コーセー、年代別にみた肌質特性の調査結果を発表

〜お肌の曲がり角は１０歳だった！？〜
年代別にみた、肌質特性の調査結果


　株式会社コーセー（本社：東京都中央区、代表取締役社長：小林一俊）は、ヒトの成長過程における皮膚の特性変化について調べるため、幼少期から成人を迎える前まで（３〜１９歳）の日本人８０名を対象に肌質調査を行いました。その結果を、成人の肌質調査結果と比較すると、思春期を迎える１０歳頃を境に、肌の状態を示す様々なパラメーター（測定値）が、大きく変化することが確認されました。この研究成果は５月３０日〜６月１日に開催される第１１３回　日本皮膚科学会総会（京都市左京区、国立京都国際会館）にて発表予定です。


＜いわゆる"隠れシミ"は１０歳頃から大きく増加することが明らかに！＞
　特定波長の光を用いて顔を撮影すると、シミのある場所は濃いスポットとして観察されます。しかし、シミが目では見えない場所でも薄いスポットが観察されることがあります。この現象には、まだ不明な点がありますが、将来シミになる可能性を持った"隠れシミ"といわれています。
　今回の調査で、対象者の"隠れシミ"の数を調べたところ、１０歳頃までは非常に少ない数であったのに対し、１０代に入ると数は大きく増加し、１０代後半では成人とほぼ同数に達していたことが明らかとなりました。このことより、"隠れシミ"の増加が始まる１０歳過ぎから肌内部で局所的な色素沈着の形成が始まっていることが示されました。つまり、生体内でシミの形成に関わる変化がすでに生じている可能性が考えられます。これらの変化は、紫外線によって促進されることから、幼少期からの紫外線防御の重要性が示されました。

〔図１　隠れシミと年齢の関係〕

　※添付の関連資料を参照


＜未成年者の肌は、外界の影響を受けやすい＞
　環境による肌水分量の変動を調べた結果、未成年者の肌は成人と比べて、周りの温度や湿度の影響をとても受けやすいことが分かりました。気温、湿度の高かった日は、成人と同程度の水分量でしたが、気温が低く、乾燥していた日では水分量が顕著に下がっており、その差も成人と比べて大きいものでした。
　特に１０歳未満の子供は、寒い時期の肌の水分量が成人よりもはるかに少なく、肌が非常に乾燥した状態となっていました。未成年者に対しても、しっかりとした保湿対策が重要だと考えられました。

〔図２　角層水分量の測定日による変動〕

　※添付の関連資料を参照


＜肌のキメは、成人する前から失われつつある＞
　成人では、肌のキメは加齢とともに消失していくことが知られています。今回、頬部のキメをマイクロスコープで観察したところ、幼少期では細かく整った、均質なキメが見られるのに対し、１０歳を過ぎた頃から頬部のキメが失われてゆくこと、そしてその変化には個人差があることが観察されました。キメの消失は肌の乾燥や紫外線によって促進されることが分かっています。見た目はきれいな未成年の肌もすでに大きな影響を受けつつあることが明らかになりました。

〔図３　肌のキメ（マイクロスコープ画像）〕

　※添付の関連資料を参照


＜未成年者の肌特性は、成長の過程で大きく変わる＞
　幼少期の肌は、シミやシワもほとんど見られず、細かなキメが整った非常に美しい肌ですが、その反面、外界の影響を受けやすい不安定な肌であると考えられました。
　本調査から１０歳頃を境に、部分的な色素の沈着や、キメの乱れが始まることが観察され、その変化も個人差が大きいことが明らかになりました。よって、この時期の肌の変化が、その後の肌の「質感」や「形状」などの特性に大きな影響を及ぼす可能性が考えられました。

　これまでコーセーでは、２００８年より年代別の肌特性の違いに関する調査研究を実施しており、今回初めて未成年者まで対象を拡大しデータを取得しました。その結果、幼少期からの成長過程における皮膚の生理学的、形態学的変化を調査することで、１０歳頃を境とした大きな肌変化を捉えることができました。従来、「乳幼児と成人」の違い、あるいは「老化に伴う変化」に着目した研究が多かったのですが、今回の研究により、未成年者の肌を考えるための非常に重要な知見を得ることができました。当社では本研究結果を活かし、未成年者に必要なスキンケア理論の確立を目指してまいります。そして今後も継続してこれらの研究を進めることにより、生涯にわたって健やかな肌を保つための化粧品の役割を追求していく所存です。