50.1%を占め最多。地域別では「東京都」の割合が全体の44.4%を占め、一極集中の状況が続いている
 2.IPOの目的では、「知名度や信用度の向上」が7割超を占め最多
 3.IPOの予定時期では、今後5年以内にIPOの予定が35.7%を占めた
 4.IPOの予定市場では、「東証マザーズ」が46.2%を占め最多
 5.特に強化すべきと考える点についてたずねたところ、「コンプライアンス、内部監査体制の充実」が56.1%と過半数を超える
 6.今後5年以内の国内IPO市場の展望では、6割超の企業が、好転すると回答


■1.IPO意向がある403社の属性分析
1)業種別〜「サービス業」が50.1%と過半数を占める〜
 IPOの意向を持つ企業属性を業種別に見ると、前年調査に引き続き、「サービス業」の割合が50.1%と過半数を占めた。そのなかでも情報サービス業の割合が高く、全体の21.8%を占めている。インターネットを利用したソーシャルメディアの発達、スマートフォン・タブレット端末の普及などが、IT・ネット系ベンチャーのIPOを促進している様子が見て取れる。
 次いで多いのは「製造業」の19.1%、卸売業の11.7%であった。その中では機械製造業、電機製造業、機械・器具卸売業の割合が比較的高い。前年調査から業種別の割合に大きな変動は見られなかった。

 ※表資料は添付の関連資料「表資料1」を参照


2)地域別〜東京都の一極集中が続く〜
 本社所在地域別では、「関東」が57.3%を占めた。なかでも「東京都」の割合が全体の44.4%を占め、一極集中の状況が続いている。
 前年調査と比較すると、「関東」の割合が3.1ポイント増加する一方、「近畿」の割合は2.3ポイント減少した。その他の地域の割合は、ほぼ横ばいでの推移となった。

 ※表資料は添付の関連資料「表資料2」を参照


■2.IPO目的〜「知名度や信用度の向上」が7割超を占める〜
 IPOの意向が「ある」と回答した企業403社について、その目的についてたずねたところ、「知名度や信用度の向上」と回答した企業が301社(構成比74.7%)を占め、トップとなった(複数回答、以下同)。「人材の確保」(207社、同51.4%)との回答が2番目に多く、「資金調達力の向上」(192社、同47.6%)が続く結果となった。
 IPOの目的として、多くの企業は資金調達額以上に、上場を通じて得られる知名度や信用度の向上を重視していることがわかる。
 上場会社となることによって、主要紙の株式欄をはじめとするマスコミ媒体で報道される機会が増え、会社の知名度が向上するとともに、優秀な人材を確保できることによるメリットを感じている様子が見てとれる。
 IPO意向企業にとっては、「資金調達力の向上」により、株式の流動性をもとに、公募による時価発行増資、新株予約権発行などで直接金融が可能となる。資金調達能力が増大することにより、成長のための投資を円滑に図ることができる。とくに創業間もないベンチャー企業は、成長性があるにもかかわらず業歴の浅さから信用力が相対的に低くなり、金融機関からの間接金融を受けづらいため、直接金融は大きなメリットといえる。

 ※グラフ資料など以下、リリース詳細は添付の関連資料を参照


<まとめ>
 2014年のIPO件数は3月末時点で12社と、前年並みの水準で推移している。医療・介護福祉分野などで活用されるロボットスーツの研究開発・製造・販売を行う大学発ベンチャーCYBERDYNEの上場や、ジャパンディスプレイ、日立マクセルの大型上場が注目された。
 4月以降も大型ホームセンターを運営するジョイフル本田(4月18日上場)のほか西武ホールディングスの上場が予定されており、市場関係者の間では、通年でのIPO件数は、リーマン・ショック前の水準には届かないものの70〜80件まで回復すると予想する声もある。
 安倍政権が発足した2012年12月以降、日経平均株価は上昇基調にあり、好調な企業業績を背景に今後も堅調に推移することが見込まれている。株高による市場の活性化は、これからIPO を予定する企業にとって追い風となるうえ、IPO企業の増加により、上場企業の新陳代謝が促進されることは、日本経済の活性化にもつながる。そのためにもIPO企業数の増加を、一過性のバブルに終わらせず、地に足のついた「実力のある成長企業」の増加につなげることが重要となる。IPOの目的を明確にし、IPO後の成長戦略を取引先や従業員、株主、幹事証券会社、監査法人などステークホルダーにしっかりと示していけるかどうかがカギを握る。


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