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三菱マテリアル、リチウムイオン二次電池の高容量化と長寿命化の両立を実現する材料を開発

2011-01-26

リチウムイオン二次電池用材料を開発


 三菱マテリアル株式会社(本社:東京都千代田区、取締役社長:矢尾宏、資本金:1,194億円、以下「三菱マテリアル」)は、今般、次世代リチウムイオン二次電池用新規合金系負極材料の開発と負極複合化技術の開発に成功しました。本開発により、これまで合金系負極では困難であった、高容量化と長寿命化の両立を実現することができ、リチウムイオン二次電池の更なる高性能化やその市場拡大に寄与することが期待されます。

 リチウムイオン二次電池は、携帯電話・ノートパソコンなどのモバイル機器に広く使用されているほか、ハイブリット自動車、プラグインハイブリッド自動車、あるいは電気自動車の電源として大きな市場の伸張が期待されています。これらの用途では、軽量・コンパクト化、特に電気自動車においては、一度の充電での走行距離の大幅な改善が求められています。この課題の解決のためには、それぞれの電池材料における更なる高容量化対策が必要ですが、その中でも、負極に用いられている炭素系材料では、現状既に限界とされる理論容量に近づいており、新たな材料の開発が強く要望されてきました。

 こうしたご要望にお応えするため、三菱マテリアルでは、今般、錫を主成分とする合金により、次世代リチウムイオン二次電池用として高容量化と実用的なサイクル特性(註1)(長寿命)の両立を実現した負極材料を開発しました。錫は、現在使用されている炭素に比べて約2.7倍の理論容量を有しています。しかしながら、負極材料にこうした金属合金を使用した場合、充・放電に伴う膨張・収縮を繰り返すことで材料自体の構造が破壊されるため、サイクル特性が悪い(短寿命)という欠点がありました。
 今次開発した錫系合金負極材料には以下の特徴があります。
 (1)粒子サイズを2ミクロン以下に微細化
 (2)内部に歪を緩和できるような空間構造を形成
 これらにより、現行材料の炭素系材料に比べて高容量化と長寿命化を共に実現することが可能となりました。

 なお、負極には一般的に負極材料と導電助剤とが複合化されて用いられますが、今般、三菱マテリアルでは、新規負極材料の特性を最大限発揮する複合化形態として、現行の炭素系材料に新規負極材料を添加し、さらに導電助剤としてこれらに適合したカーボンナノファイバー(注2)を複合化させることで極めて高い効果を得る技術についても開発しました。
 例えば、現行炭素系材料の40%をこの合金系材料に置き換え、さらに導電助剤としてカーボンナノファイバーを5%添加した負極において、炭素材料単独で負極を構成した場合と比較して約1.5倍の容量を得ることができ、また、50回充・放電を繰り返しても、性能の劣化はわずか4%弱という結果が得られています。
 現状、市場拡大を続けるリチウムイオン二次電池材料ですが、負極材料の世界市場規模は2011年で300億円とも言われています。三菱マテリアルでは、今般開発した負極材料について速やかにサンプルワークを実施し、量産化の検討を進めてゆく予定です。5年後にはシェア20%程度の販売を目標としています。

(註1)サイクル特性とは、電池の充・放電を繰り返すことにより、初期の電池容量からの容量の減少程度を示します

(註2)導電性を付与するためには一般的には粉末状の導電性カーボンを添加しますが、今回導電助剤として用いたカーボンナノファイバーはナノ繊維状(直径約10ナノメートル)であり、負極全体に網目状に導電性パスを形成することができ、さらに長寿命化に寄与するものです。

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