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NTT、デジタルサイネージとWi−Fiを組み合わせた情報収集技術を開発
災害時に不安を払拭
デジタルサイネージとWi−Fiを組み合わせ、スマホで情報をすばやく取得・保存する技術を開発
〜新宿駅西口にてデジタルサイネージ前の人々の滞留抑制効果の検証に関する実証実験を開始〜
日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦博夫、以下NTT)は、震災時、駅前等の「公共デジタルサイネージ」に表示されている情報(ライフライン情報等)について、スマートフォンからサイネージに連動したWi−Fiにアクセスするだけで、詳しい情報が閲覧でき、必要な情報については、スマートフォンの画面を指で囲むだけで、情報が保存できる新たな情報収集技術「HTML5コンテンツ収集・スクラップ技術」を開発しました(*1*2)。
震災時、駅の公共デジタルサイネージの前には、災害に関する情報を求める人が殺到・滞留しました。今回、NTTでは、本技術を使うことによる、サイネージ前に集まる人々の滞留抑制効果の検証、および、使いやすさの検証を目的とした実証実験を、新宿駅西口(公共デジタルサイネージ:1か所)において、2013年11月1日(金)から12日(火)までの期間(土日祝および7日を除く)、募集した被験者合計100名程度を対象に実施いたします。
1.開発の背景
東日本大震災では、通信網の輻輳や通信基地局の停電等により、スマートフォン等による通信・通話が不通・不安定になり、災害に関する情報の取得が困難な状況にありました。このため、首都圏のターミナル駅では、災害情報を発信していた“公共デジタルサイネージ”の前には、情報を求める人々が殺到・滞留し、将棋倒し等の事故が発生しかねない危険な状況になりました。
2.開発した技術
今回、NTTサービスエボリューション研究所が開発した新たな情報収集技術(HTML5コンテンツ収集・スクラップ技術)は、通信が不安定な災害時において、公共デジタルサイネージ前に行かなくても、サイネージに表示される災害に関する情報を、サイネージと連動したWi−Fiに接続するだけで、手元のスマートフォンで閲覧可能となります。その際、スマートフォンは特別なアプリのインストールは不要です。
また、公共デジタルサイネージに表示される各種情報の中で、ユーザが必要とする情報については、スマートフォンの画面を指で囲むだけの直感的な操作で、スマートフォンに保存できます。
これら2つの技術により、災害時にサイネージ前に発生しやすい人の滞留現象を抑制することが可能になります。
3.今後の展望
NTTは、今回の行う実証実験の結果にもとづいて、大勢のユーザが簡単な操作で必要な情報をすばやく取得・整理できる「HTML5コンテンツ収集・スクラップ技術」の改善を行い、震災時において情報弱者を生まない通信環境の実現を目指します。
また、本技術は、平常時には、クーポン配信システム等に利活用できるため、平常時にも災害時にも実用性が高いデジタルサイネージサービスとして、自治体や商業施設に提案することを検討してまいります。
なお、詳細は、以下のとおりです。
※以下、詳細は添付の関連資料を参照
<解説>
*1 本研究開発は、総務省の先進的ICT国際標準化推進事業「次世代ブラウザ技術を利用した災害時における情報伝達のための端末間情報連携技術」の受託研究の成果です。
*2 HTML5はW3C(World Wide Web Consortium)が策定中である次世代Webブラウザの標準仕様です。HTML5は、文書の記述ルールであるHTML(Hyper Text Markup Language)だけでなく、グラフィックス描画機能やマルチメディア再生機能、通信機能、端末デバイス(カメラやGPS等)へのアクセス機能等も含めて標準化を進めています。
*3 人間中心の視点によるデザインによってNTTグループのサービス価値向上を支援しているICTデザインセンタ(NTTサービスエボリューション研究所内)がこれまでの活動で得た知見を設計・評価に活かしています。
*4 先行して一般市民20名に対して行った検証実験では、操作のしやすさ、操作時の疲労度ともに提案手法が従来手法(画面のスクリーンショットをとる方法)をそれぞれ2倍程度上回ることを確認しています。
■別紙・参考資料
図1 コンテンツ自動同期機能
図2 囲み操作ユーザインタフェース
図3 実験場所:新宿駅西口大型公共サイネージ