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帝国データバンク、2000年〜2013年の医療機関・老人福祉事業者の倒産動向調査結果を発表

2014-02-14

特別企画:医療機関・老人福祉事業者の倒産動向調査

2013年の老人福祉事業者の倒産、2000年以降で最多
〜医療機関の倒産は36件〜


<はじめに>
 企業再生支援機構や中小企業金融円滑化法によって、一定の倒産抑制効果が現れていた医療機関、老人福祉業界だが、2012年以降増加に転じる動きが高まりつつある。特に医療機関の倒産については、地域経済活性化支援機構の支援がどのように進められるかが注目されるところだ。
 帝国データバンクは、2000年〜2013年(14年間)における「医療機関(※1)」「老人福祉事業者(※2)」の倒産動向(法的整理を対象)について、調査・分析した。

 ※1:病院、診療所、歯科医院が対象。「病院」=病床数20以上、「診療所」=病床数20未満で区別
 ※2:養護老人ホーム特別養護老人ホーム軽費老人ホーム(ケアハウスを含む)、老人福祉センター老人デイサービスセンター老人短期入所施設の運営および、移動入浴サービス、在宅介護サービス(医療は行わず日常生活の介護)を行っている事業者を対象


<調査結果>
 [1]2013年の医療機関の倒産は36件(内訳:病院8件、診療所15件、歯科医院13件)、老人福祉事業者の倒産は46件となり、病院倒産が増加(2012年:3件→2013年:8件)に転じたほか、老人福祉事業者の倒産が2000年以降で最多となった
 [2]2000年以降の動向をみると、倒産態様別では、診療所、歯科医院、老人福祉事業者の8割超が「破産」となった一方、病院は過半数が民事再生法となった。また、業歴別では老人福祉事業者の73.3%が「10年未満」となった

  *グラフ資料は添付の関連資料「参考資料1」を参照


1.倒産件数 老人福祉事業者の倒産、2000年以降で最多
 2013年の医療機関の倒産は36件(病院8件、診療所15件、歯科医院13件)と比較的落ち着きをみせたものの、老人福祉事業者の倒産は前年比58.6%増となる46件となり、2000年以降で最多を記録した。2000年4月の介護保険法施行をきっかけに、介護関連事業に参入して活路を開こうとする企業が相次ぎ、同業者間の競争が激化。そうしたなか、2006年4月に改正介護保険法が施行され、介護報酬の引き下げ、施設サービスにおける居住費用・食費が介護保険給付対象から除外されるなど、経営環境が悪化する業者が増加。2007年以降の倒産急増の要因になったとみられるが、近年さらに競争激化による経営悪化、低賃金に伴う人手不足や労働環境悪化など雇用問題の深刻化が進んでいるとみられる。

 【病院の倒産】2013年は8件となり、3年ぶりに前年比で増加に転じた。医師不足、患者の選択意識の高まり(大病院への集中)、2006年度の診療報酬の改定(引き下げ)などの影響から2007年に過去最多となる18件を記録。しかし、2009年10月に政府や金融機関の出資で設立された「企業再生支援機構」の相次ぐ病院経営者の支援決定や、2009年12月に施行された「中小企業金融円滑化法」(医業を主たる事業とする医療法人などの場合は従業員300人以下が対象)もあり、2011年以降の件数は大幅に減少していた。
        「中小企業金融円滑化法」は2013年3月で終了したが、「企業再生支援機構」は「地域経済活性化支援機構」に改組されたことで、引き続き地域病院を中心とした医療支援が継続的に行われる可能性は高く、大幅な倒産増に転じる可能性は低いとみられる。

 【診療所の倒産】2013年は15件となり、前年を4件下回った。施設数の増加<2012年までの10年間で5333施設増加(表参照)>に伴う競争激化から2009年(27件)にピークを迎え、その後は落ち着きを見せている。これまで病院経営の支援を主体としてきた「企業再生支援機構」が「地域経済活性化支援機構」に改組したことで診療所(医療法人)の支援にも注力する動きが高まれば、病院同様、大幅な倒産増に転じる可能性は低いとみられる。

 【歯科医院の倒産】2013年は13件となり、2009年、2012年(各15件)に次ぐ件数となった。こちらも、施設数の増加<2012年までの10年間で3401施設増加(表参照)>に伴う競争激化の影響が引き続き大きいとみられる。駅近で夜間も診療する歯科医院が増加しており、人通りの少ない立地や院長の高齢化、設備投資の停滞などの問題を抱える医院を中心に、今後も同様の水準での推移が予想される。

  *表資料は添付の関連資料「参考資料2」を参照


2.倒産態様 診療所、歯科医院、老人福祉事業者の8割超が「破産」
 倒産態様別では、2000年以降の累計で診療所(184件、構成比84.8%)、歯科医院(125件、同84.5%)、老人福祉事業者(183件、同87.1%)において「破産」が8割を超えた。同じ3業態を2013年だけでみると、診療所(14件、構成比93.3%)、歯科医院(13件、同100%)、老人福祉事業者(42件、同91.3%)とすべてで9割を超えた。

 *表資料は添付の関連資料「参考資料3」を参照


3.負債額 歯科医院の9割超が「5億円未満」
 負債規模別では、病院は「10億円〜30億円未満」(44件、構成比40.7%)、診療所は「1億円〜5億円未満」(94件、同43.3%)、歯科医院は「1億円未満」(87件、同58.8%)、老人福祉事業者は「1億円未満」(151件、構成比71.9%)が最多となり、歯科医院の95.3%(141件)、老人福祉事業者の90.5%(190件)が負債5億円未満となった。
 また、負債総額を年別にみると、病院は2007年(369億4000万円)、診療所と歯科医院は2010年(それぞれ129億5400万円、31億4200万円)、老人福祉事業者は2008年(78億9300万円)が最多となっている。

 *表資料は添付の関連資料「参考資料4」を参照


4.業歴 老人福祉事業者の73.3%が設立後10年未満で倒産
 業歴別(設立から倒産までの期間)にみると、病院は「30年以上」(構成比38.0%)、診療所は「5〜10年未満」(同19.8%)、歯科医院は「10〜15年未満」(同25.0%)がそれぞれ最多となり、病院の業歴の長さが顕著となった。老人福祉事業者は「5〜10年未満」(構成比40.0%)が最多。73.3%(154件)が業歴10年未満での倒産となり、淘汰・生き残り競争の激しさがうかがわれる。

 *表資料は添付の関連資料「参考資料5」を参照


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