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帝国データバンク、2013年12月の全国企業倒産集計を発表

2014-01-17

全国企業倒産集計


<2013年 12月報>
 ・倒産件数は726件、2013年最少を記録
 ・負債総額は1757億9500万円、3ヵ月連続の前年同月比減少

 倒産件数    726件
 前年同月比 ▲11.9%
 前年同月    824件
 前月比   ▲11.5%
 前月      820件


 負債総額  1757億9500万円
 前年同月比 ▲12.1%
 前年同月  1999億2500万円
 前月比   +31.7%
 前月    1335億1700万円


〔件数・負債総額の推移〕

 ※添付の関連資料を参照


■件数
 ・ポイント 2006年9月以来の低水準、2013年最少を記録
  倒産件数は726件(前月820件、前年同月824件)と、前月比は11.5%、前年同月比は11.9%の大幅減少となった。2006年9月(667件)以来の低水準で、2013年最少を記録。

 ・要因・背景
  1. 7業種中6業種で前年同月を下回り、運輸・通信業(31件、前年同月比27.9%減)、建設業(147件、同22.6%減)の2業種は前年同月比20%超の大幅減少

  2. 9地域中東北を除く8地域で前年同月を下回り、うち北海道など6地域が2ケタの減少

■負債総額
 ・ポイント 3ヵ月連続の前年同月比減少
  負債総額は1757億9500万円(前月1335億1700万円、前年同月1999億2500万円)で、前月比は31.7%の増加となったものの、前年同月比は12.1%の減少となり、3ヵ月連続で前年同月を下回った。

 ・要因・背景
  1. 負債トップは、(株)福吉組(兵庫県、土木工事業、破産)の236億4400万円
  2. 負債100億円以上の倒産は2件にとどまり、大型倒産は抑制された状態が続く

■業種別
 ・ポイント 7業種中6業種で前年同月比減少
  業種別に見ると、7業種中6業種で前年同月を下回った。なかでも、運輸・通信業(31件、前年同月比27.9%減)、建設業(147件、同22.6%減)の2業種は前年同月比20%超の大幅減少となったほか、小売業(134件、同13.0%減)も2ケタの大幅減少となった。一方、サービス業(133件、同1.5%増)は唯一前年同月を上回った。

 ・要因・背景
  1. 建設業…復興関連需要や公共工事の増加に加え、住宅建築の増加により土木工事(24件、前年同月36件)や建築工事(27件、同38件)で減少が目立つ
  2. 小売業…駆け込み需要が徐々に低価格帯にもおよび、家電などで減少が見られる

■主因別
 ・ポイント 「不況型倒産」の構成比82.8%、6ヵ月連続の80%台
  主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は601件(前月695件、前年同月695件)となった。構成比は82.8%(前月84.8%、前年同月84.3%)で、前月を2.0ポイント、前年同月も1.5ポイント下回ったものの、6ヵ月連続の80%台となった。

 ・要因・背景
  1. 「金融円滑化法利用後倒産」は30件判明し、前年同月比21.1%の減少
  2. 「不況型倒産」の件数、建設業(128件、前年同月比24.3%減)で大幅減少

  倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計

■規模別
 ・ポイント 負債5000万円未満の構成比54.1%
  負債額別に見ると、負債5000万円未満の倒産は393件で、前年同月比9.0%の減少となったものの、構成比は54.1%と高水準が続いた。一方、負債100億円以上の倒産が3ヵ月ぶりに発生(2件)した。資本金別に見ると、個人経営と資本金1000万円未満の合計は439件、構成比は60.5%を占めた。

 ・要因・背景
  1. 金融機関の支援が行き届かない零細企業などを中心に小規模倒産が高水準で推移
  2. 負債5000万円未満では、小売業(104件)が24.1%を占め全業種中トップ

■地域別
 ・ポイント 9地域中8地域で前年同月比減少
  地域別に見ると、9地域中8地域で前年同月を下回った。なかでも、北海道(15件、前年同月比44.4%減)、四国(9件、同43.8%減)、中国(24件、同35.1%減)、近畿(179件、同19.7%減)などの6地域は2ケタ減となった。一方、東北(34件、同30.8%増)は、唯一前年同月を上回った。

 ・要因・背景
  1. 近畿は、京都府と兵庫県で小売業が、大阪府で製造業が前年同月比30%以上の大幅減少
  2. 東北は、復興需要で大きく減少していた前年同月からの反動で、宮城県で増加が目立つ

景気動向指数(景気DI)
 ・景気DIは49.5、過去最高を2ヵ月連続で更新
  2013年12月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は、前月比1.2ポイント増の49.5となり、6ヵ月連続で改善、前月に続き過去最高を更新した。
  自動車や家電製品への消費税増税前の駆け込み需要への影響を受け、住宅以外の耐久消費財の販売も好調に推移した。また、冬期賞与の増加で高額商品の販売が伸びており、繊維製品など高品質志向が戻りつつあることから、改めて日本製に対する意識が高まってきた。建設や鉄鋼関連、耐久財小売などを含め51業種中11業種で過去最高となった。そのようななか、規模別でも規模間格差が4ヵ月連続で縮小するなど中小企業の改善は大きく、アベノミクス効果が規模の小さい企業にまで波及してきた。

 ・国内景気は全面的上昇の勢いを増している
  地域別では、小売やサービスなどが高い『南関東』や『近畿』において、建設や不動産など公共工事関連が低く全体を下回る状況となったものの、10地域中9地域で前月を上回り、うち6地域が過去最高を更新した。特に、『北海道』『北陸』『九州』など地方圏での改善が目立った。北陸新幹線や道路など公共工事が大幅に増加している「石川」が2ヵ月連続で全国第1位となったほか、『九州』から「沖縄」(第2位)、「大分」(第5位)、「熊本」(第6位)の3県が全国の上位に入った。アベノミクス効果は地方圏の実態経済に着実な広がりをみせており、国内景気は全面的上昇の勢いを増している。


<今後の見通し>

■倒産件数は4年連続で前年比減少、リーマン・ショック前の水準に
 2013年の企業倒産は1万332件。2012年(1万1129件)を7.2%下回り、2010年以降4年連続の前年比減少を記録した。倒産件数が1万1000件を下回ったのは、リーマン・ショック前の2007年(1万959件)以来、6年ぶり。一方、負債総額は2兆7575億4300万円で、前年比26.9%の大幅減少となり、2000年以降で最小となった。負債1000億円以上の倒産が、カブトデコム(元建築工事・不動産業、負債5061億円、4月)、アイティーエム証券(証券業、同1416億円、6月)の2件にとどまったことで、負債総額は抑えられた。

■入口戦略「資金繰り支援」は成功、経営課題解決できるか
 2013年3月末、中小企業金融円滑化法がその適用期限をむかえた。金融庁によると、同法が施行された2009年12月から適用期限までに行われた貸付条件の変更等は、407万5064件(実行率93.3%)。資金繰りに苦しむ多くの中小零細企業の破綻を回避させ、倒産件数減少の一因となった。2009年には、月間1000件を超える水準で推移していた企業倒産件数だが、法施行後、一進一退を繰り返しながら減少し、2012年後半からは900件を挟んだ推移となっている。期限到来後も「金融機関は引き続き円滑な資金供給や貸付条件の変更等に努めるべき」という金融庁の方針通り、貸付条件変更等は実行されており、倒産は抑制された状態が続いていると言えよう。
 一方で、同法に基づく貸付条件の変更等を受けていたことが判明した企業倒産「金融円滑化法利用後倒産」は、2013年に562件(前年比40.9%増)判明している。これは、返済猶予を受けていても経営課題を先送りしてきた企業、もしくは経営改善計画が想定通りに進まずむしろ経営状態が悪化した企業が増加していることを示している。無策の返済条件緩和の継続は単なる延命に過ぎず、個々の企業が経営課題を解決していかなければ、倒産増加懸念は払拭できない。

■不安要素が多いなか、抜本的な経営改善が求められる企業に注目
 こうしたなか、今年4月、消費税率が5%から8%に引き上げられる。1997年4月に消費税率が5%へ引き上げられた際には、金融システム不安定期と重なったこともあり、消費マインドの低迷や駆け込み需要の反動減の影響から、小売業が大きな影響を受け倒産が増加した。消費増税が倒産に及ぼす影響は経済状況によって変化するため、一概には比較できないが、“アベノミクス”の高揚感が漂うなかでも2013年の倒産件数が前年比増加している「家具・じゅう器・家庭用機械器具小売業」(124件、前年比11.7%増)や、食品小売業を含む「食品関連業者」(881件、同4.5%増)などは要注意である。また、2012年末から続く円安基調と、それに伴う原材料の輸入価格高騰の影響を受けている業種も多い。例えば、2013年に原料価格上昇などを背景として2度も主要製紙メーカーが値上げを行った「パルプ・紙・紙加工品製造業」の倒産件数は前年比24.0%の増加。また、燃料費高騰に苦しんでいる「道路貨物運送業」の倒産は292件発生し、前年(279件)と比べ4.7%の増加となっている。この原材料価格の高騰が未だ収束に向かう気配はなく、消費税率引き上げと相まって企業倒産増加要素となり得るであろう。
 このように、大手企業を中心として業績回復が目立つなかでも、不安要素は山積している。2014年は、まず、いまだ経営課題を解決できていない中小零細企業が、抜本的に経営を改善できるか否かに注目したい。加えて、消費税率引き上げ、円安、原材料高といった外部要因への対応も大きなポイントとなる。また、今年は、中小零細企業の資金繰りを支えている金融機関の再編の動きが本格化する可能性があり、そうなれば貸出先精査に伴い淘汰される企業が出てくると想定される。2013年の企業倒産は、1万332件とリーマン・ショック前の水準であったが、不安要素が払拭されなければ、2014年の企業倒産は、再び増加基調をたどる可能性が高い。


 詳細は資料をご覧ください。

  ※資料は、添付の関連資料「オリジナルリリース」を参照

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