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富士通子会社、森林資源計測サービス「もりっしー」を提供開始
森林資源計測サービス「もりっしー(※1)」を提供開始
〜森林の持つ多様な価値の保全に向けたICTの活用〜
富士通クオリティ・ラボ株式会社(本社 神奈川県川崎市 代表取締役社長 高橋淳久(*))は、本日より、主に森林保全・植生調査・林業振興・水源涵養・防災減災などに携わるお客様に向けて、森林資源計測サービス「もりっしー」の提供を開始します。
本サービスは、当社が従来から提供してきた自然環境調査サービス(※2)の一環として提供するもので、今般、新たにハイパースペクトル画像解析(※3)などのICT技術を導入することで、より高精度かつ高効率な森林資源の計測、ならびに、植生図作成にかかる工数の大幅な削減を実現しました。
当社は、森林資源の定量的な見える化により、森林の持つ多面的な価値の持続可能な利用に貢献して参ります。
*社長名の正式表記は添付の関連資料を参照
日本の森林の約4割を占めるスギ・ヒノキ・マツなどの人工林は、木材生産はもとより、水源涵養・景観保全・防災減災・CO2削減吸収・生物多様性保全といった多様な価値を提供しています。
一方、昨今では、適切な手入れが施されないまま、放置される人工林が多く見られるようになり、このような状況を看過すれば、森林荒廃が加速度的に進む危惧があります。
これらの課題の解決に向けて、当社では、従来から提供してきた航空写真判読や実地踏査による植生調査のノウハウと経験に基づき、今般、新たにハイパースペクトルカメラによる空中写真の画像解析技術などを適用し、森林資源計測サービス「もりっしー」の提供を開始するものです。
【サービスの概要】
本サービスでは、スギ・ヒノキ・マツなどの日本の人工林に多く植生する樹木の資源の状況を計測します。
航空機にハイパースペクトルカメラとデジタルカメラを搭載し、対象森林の上空約3,000mから一日に最大20,000ヘクタール(秋田県の八郎潟干拓地17,005ヘクタールよりやや広い面積)の規模で空中撮影を行います。
撮影された画像の解析により樹種・樹高・本数を計測し、これらのデータをもとに蓄積(森林を構成する樹木の幹の総体積)を推計します。また、ご要望に応じ実地踏査による計測結果の検証を行います。
本サービスで計測した森林資源データは、GIS(※4)での活用に適した1/5,000地図やshp形式(※5)などお客様の目的や用途に応じたフォーマットで提供いたします。
*参考画像は添付の関連資料を参照
【サービスの特長】
1.森林資源を高精度に定量化
本サービスでは、株式会社富士通研究所(本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 富田達夫)が研究開発したハイパースペクトル画像解析技術を活用しており、森林資源の蓄積を約80%(※6)の高い精度で推定できる他、間伐などの森林保全の指標となる各種データの推定ができます。
2.植生調査と植生図作成の工数削減に貢献
本サービスは、人による踏査や航空写真判読と比較し、森林調査と植生図作成にかかる工数を約1/20(当社調べ)に圧縮します。
3.森林の荒廃抑止に貢献
人間の目では識別できない微細な色調を識別できるハイパースペクトル画像解析技術を適用することで、樹木の生育状態や病害虫の浸食状況などの調査への応用が可能です。
【利用分野】
森林保全、林業振興、水源涵養、防災減災、山間部の施設・設備の保全、植生調査、生物多様性保全、外来植物対策、病害虫対策、森林CO2オフセット・クレジット認証、他
【実証実験について】
2013年5月から8月にかけて、鹿児島県様、霧島市様のご協力のもと、本サービスを適用した実証実験を行いました。
空中写真による計測後、実地踏査(※7)による検証をしたところ、樹種識別率90%以上、樹高計測精度90%
以上、本数計測精度80%以上、蓄積推定精度約80%といった良好な結果を得ることができました。
これらのデータは、富士通グループが提供する森林・林業向け「GIS山間王」(※8)に組み込んで同地域の森林組合様にご提供しております。
【販売価格、および、提供時期】
製品名 :森林資源計測サービス(もりっしー)
販売価格(税別):個別見積り
提供時期 :本日より
【販売目標】
今後5年間で20億円を見込む
【商標について】
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
【注釈】
(※1)もりっしー:森を知る・識る、英語のSeeの意味と音を組み合わせた愛称。
(※2)自然環境調査サービス:富士通クオリティ・ラボ株式会社の100%出資子会社である環境計測株式会社(本社京都府京都市 代表取締役社長 石川理積)が提供する植物・動物・水棲生物・生態系などの調査・分析サービス。 http://www.kankyou-keisoku.co.jp/
(※3)ハイパースペクトル画像解析技術:対象物のスペクトル情報を高い精度でピクセルごとに測定することで人の目は識別できない微細な色調を識別する技術。
(※4)GIS:地理情報システム Geographic Information System
(※5)shp形式:GISの標準フォーマットとも言われており、多くのGISソフトウェアでの利用が可能な形式。
(※6)約80%:現存する森林簿の蓄積推定精度は51.2%(参考出典:一般社団法人日本森林技術協会)と言われている。
(※7)実地踏査:樹種125プロット(全2,000ヘクタール)+121プロット(高精度200ヘクタール)、樹高・本数45プロットを調査。(一般社団法人日本森林技術協会に委託)
(※8)GIS山間王:富士通エフ・アイ・ピー九州株式会社が開発・提供する森林保全・林業向けGISで、森林簿・所有者情報・施業履歴などのデータベースを地理情報とリンクして戦略的な森林保全・林業経営計画の策定を支援。 http://jp.fujitsu.com/group/qfi/product/agriculture/gis/
以上
≪お客様お問い合わせ先≫
富士通クオリティ・ラボ株式会社
・メール:fql-contact@cs.jp.fujitsu.com
・電話:044−754−2913(9時〜17時 土・日曜日・祝日・年末年始を除く)
・HP:http://jp.fujitsu.com/fql/