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MM総研、Web統合電話帳アプリケーション市場の概況を発表

2014-02-11

Web統合電話帳アプリケーション市場の概況


 ■2013年12月末の市場規模は、前年末から倍増となる29.5万ライセンスに拡大
 ■ベンダーシェアはPhoneAppliがクライアントライセンス数シェアで71%を獲得
 ■コミュニケーションツールの統合・連携による業務効率化などが市場拡大を後押し


 クラウド環境の進展やスマートデバイスの普及など、企業を取り巻くICT環境は大きな変化の時代を迎えている。ビジネスシーンでも、固定電話、IP電話、スマートフォン、メール、チャット、グループウェア、Web会議など、様々なコミュニケーションツールが登場し、企業のビジネス活動を支えている。その一方で、ビジネス現場でいかにこれらを上手く活用し、生産性向上や業務効率化、ワークスタイルの変革を図っていくかが企業にとっての大きな課題となっている。こうした環境の中で、各種コミュニケーションツールの統合・連携を実現する「Web統合電話帳アプリケーション」(※)に注目が集まっている。
 MM総研(東京都・港区、所長・中島洋)では2月5日、主要なソリューション事業者へのヒアリング調査等をもとに、Web統合電話帳アプリケーションの市場規模及び事業者シェアをまとめた。調査結果によると、2013年12月末時点のWeb統合電話帳アプリケーションクライアントライセンス数は12年12月末時点の14万から倍増となる29.5万に拡大。導入社数も前年末の110社から350社に拡大しており、2014年末にはクライアントライセンス数ベースで45万を超えるものと見られる。大企業を中心に、コミュニケーションの効率化による生産性の向上や業務効率化、さらにはクラウドとスマートデバイスを活用したワークスタイル導入への動きが市場拡大を後押ししている。


◆Web統合電話帳アプリケーションの市場シェア(※2013年12月末時点)

 *グラフ資料は添付の関連資料を参照


◆市場拡大の背景
 Web統合電話帳アプリケーション市場の拡大要因としては、大手企業を中心に、旧来型の電話交換機や電話機からIP電話へのリプレースに合わせ、コミュニケーションインフラの再構築を図る動きが活発化しつつあることが大きい。特に、コミュニケーションの効率化による生産性の向上や業務効率の改善が喫緊の課題となっている。その背景には、大企業を中心にスマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスの浸透が進んでいること、さらに、国内外での拠点拡大や事業所の移転、事業環境の変化に対応した事業再編や組織再編の動きが継続的に続くビジネス環境の中で、自社内部にとどまらず、グループ企業間や海外拠点とのコミュニケーションの迅速化や効率化を図ることが重要となっているためである。
 Web統合電話帳アプリケーションを導入すれば、人事異動や組織再編の際も、Web上で管理された電話帳から目的の連絡先をすぐに見つけることができる。特定の連絡先の検索にとどまらず、組織名、役職などを基に、キーワード検索によって社内の専門家を簡単に探し出せる点も大きな魅力だ。グループやプロジェクト単位の共有電話帳の作成も可能だ。企業で広く採用されているMicrosoft社のActive Directory(以下、AD)と連携することで、ADのデータ(アドレス情報や部門情報など)をWeb電話帳に簡単に取り込むことができ、組織変更に伴う電話帳データの登録やメンテナンス作業の効率化など、運用負担を大幅に軽減できる。
 実際に連絡する際の操作も簡単で、電話帳画面の番号やアドレスをワンクリックするだけで電話発信やメーラーを立ち上げ、メールを送ることができる。プレゼンス機能との連携により、相手の在席情報や話中状況などに応じて、電話、メール、伝言メモなど最適な連絡手段を選択できる。
 電話帳や発着信履歴などはクラウド上で管理することにより、PC、スマートフォン、タブレットなどの様々なスマートデバイスでいつでもどこでも利用できる。個人情報をデバイス側に残さないため、社内外を問わずセキュアなコミュニケーションが可能だ。また、個人所有のスマートフォンからビジネス通話をする場合、コールバック機能を使うことで、会社の電話番号を発信者番号として通知し、通話することもでき、ビジネス通話分の通話料金を会社負担する公私分計も可能となる。


◆PhoneAppliが市場シェア(クライアントライセンス数)71%で市場をけん引
 拡大するWeb統合電話帳アプリケーション市場をけん引しているのが(株)PhoneAppli(以下、フォンアプリ社)である。13年12月末時点のクライアントライセンス数は21万、市場シェアで71.2%を獲得している。導入社数は大手企業を中心に265社にまで拡大。ITサービス系企業から製造、商社、金融、流通など顧客層は幅広い。同社が提供するWeb電話帳アプリケーション、フォンアプリ「Collaboration Directory」(以下、PACD)は、米シスコシステムズ社(以下、シスコ社)のユニファイド(統合)コミュニケーション基盤「Cisco Unified Communications Manager」と連携し、様々なデバイスから、いつでもどこでも電話帳画面でプレゼンスを確認でき、ワンクリックでの電話発信や、メール、チャット、Web会議、ビデオ会議等によるコミュニケーションを可能としている。直感的で使いやすいユーザーインターフェースや、社員の専門性や組織情報を集積、管理し、必要な時に最適な社員を簡単に検索できる検索機能などが充実している。
 同社の強みは、シスコ社からも認められた技術力の高さにあり、特にシスコ社製品との接続技術の高さと、その連携実績にある。同社は2012年1月に、シスコ社のパートナープログラム「Cisco Developer Network」の中でも、最上位のパートナー資格となるPreferred Solution Developer(プリファードソリューションデベロッパー)に、日本で初めて認定された。また、同社はシスコ社のコミュニケーション製品を取り扱う大手ソリューションベンダーなどが一次代理店やOEMの販売パートナーとなっており、その強力な販売チャネルも同社の実績拡大につながっている。フォンアプリ社が連携を深めているシスコ社では、中堅・中小企業向けのユニファイドコミュニケーションの拡販に本格的に動き始めており、フォンアプリ社のPACDも、中堅・中小市場への浸透が進むであろう。
 2位の日本証券テクノロジー(株)は13年12月末時点で、クライアントライセンス数5.5万、導入企業50社で大手証券会社や自動車販売会社などで幅広く採用されている。ユーザー別に3種類のWeb統合電話帳アプリケーションを提供している。その中で、米シスコ社製品に対応した「NSTechno−phone Manager」が主力製品となっており、NEC製品に対応した「NSTechno−phone Navi」と日立製作所製品向けの「NSTechno−phone Harmony」は発売開始から間もないこともあり、実績としてはこれからの状況にあるという。
 同社が特に強みとしている機能として「在席管理・話中確認機能(プレゼンス機能)」と「着信監視・表示機能」が挙げられる。プレゼンス機能では、在席/離席ボタンの操作と電話機の状態を監視することで、相手先の在席状態や話中状況を電話帳検索結果に表示。着信監視・表示機能では電話着信時に監視中の番号に、誰から着信があったかを通知するメッセージをポップアップで表示する。また、役員の予定を管理する機能などアナログ回線の固定電話では対応できない要素もカバーしている。今後は中堅企業向けにも付加価値をつけていくことで市場の開拓を図っていく方針である。
 3位の富士通(株)は、クライアントライセンス数が2万、導入企業社数は15社となっている。導入ユーザーは数千ライセンス規模が多いという。富士通のWeb電話帳ソフト「FUJITSU Network ContactFind」は、パソコンや携帯電話に加え、スマートフォン、タブレットなど、様々なデバイスから簡単に利用できるWebベースの電話帳アプリケーション。シスコ社の「Cisco Unified Communications Manager」と連携し、電話、プレゼンス、インスタントメッセージ、Web会議など多彩なコミュニケーションツールとの連携が可能だ。富士通ではWeb電話帳のような、相手先の番号を探す機能だけでなく、コミュニケーションの窓口となる機能を備えた製品/サービスの需要は今後も伸びると見ている。


◆2014年末には45万ライセンスを突破、2017年末で100万ライセンスに拡大へ
 MM総研の分析では、2014年末にWeb統合電話帳アプリケーション市場は、クライアントライセンス数ベースで45万を超え、2017年末時点で100万ライセンスに達するものと予測している。同アプリの導入企業は大企業が中心であり、利用満足度も高いことから、自社にとどまらず、グループ会社や子会社までを含めた拡張を予定している企業も多い。また、Web統合電話帳アプリケーションの導入には、IP−PBXなどのユニファイドコミュニケーションシステムの導入が必要となるが、中堅・中小企業向けの製品群やクラウドによる提供などにより導入の敷居も低くなりつつある。これまでの大企業だけでなく、中堅・中小企業にも市場の裾野が拡大する可能性は十分にある。
 新規導入や追加導入だけでなく、導入企業からは自社に合わせて、さらに使い勝手を良くするための追加機能を求める要望などが多数寄せられている。ソリューションベンダーにとっても売切り型にとどまらない、SIビジネスによる収益拡大の機会も広がっていくだろう。


 ※Web統合電話帳アプリケーションの定義
  ・IP−PBX/SIPサーバー等と連携し、電話番号、メールアドレスなどの電話帳を、固定電話やモバイル端末(PC、スマートフォン、タブレット端末など)などから、社内・社外を問わず、利用できるようにするWebベースの電話帳アプリケーションであること。
  ・電話帳の画面上で、電話、メール、プレゼンス確認、インスタントメッセージ、Web会議などのコミュニケーションツールと連携できる機能を持っていること
  ・Web上での電話帳データの共有管理・一括管理に機能が限定されたソフトウェアは含まない。
  ・PBX等の一機能として提供されているものは除く


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