Article Detail
三菱マテリアル、ヒートシンク一体型アルミ回路付き絶縁基板に関する新規接合技術を開発
DBA基板における新規接合技術を開発
三菱マテリアル株式会社(本社:東京都千代田区、取締役社長:矢尾宏、資本金:1,194億円、以下「三菱マテリアル」)は、このたび、高出力モーター電源制御用インバーター(直流/交流変換装置)等に用いられるヒートシンク一体型アルミ回路付き絶縁基板(DBA:Direct BrazedAluminum)に関する新接合プロセスの開発に成功しました。
三菱マテリアルでは、三田工場静岡DBAセンターにおいてDBA基板を製造販売しています。DBA基板は、世界で初めて実用化されたハイブリッド車用インバーターモジュールに採用された、極めて信頼性の高い絶縁基板です。この基板は、純アルミ(Al)とセラミックス(AlN:窒化アルミ)の接合に当社のコア技術が用いられており、温度変化が非常に大きい過酷な環境下においても接合特性が変化せずに信頼性が極めて高いことが特長です。
今回、三菱マテリアル中央研究所では、同センターと共同で、これまで高温での接合が必要であったろう材(Al−Si箔)を用いない新しい接合技術を開発し、純アルミとセラミックスの低温での接合を実現しました。
これにより、従来のヒートシンク一体型アルミ回路付き絶縁基板の製造で行っていた、純アルミとセラミックス、およびDBAとアルミ合金製ヒートシンク材の2回の接合を同時に行うことが可能となり、従来同様の温度変化が非常に大きい過酷な環境下でも、高い冷却性能を有する高信頼性パワーモジュールを低コストで生産できる見通しを得ることができるようになりました。
この技術成果は、2010年3月にドイツで開催されたパワーエレクトロニクスに関する国際会議(CIPS2010)でも発表し、海外のパワーモジュールメーカーからも大変注目されています。今後は、ハイブリッド車だけでなく電気自動車や風力発電用インバーター等への展開が期待され、5年後には、現在のDBA基板事業と合わせて年間50億円規模の売上げを目指しています。