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住友精密など、「Jubatus」を活用しセンサーデーター機械学習検証システムを構築
ビッグデータのリアルタイム分析基盤「Jubatus」を活用し、
センサデータ機械学習検証システムを構築
−ビニールハウスのデータ異常検知の自動化を実現−
住友精密工業株式会社(本社:兵庫県尼崎市、社長:三木伸一、以下、住友精密)は、クラウドコンピューティング専門の事業企画・開発会社である株式会社ブリスコラ(本社:東京都港区、代表取締役社長:下川部知洋、以下、ブリスコラ)とともに、ビッグデータのリアルタイム分析基盤「Jubatus」を活用したセンサデータ機械学習検証システムを構築しました。
構築にあたっては、「Jubatus」の開発元であり、検索・データ解析技術の先端的企業の株式会社Preferred Infrastructure(本社:東京都文京区、代表取締役:西川徹、以下、PFI)と緊密な連携のもと、プロジェクトを推進しました。
■1.本検証システム概要
本検証システムは、住友精密が提供するビニールハウス温度管理サービスにおいて、各センサユニットから得られたセンサデータを対象に、ビッグデータのリアルタイム分析基盤「Jubatus(※1)」によって機械学習(※2)することで、個々のビニールハウスにおける季節毎の異常値の自動検知や最適な温度管理の自動設定の実現など、データ分析を高度化させることで、サービス価値の向上や競合他社との差別化を図るための取り組みです。
このたびの本検証システムは、以下の2点を目標に構築をしました。
・異常を機械学習によりモデル化し、その結果により異常検知の自動化の精度を高めること
・他分野での検証が可能な、汎用的でかつ使いやすいデータインタフェースを構築すること
センサデータに代表されるM2M(Machine to Machine)データは、リアルタイム性が強く、大規模なデータの中から、因果関係分析や状況に応じた予測・判断などの深い解析を必要とすることから、ビッグデータのリアルタイム分析基盤「Jubatus」を採用しました。
*図1は添付の関連資料を参照
■2.本検証内容
ビニールハウス温度管理サービスは、観測した温度と設定したしきい値と比較して、異常を自動的に検知し、異常検知時に警告メールが生産者、管理者に送信される仕組みです。この従来の方法は、しきい値の設定が年間を通じ同一条件のため、季節毎に最適なしきい値を設定できない、個々のビニールハウスの環境(設備環境、稼働環境、設備の状態変化、運転条件など)に応じた異常検知が困難、設定したしきい値が適切とは言えないことなどが課題としてありました。
一方、このたびの「Jubatus」を用いた検証では、個々のビニールハウスにおける年間の観測データを対象に、季節毎の異常をコンピュータに学習させ、その学習データと類似度の高いデータから、異常を検知することが可能となります。これにより、季節毎のしきい値を自動的に設定し、個々のビニールハウスの環境に応じた最適な環境をつくることが可能となります。
このたび、ビニールハウス温度管理サービスにおいて、データの集合体から外れ値を自動検知する「Anomaly(※3)」(Jubatusの外れ値検知機能)により行った検証の結果、ビニールハウス温度管理サービスの大量データの中から、異常値とみなされるデータを「Jubatus」が自動的に検知し、その学習成果に基づき、「Jubatus」が新たな観測データから異常を検知しました。さらに、月毎に異なる異常値の検知にも成功しています。
■3.今後の展望
このたびの検証結果を踏まえ、検証対象、分析アルゴリズムを増やし、異常検知の精度向上を高めていく予定です。今後のステップとしては、以下を予定しています。
・ビニールハウスの温度設定は、作物の生育ステージに沿って行われます。このステージに沿った正しい温度カーブを機械学習することにより、より厳密な異常検知を行えるようにします。
・ビニールハウスでは、加温のための燃料費などの高騰が問題となっています。外気温なども解析の対象に加えて、最適(省エネ)な加温方法を発見できるようにします。
・回帰分析アルゴリズム(Jubatusでは、Regressionというアルゴリズムを提供)を用いることにより、結果としての異常値「検知」ではなく、近い将来の異常値「予測」を試みます。
*図2など以下、リリースの詳細は添付の関連資料を参照
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