東京商工リサーチ、３月の「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産動向を発表

〔特別企画〕
【３月速報値】
「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産動向（３月３１日現在）
〜「金融円滑化法」終了から１年２０１３年度は４割増の４３３件〜


　２０１４年３月の「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更後の倒産は２５件（速報値：３月３１日現在）。全体の倒産が抑制されていることを反映して、速報値段階では２カ月連続で前年同月を下回っている。ただし、中小企業金融円滑化法の終了から丸１年の、２０１３年度（２０１３年４月−２０１４年３月）では４３３件（前年度３０５件）に達し、前年度より４割増（前年度比４１．９％増）で推移した。
　中小企業金融円滑化法の終了後も、金融機関がリスケ要請に応じるなど実質的な金融支援が継続されたなかで、業績回復の遅れから息切れする中小企業が多かったことを浮き彫りにした。


＜３月の負債総額　２カ月連続で１００億円を下回る＞
　３月の負債総額は７５億２，７００万円（前年同月比４４．８％減）で、２カ月連続で１００億円を下回った。負債別では、１０億円以上の大型倒産が１件（前年同月４件）にとどまった。


＜３月の産業別　製造業が最多９件＞
　３月の産業別では、製造業が９件（前年同月１２件）で最も多かった。次に、サービス業他４件（同８件）、卸売業と小売業が各３件、農・林・漁・鉱業と運輸業が各２件、情報通信業が１件と続く。
　３月の従業員数別では、５人以上１０人未満９件（構成比３９．１％、前年同月１２件）と最も多かった。一方、５人未満が５件（前年同月比５４．５％減、前年同月１１件）と減少が目立った。


＜２０１３年度の負債額別　５千万円未満が８割増＞
　２０１３年度の倒産件数４３３件の負債額別では、最多が１億円以上５億円未満の２１９件（前年度比５８．６％増、構成比５０．５％）だった。また、５千万円未満の小規模・零細企業も５２件（同８５．７％増、前年度２８件）と前年度に比べて８割増と増加ぶりが目立った。


＜２０１３年度の原因別　赤字累積の増加が目立つ＞
　２０１３年度の原因別では、販売不振が２３１件（前年度比３１．２％増、前年度１７６件）だった。また、既往のシワ寄せ（赤字累積）も１０３件（同７７．５％増、同５８件）と増加した。

　※「円滑化法関連倒産月次推移」は添付の関連資料を参照


＜２０１３年度の産業別　製造業が約３割を占める＞
　２０１３年度の産業別では、製造業が１２７件（前年度比４４．３％増、前年度８８件）で最も多く、全体の約３割（構成比２９．３％）を占めた。次いで、建設業が８７件（前年度比２２．５％増、前年度７１件）、卸売業７５件（前年度比５６．２％増）、サービス業他６２件（同９３．７％増）、小売業４１件（同４６．２％増）、運輸業２３件（同４．５％増）と続く。


＜２０１３年度の形態別　破産が全体の６割＞
　２０１３年度の形態別では、消滅型の破産が２７２件（前年度比４４．６％増、前年度１８８件）で最も多く、全体の６割（構成比６２．８％）を占めた。一方、再建型の民事再生法は３４件（前年度２１件、構成比７８％）にとどまった。金融円滑化法に基づく貸付条件変更を利用した企業では、業績不振から事業継続を断念するケースが多いことを明らかにした。


＜２０１３年度の従業員数別　１０人以上２０人未満が約７割増＞
　２０１３年度の従業員数別では、５人未満が１３７件（前年度比６７．０％増、前年度８２件）、５人以上１０人未満も１０３件（同３０．３％増、同７９件）で、従業員１０人未満は２４０件（構成比５５．４％、前年度１６１件）にのぼり、小規模・零細企業が全体の約６割を占めた。こうしたなか、１０人以上２０人未満も１０３件（前年度比６８．８％増、前年度６１件）と増加が目立ち、小規模・零細より従業員規模が大きな企業の倒産も増えていることが目を引く。
　全体の倒産が抑制されるなかで、２０１３年度の「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更後の倒産が、４割増と増勢が目立ったことは、景気回復の動きが、中小企業の末端までは、波及していない現状を反映しているといえる。

　※以下の資料は添付の関連資料「参考資料」を参照
　　・産業別倒産状況（４−３月）
　　・産業別　件数構成比
　　・原因別倒産状況（４−３月）
　　・原因別　件数構成比
　　・形態別倒産状況（４−３月）
　　・形態別　件数構成比
　　・資本金別倒産状況（４−３月）
　　・資本金別　件数構成比
　　・負債額別倒産状況（４−３月）
　　・負債額別　件数構成比
　　・従業員数別倒産状況（４−３月）
　　・従業員数別　件数構成比