イマコト

最新の記事から注目のキーワードをピックアップ!

Article Detail

清水建設、耐震性と施工性を備えた「SDクリップレス天井」を開発・実用化

2014-01-27

吊り天井の構造形式を一新
耐震性・施工性に優れた吊り天井を実現〜


 清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、半世紀前に米国から日本に導入され国内標準的な扱いになっていた吊り天井の構造形式を抜本的に見直し、優れた耐震性と施工性を備えた「SDクリップレス天井」を開発・実用化しました。技術研究所で実施した実証実験において、天井面で1Gレベルになる地震動に対しては天井が損傷しないこと、2Gを超える地震動(東日本大震災で最大1,200galを記録した栃木県芳賀観測波)に対しても一部に損傷が生じるだけで崩落しないことを確認・検証することができました。

 標準的な吊り天井の構造は、下側から順に天井ボード、天井ボードをビス留めするバー状の下地材・野縁(のぶち)、野縁と直交し野縁をクリップ留めする野縁受、野縁受を上階の躯体から吊り下げる吊りボルトから構成されています。天井崩落の主要因は地震による天井の揺れで野縁と野縁受を連結するクリップが破損することですが、これまでは現行の天井材料メーカーの生産ラインを鑑み、あくまでクリップを用いる標準的な構造を前提に耐震化が図られてきました。

 一方、構造形式を変更すると、様々な耐震化策が可能になることから、当社は2012年3月に構造形式の根本的な見直しと諸外国の吊り天井の構造形式の調査に着手。その結果、米国西海岸やニュージーランド等で主流になっている野縁・野縁受が一体になった下地材と当社が開発した耐震ブレースをハイブリッド化することで、耐震性と施工性が優れた吊り天井の開発が可能になるという結論に達しました。

 新開発のSDクリップレス天井では、野縁と野縁受が一体になったTバーと呼ばれる格子状下地材の採用によりクリップを排除するとともに、自社開発の耐震ブレースにより天井の揺れを抑制する構造としています。もちろん、その他の構成部材についても細部に至るまで耐震化を図っています。

 Tバーは、長尺のメインバー(3,420mm)と短尺のクロスバー(910mm)の2種類の資材を組み合わせて構築する格子状の下地材で、一つの格子の大きさは910mm×455mmです。吊元の上階の躯体からメインバーを吊り下げ、その両脇からクロスバーを差し込むと、特殊加工を施しているクロスバーの端部同士ががっちり噛み合い、脱着できなくなる仕組みになっています。一方の耐震ブレースは、当社が東日本大震災後に開発・実用化した新耐震吊り天井用の部材です。30m2ごとに一対配置するレの字ブレースと、20m2ごとに一体配置するV字ブレースを併用してTバーと上階の躯体を連結し、天井の揺れを抑制します。こうした構造により高い耐震性を実現します。

 SDクリップレス天井の部品点数は従来の耐震天井の約半数と少ないことから、施工性が20〜50%向上し、天井工期を10〜20%短縮できます。また、施工費を構成する材料費と労務費の比率が「40:60」から「65:35」となることから、労務費の高騰による影響が少なくなります。個々の部品単価は従来製品より割高になりますが、部品数の減と施工性の向上により吸収できるため、従来の耐震天井と同等の施工費を維持できます。

 施工に当たっては、大建工業(株)がTバー材を、(株)能重製作所がその他の部品を調達・供給します。当社は今後、設計施工物件を対象にSDクリップレス天井の展開を図ります。


以上


≪参考≫

 ※添付の関連資料を参照


Related Contents

関連書籍

  • 死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    詩歩2013-07-31

    Amazon Kindle版
  • 星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    前田 徳彦2014-09-02

    Amazon Kindle版
  • ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    大久保 明2014-08-12

    Amazon Kindle版
  • BLUE MOMENT

    BLUE MOMENT

    吉村 和敏2007-12-13

    Amazon Kindle版