日本ベーリンガーインゲルハイム、抗がん剤「ジオトリフ錠」の製造販売承認を取得

EGFR遺伝子変異陽性を有する非小細胞肺がん患者に対して
承認された世界初の不可逆的ErbBファミリー阻害剤ジオトリフ(R)
日本でも承認

−ベーリンガーインゲルハイムの腫瘍領域パイプラインから初めて承認された抗がん剤


２０１４年１月１７日　日本／東京
　日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社（本社：東京都品川区、代表取締役社長：青野吉晃、以下「日本ベーリンガーインゲルハイム」）は、経口の抗悪性腫瘍剤／チロシンキナーゼ阻害剤「ジオトリフ(R)錠」（一般名：アファチニブマレイン酸塩）が、本日１月１７日付で、日本において「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」の適応での製造販売承認を取得したことを発表しました。

　ジオトリフ(R)は承認された世界初の不可逆的ErbBファミリー阻害剤で、上皮成長因子受容体（EGFR）のチロシンキナーゼに共有結合し、不可逆的な阻害作用を示します。さらに、EGFR（ErbB１）と同様にErbBファミリーに属するヒト上皮成長因子受容体２（HER２（ErbB２））ならびにヒト上皮成長因子受容体４（ErbB４（HER４））のチロシンキナーゼに対しても、それらのリン酸化を持続的かつ選択的に阻害することが確認されています。

　米国、台湾、メキシコ、欧州などに続くジオトリフ(R)の日本での承認は、国際共同第３相臨床試験（LUX−Lung　３試験）を含む国内外の臨床試験データに基づいています。

　国際共同第３相臨床試験（LUX−Lung　３試験）のデータでは、一次治療として標準的化学療法（ペメトレキセド＋シスプラチン）を受けた患者群で腫瘍が増悪するまでの期間（PFS）が６．９カ月（中央値）であったのに対し、ジオトリフ(R)の投与を受けた患者群のPFSは１１．１カ月（中央値）でした１。さらに、ジオトリフ(R)による一次治療は、肺がん関連症状である呼吸困難および咳嗽のコントロールが良好であると同時に全般的な健康状態を改善することも示されています（１，２）。

　また事前に規定されたLUX−Lung　３試験のサブグループ解析結果により、一次治療として標準的化学療法（ペメトレキセド＋シスプラチン）を受けた日本人患者のPFSは６．９カ月（中央値）であったのに対し、ジオトリフ(R)の投与を受けた日本人患者のPFSは１３．８カ月（中央値）でした（３）。

　肺がんは世界でもっとも死亡者数の多いがんで、日本においても年間約１０万人が新たに肺がんと診断され、年間約７万人が肺がんで死亡しています（４）。そのうち非小細胞肺がんは、肺がん症例の約９０％を占めており５、ジオトリフ(R)は、これまで手術不能とされた非小細胞肺がんや再発非小細胞肺がんの治療に、新たな選択肢をもたらします。

　ジオトリフ(R)はベーリンガーインゲルハイムの腫瘍領域パイプラインから初めて承認された抗がん剤で、米国では２０１３年７月、欧州では２０１３年９月にそれぞれ承認されています。


＜ジオトリフ(R)の安全性について＞
　化学療法未治療のEGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第３相臨床試験において、安全性評価対象２２９例（日本人５４例を含む）中２２８例（９９．６％）に副作用が認められ、主な副作用は、下痢２１８例（９５．２％）、発疹１４１例（６１．６％）、爪囲炎１３０例（５６．８％）等でした。（承認時）

　重大な副作用として、間質性肺疾患（３．１％）、重度の下痢（２７．３％）、重度の皮膚障害（２２．７％）、肝不全（頻度不明）、肝機能障害（６．３％）、心障害（０．８％）、皮膚粘膜眼症候群（Stevens−Johnson症候群）（頻度不明）、消化管潰瘍、消化管出血（頻度不明）が報告されています。（承認時）


＜承認の概要＞
　【製品名】ジオトリフ(R)錠２０mg　ジオトリフ(R)錠３０mg　ジオトリフ(R)錠４０mg
　　　　　　ジオトリフ(R)錠５０mg
　【一般名】アファチニブマレイン酸塩
　【効能・効果】EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌
　【用法・用量】通常、成人にはアファチニブとして１日１回４０mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、１日１回５０mgまで増量できる。


　※参考資料・参考画像は添付の関連資料を参照