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ニールセン、高齢化に関するグローバル調査の結果を発表
ニールセン 高齢化に関するグローバル調査の結果を発表
>高齢化する世界の消費者のニーズは満たされていない。小売店、メーカー、サービス事業者にはより一層の努力が求められている
>自分で身の回りのことができなくなり、一人で暮らすことも不可能になった場合、日本はほかの地域に比べ、「老人ホームで暮らす」(21%)と予想する人が多い
(ニールセン ニューヨーク報道発表資料をもとに作成:2014年3月11日)
マーケティングリサーチと分析において世界最大の企業であるニールセンは、「高齢化に関するグローバル調査」の結果を発表しました。これによると、世界の消費者に占める65歳以上の人口とその購買力が増加する中、小売店やメーカー、サービス事業者には高齢者の健康と快適な暮らしをサポートするために、より一層の取り組みが求められていることが明らかになりました。
60の国と地域で15歳以上のインターネットユーザー、3万人以上を対象に実施された『高齢化に関するグローバル調査』iでは、回答者のおよそ半数(51%)が世の中の広告は高齢者をターゲットにしておらず、ラベルの読みやすい商品が不足している(50%)と答えています。高齢者のニーズに対応した商品やサービスに関する質問では、全体の43パーセントがパッケージの開けやすい製品が少ないと回答し、「特定の栄養ニーズを満たす食品」(45%)、「少量パックの食品」(44%)、「わかりやすい栄養成分表示」(43%)が不足していると答える人もそれぞれ4割を超えています。また、各種サービスの利用が難しいと感じる人も多く、「住宅関連」(46%)、「交通機関」(44%)、「金融」(44%)、「医療保険」(39%)、「出前・宅配」(36%)などで特に目立ちます。
日本は高齢化が進んでいるにも関わらず、高齢者向けの製品、サービスが見つけやすい・利用しやすいと感じている人は世界平均よりも少なくなっています。(図1参照)
ニールセンのコンシューマー&ショッパー・インサイト部門シニア・バイス・プレジデント、トッド・ヘイルは次のようにコメントしています。「今回の調査結果はメーカー、小売店、そしてマーケティング担当者に、高齢化する消費者にきちんと向き合い、応えるためにより一層の努力が求められていると気付かせることでしょう。日本やドイツ、イタリアなど多くの先進国で既に65歳以上の高齢人口が14歳未満の若年人口を逆転したと報告されています。ii また、世界中で高齢者の数が増加しているだけでなく、他の世代に比べて時間に余裕がある人が多いことから、その購買力も高まっています。」
さらに、回答者の3人に一人は、店舗で高齢者のニーズにこたえるような高齢者用製品専用の売り場(「ニーズにこたえていない」34%)、身体が不自由な人用のレジ(同33%)、買い物袋を車まで運んでくれるアシストサービス(同36%)などのニーズに応えていないと答えています。同様に、おおよそ世界の4人に一人は、店は腰かけることのできるベンチ(同29%)、身体が不自由な人用の広い駐車場(同25%),身体が不自由な人向けのトイレ(同23%),手が届きやすい棚(同23%)、体が不自由な人向けスロープ/ドア(22%)を備えていないと回答しています。(図2 参照)
<地域で異なる高齢者対応の現状>
北米のメーカー、サービス事業者、小売店の間では高齢消費者への対応が比較的進んでいるようです。高齢者のニーズを「完全に満たしている」との回答は、「分かりやすい栄養成分表示」(53%)、「特定の栄養ニーズを満たす食品」(52%)、「明るい照明」(51%)、「多目的トイレ」(38%)、「バリアフリー通路・ドア」(37%)、「電動ショッピングカート」(36%)、「オンライン宅配サービスの種類」(34%)、「車いす対応の幅広い通路」(34%)、「丁寧な接客」(33%)の各項目で他の地域を上回ります。
一方、アジア太平洋と中東・アフリカで消費者の多くが「ニーズを完全に満たしている」と感じるのは、「開封しやすいパッケージ」(両地域とも54%)、「休憩用ベンチ」(アジア太平洋:29%、中東・アフリカ:25%)、「レジ袋詰めの手伝い」(同24%、27%)、「商品を手に取りやすい陳列棚」(同30%、33%)、そして「少人数世帯向けの商品展開」(同23%、27%)となっています。
これに対し、欧州と中南米で過半数の消費者が不足していると感じているのは、「ラベルの読みやすい商品」(欧州:61%、中南米:59%)、「わかりやすい栄養成分表示」(同53%、54%)となっています。「特定の栄養ニーズを満たす食品」が見つからないと答える回答者も欧州で46%、中南米で48%にのぼります。さらに、欧州では小売店に「高齢者向け製品に特化した売り場がない」(45%)、「電動ショッピングカートが備わっていない」(59%)、「購入商品を車へ運んでもらえない」(52%)との声が多く、中南米では4割以上が、「休憩用ベンチ」(49%)、「高齢者向け製品に特化した売り場」(45%)、「身体が不自由な人のための優先レジ」(43%)が備わっていないと答えています。
ヘイルは次のように述べています。「今、小売店やメーカーは製品やサービスの差別化を図ろうと躍起になっていますが、必要なのは世界中から聞こえてくる高齢者の要請に耳を傾けること、ただそれだけです。製品ラベルや広告の文字サイズを大きくする、高齢者向け商品を見つけやすい場所にまとめて配置する、親しみを込めて接客する等の積み重ねこそが、『お得意様』の獲得に大きく貢献するのです。」
<日用品の買い物にはもっとデジタルを活用していきたい(図3 参照)>
全体の3分の1を超える回答者(37%)が、すでに日用品をオンラインで注文・宅配で受け取るサービスを利用しており、過半数(54%)は今後利用可能になれば使ってみたいと答えています。日本でも、25%が同サービスを利用、56%が今後試してみたいと答えています。
日用品の購入時にオンラインクーポンを利用している人は3人に1人(32%)で、アジア太平洋(41%)と北米(38%)での利用率は平均を超えています。今後利用可能になれば使いたいと考える人はさらに多く、中南米で75%、中東・アフリカで64%、欧州で61%、アジア太平洋と北米でそれぞれ54%です。日本でのオンラインクーポン利用率も4人に1人(26%)に上り、今後使ってみたいと答えた人も55%います。
オンライン・モバイル買い物リストを使用している人も全体の4分の1近く(23%)にのぼり、中南米では4人中3人が、その他の地域でも6割を超える回答者(中東・アフリカ:63%、アジア太平洋:62%、北米:62%、欧州:61%)が、利用可能になれば活用したいと答えています。
ヘイルは次のように述べています。「この調査結果は普段からインターネットを利用している消費者の行動傾向に基づいたものです。しかしそれは同時に、今後インターネットの普及がますます進んだ際に消費者が取る行動を映し出す先行指標と捉えることもできるはずです。インターネットが私達の日常により一層浸透し世界中の消費者を結びつけていく中で、マーケティング担当者もまた、消費者とのつながりを確保しておく必要があるでしょう。」
<「家に独りきり」ではない(図4参照)>
全体の半数近く(46%)が高齢者のニーズに応える住宅関連サービスや支援は少ないと感じています(図1参照)。全回答者の2人に1人は配偶者とともに(38%)、あるいは専門スタッフによる支援を受けながら(12%)、自宅で生活しようと考えています。老後に家族を頼りにする人が多いのは中東・アフリカ地域で、45%が配偶者と、また、世界全体平均(15%)のほぼ2倍の27%が自分の子供と暮らす予定であると答えています。
また、北米ではおよそ4分の1(23%)がサービス付き高齢者向け住宅への入居を考えており、全体の15%を上回ります。アジア太平洋では全体平均の13%を超える17%が介護施設を利用するだろうと回答しています。
日本は世界の他地域に比べると、配偶者や子供と暮らすと答えた人は少ない一方、老人ホームで暮らすと答えた人は多くなっています。
※以下、リリースの詳細は添付の関連資料を参照