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東レ、高感度DNAチップ「3D−Gene」を英国ケンブリッジ大学で採用

2014-01-06

英国ケンブリッジ大学で東レの高感度DNAチップ3D−Gene(R)が採用
〜バイオマーカー探索ツールでの海外事業展開を加速〜


 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣(*)、以下「東レ」)は、この度、東レが保有する高感度DNAチップ3D−Gene(R)(※1)とこれを用いて血液からマイクロRNA(※2)を解析するための試薬、機器を欧州で販売開始しました。これらの製品は、疾患の検査・診断に役立つバイオマーカー(※3)探索に威力を発揮します。まず、英国ケンブリッジ大学の実験支援施設(=Cambridge Genomic Services(※4))でこの解析システムが採用され、3D−Gene(R)を用いた技術での受託解析が開始されています。Cambridge Genomic Servicesは英国ケンブリッジ大学内での遺伝子解析における中心的な施設であり、各種遺伝子解析技術との性能比較の結果、東レの解析システムが同施設に採用されるに至りました。ケンブリッジ大学で採用されたことにより、主にバイオマーカーの探索用途で、英国内をはじめ欧州全域への普及が加速しつつあります。
 今後、同様に拠点設置が進みつつある海外での普及とこれに基づく検査・診断事業を拡大し、2020年には国内外での検査・診断事業で数百億円規模の売り上げを目指してまいります。

 *社長名の正式表記は添付の関連資料を参照

 東レは、これまで、高感度DNAチップ3D−Gene(R)と、FFPE(ホルマリン固定パラフィン包埋)検体や血液検体中に極微量存在するマイクロRNAを効率的に抽出できる技術を開発し、検体中に存在するバイオマーカーの革新的な探索方法を開発してまいりました。国内においては、既にこれら技術に関わる試薬、ツール、機器を販売するとともに受託解析事業を展開しています。受託解析事業はこれらバイオマーカーの探索方法が開発された2010年から急激に事業が拡大しています。

 東レでは、このようなバイオマーカーの探索方法を欧州市場に展開するため、英国ケンブリッジ大学と共同で、本探索技術が他の技術に比べマイクロRNAを正確、かつ網羅的に検出できることを実証しました。同施設では、これまで、ゲノムDNAや遺伝子を中心とした解析を実施していましたが、今回、東レの技術を採用することにより、解析が困難であったFFPEや、血液検体からのマイクロRNA解析技術を立ち上げるとともに、バイオマーカー探索に関するコンソーシアムの企画等、組織的に実施することを検討しています。

 現在、ケンブリッジ大学の他に、英国オックスフォード大学、米国でも米海軍病院やテキサス大学MDアンダーソン研究所をはじめ、フランスやスウェーデンといった欧米の著名な研究機関で本探索方法を用いた受託解析が開始され、血液検体から良好なバイオマーカーが得られつつあります。今回の海外でのバイオマーカー探索ツールの事業展開を開始することで、更なる国内外のバイオマーカーの実用化を加速してまいります。

 東レグループは、現在推進中の中期経営課題“プロジェクト AP−G 2013”において、ライフサイエンス領域を「重点育成・拡大事業」の一つと位置付けております。高感度DNAチップ3D−Gene(R)などのバイオツールをベースとする検査・診断事業は、その一部として拡大を目指してまいります。


以上


【用語説明】
 ※1.高感度DNAチップ3D−Gene(R)
  東レが開発した高感度DNAチップ。通常、DNAチップは、基板上に、数十〜数万種類のDNA断片やRNA断片に対応する塩基配列(プローブ)を高密度に並べたものであり、検体から抽出したDNAやRNAといった核酸ターゲットをDNAチップにハイブリダイズすることによって、そのターゲットに含まれる塩基配列の決定、遺伝子変異の解析、遺伝子の発現量・コピー数の測定、およびメチル化状態の解析といったDNA、RNAの多様な状態を解析することが出来ます。
  3D−Gene(R)は、微細凹凸樹脂基板やビーズを使って検体溶液を攪拌させる反応促進など、東レの独創的先端技術を駆使することにより、ガラス平板による従来型DNAチップに比べて高い検出力(従来品比100倍の感度)、再現性、定量性を有しています(ホームページアドレス:http://www.3d-gene.com/)。
  開発の一部はNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「バイオ・IT融合機器開発プロジェクト」の助成を受けて取り組んだものです。

 ※2.マイクロRNA
  RNAはDNAの情報をタンパク質に翻訳するために必要とされる分子であり、一般にリボ核酸塩基が数十〜数百個以上つながって構成されています。しかし最近、数十個のリボ核酸塩基から構成されている、短いRNAも生体において重要な役割を果たしていることがわかってきました。短いRNAにもいくつかの種類が知られていますが、その中でも特にマイクロRNAと呼ばれる20〜25個程度の核酸からできているRNAは、メッセンジャーRNA(遺伝子)の働きを抑えて、タンパク質の合成量を変化させる働きがあり、iPS細胞作製に不可欠な細胞の初期化に関与する等、疾患の原因や、診断のためのバイオマーカーとなる可能性が注目されています。
  一般にRNAは非常に壊れやすい物質で、細胞の中にのみ保護されて存在すると考えられてきました。しかし最近になって、血漿や血清の中に、大きさ10〜100nmほどのリン脂質二重膜の小胞(エキソソーム)が浮かんでおり、その中にマイクロRNAが包まれて存在することが知られてきました。このマイクロRNAはエキソソームで保護されているために極めて安定で、微量の血液から検出することが可能です。

 ※3.バイオマーカー
  体内に存在する特定の病状や生命体の状態の指標となる分子。糖や脂質などの非常にシンプルな分子からたんぱく質やDNA、RNAなどの遺伝子産物など複雑な分子も含まれます。これらの分子を測定することにより、体内の状態を知る検査・診断を行うことが可能です。

 ※4.英国ケンブリッジ大学/Cambridge Genomic Services
  英国ケンブリッジ大学は800年以上前に創立され、31のカレッジと100を超える学科から成り立つ世界最高位の総合大学です。ニュートンの万有引力の法則を始め、多くの重大な発見が生まれた場所でもあり、現在でも様々な先端技術、先進技術が生み出され、出身者のノーベル賞受賞者も世界一位の大学です。また、Cambridge Genomic Services責任者のAffara教授は遺伝子解析分野における世界的な第一人者です。


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